
執筆:看護師 図司真澄
更年期を迎えると、それまで低血圧だった女性でも「最近血圧が高い」と不安を抱く方が増えてきます。
ホルモンバランスの変化や生活習慣の影響は、更年期女性の高血圧を引き起こす大きな要因です。
そこで本記事では、女性特有の高血圧の原因と症状、日常でできる対策や受診の目安をわかりやすく解説します。


女性が高血圧になりやすい原因
40代後半から60代にかけて、女性は血圧が不安定になりやすい時期です。その背景には、男性とは異なるホルモンの変化や生活習慣の影響が関係しています。
加齢とホルモンバランスの変化
女性の血圧に大きく関わるのが「エストロゲン」という女性ホルモンです。エストロゲンには血管をしなやかに保ち、動脈硬化を防ぐ役割があります。※1
しかし、更年期を迎えると卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量は急激に減少します。その結果、血管が硬くなりやすく、血圧の上昇につながるのです。
また、エストロゲンの低下はコレステロール値の上昇にも影響し、高血圧のリスクをさらに高めます。
これまで低血圧だった女性が「最近は血圧が高めになった」と感じるのは、ホルモンバランスの変化が主な原因の一つです。
ストレスと生活習慣の影響
40代・50代の女性は、仕事や家庭、さらには介護など多くの役割を担うことが多いです。
さらに更年期に差し掛かると心身の不調も加わってストレスを抱えやすくなることも。ストレスを受けると交感神経が優位になり、一時的に血圧が上昇します。その状態が長く続く結果、慢性的な高血圧に発展します。
さらに、塩分の多い食生活・アルコールの摂取・喫煙・運動不足といった生活習慣も高血圧の発症リスクを高める要因です。
特に日本の食文化は塩分が多く、醤油を使った料理や漬物などを日常的に摂取することで、知らないうちに塩分を摂りすぎてしまうケースが多くみられます。
塩分の過剰摂取は血圧上昇の直接的な要因となり、高血圧の発症を助長します。
【関連記事】ストレスで高血圧に?意外な関係性と改善ポイントを解説
自律神経の乱れ
更年期にはホルモンバランスの乱れにより、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その結果、血圧が急に上がったり下がったりする「血圧変動」が生じやすくなるのです。
更年期によく見られる「ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)」や「動悸・めまい」も、自律神経の乱れが関与しています。
自律神経の乱れにより血圧のコントロールがうまくできず、長期的には高血圧のリスクを高めてしまいます。
遺伝や家族歴の関与
高血圧の両親や兄弟姉妹に高血圧の方がいる場合、自分も高血圧になりやすいといわれています。さらに、家族は同じ食事や生活リズムを送りやすいため、その影響も少なくありません。
濃い味付けの食事や不規則な生活習慣が家族の中で当たり前になると、高血圧のリスクが高まっていきます。
だからこそ、家族に高血圧の方がいる場合は、若いころから食事や運動といった生活習慣に気を配ることが大切です。
【関連記事】高血圧は遺伝する?両親・祖父母が高血圧の場合に注意すべきこと
特に注意!更年期高血圧の症状とリスク

高血圧は自覚症状が少ないことが大きな特徴です。そのため、気づかないうちに進行し、脳卒中や心筋梗塞などの病気につながるケースがあります。
ここでは、注意すべき症状とリスクを具体的に解説します。
更年期高血圧で起こりやすい症状
高血圧は初期には症状が出にくい病気です。頭痛やめまい、動悸といった症状は、血圧がかなり高いときや急に上がったときに起こりやすくなります。
更年期の女性はホルモンの変化や自律神経の乱れにより血圧が変動しやすく、その変動によって一時的に頭痛やめまいを感じることがあります。
こうした症状は更年期障害とも重なりやすく、見過ごされがちです。繰り返すことで血管に負担がかかり、高血圧や合併症のリスクを高める要因になります。
動脈硬化や脳心血管疾患のリスク
高血圧を放置すると血管に大きな負担がかかり、動脈硬化が進行します。その結果、以下の病気のリスクが高まります。
- 脳梗塞・脳出血
- 心筋梗塞・狭心症
- 心不全
- 腎不全
特に女性は閉経後に動脈硬化のスピードが速まり、男性と同等、もしくはそれ以上のリスクを抱えることが知られています。
高血圧が長期間続くと血管のダメージが蓄積し、命に関わる病気を引き起こすリスクが高いため、早めの対策が不可欠です。
【関連記事】高血圧が引き起こす動脈硬化とは?仕組みとリスク・予防法を徹底解説
【関連記事】高血圧が原因で脳梗塞に?関係と予防法をわかりやすく解説

更年期の女性必見!高血圧の生活習慣対策
日常生活を工夫することで、更年期でも血圧を安定につなげることができます。
ここでは、実践しやすいセルフケアを紹介します。
毎日の血圧測定を習慣にする
高血圧対策の基本は「正しく血圧を測る」ことです。血圧計で朝と夜の2回測定して記録を残すことで、自分の血圧パターンが把握できます。
特に更年期の女性は血圧が変動しやすいため、継続的な記録が重要です。
【関連記事】血圧を無料で記録・管理する方法まとめ|紙・アプリ・エクセルを比較
塩分・脂質を控えた食事
日本人の食生活は塩分過多になりがちです。高血圧予防のためには、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。
うどんやラーメンの汁は飲まない、加工食品を控えるなどの工夫を心がけましょう。
また、揚げ物や脂質の多い食事を避け、野菜・魚・大豆製品を多く取り入れることが望ましいです。
【関連記事】高血圧を改善する食事法!注意すべき食材と栄養のポイント!
適度な運動と体重管理
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、血圧を下げる効果が期待されます。
運動の目安として、1日30分程度を週5回行うのが理想ですが、難しい場合は家事や買い物で動く時間を増やしてみるなど、無理のない程度で運動を取り入れてみましょう。
【関連記事】運動で血圧を下げる~おすすめの有酸素運動と控えるべき運動~
睡眠の質を高める
睡眠不足は自律神経を乱し、血圧上昇につながります。規則正しい生活リズムを意識し、就寝前のスマホ使用を控える、入浴で体を温めるなどの工夫で質の良い睡眠を確保しましょう。
ストレスマネジメント
ストレスは血圧上昇の大きな要因です。深呼吸やストレッチ、趣味の時間を持つことで心身をリフレッシュしましょう。
特に更年期は、ホルモンの影響で気分の浮き沈みが激しくなることも。悩みを一人で抱え込まず、家族や友人に話すことも大切です。
【関連記事】ストレスで高血圧に?意外な関係性と改善ポイントを解説
イソフラボン・エクオールの有効性
大豆に含まれるイソフラボンや、腸内細菌が作り出すエクオールは、エストロゲンに似た作用を持つ可能性が報告されています。
更年期症状や血管の健康への効果が研究されていますが、血圧への明確な効果はまだ確立しておらず、個人差も大きいことが分かっています。
一方でサプリメントを利用する場合は、医師や薬剤師に相談のうえ摂取量を守ることが大切です。
受診が必要なケースと医療機関での治療

生活習慣を改善することで血圧が安定する場合もありますが、中には医療機関の受診が必要なケースもあります。
受診が必要となるサイン
以下のような場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
- 自宅で測った血圧が135/85mmHg以上が続いている
- 頻繁に頭痛やめまい、胸の痛みを感じる
- 血糖値やコレステロールも高めと指摘されている
これらは放置すると脳卒中や心疾患のリスクが高まるため、早めの受診が重要です。
まとめ|更年期女性の血圧変動は早めの対策が大切
更年期を迎える女性は、ホルモンの変化や生活習慣の影響で血圧の変動が大きくなりやすい傾向があります。
症状が出にくい高血圧ですが、放置すると動脈硬化や心疾患などの大きな病気につながるリスクも。
そこで生活習慣を整えることで、血圧の安定や合併症の予防につながります。
今回ご紹介した生活習慣は、日常に無理なく取り入れられるものばかりです。
更年期の血圧変動を軽く見ず、早めに予防や対策を心がけて、健康で安心な毎日を送りましょう。
↓『Welbyマイカルテ』ダウンロードはこちらから ↓

※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。
◆参考文献
※1:日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」


