
高血圧と動脈硬化は、日本人にとって非常に身近で重要な健康課題です。どちらも加齢とともにリスクが高まり、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患を引き起こす原因となり得ます。特に高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、気づかぬうちに動脈硬化を進行させてしまうことも。
本記事では、高血圧と動脈硬化の関係、そのメカニズム、リスク、そして予防法についてわかりやすく解説します。

高血圧と動脈硬化はどう関係しているのか
高血圧が長期間続くと、血管の内側に強い圧力がかかり続けるため、血管が傷つきやすくなります。
傷ついた部分には、コレステロールや脂質が蓄積しやすくなり、やがて「プラーク」と呼ばれる塊が形成されます。このプラークが血管を狭くし、硬くする「動脈硬化」へとつながるのです。
「高血圧 → 血管の傷 → プラークの形成 → 動脈硬化」という一連のメカニズムが存在します。また、動脈硬化が進行すると血管の弾力性が失われるため、血液が流れにくくなり、心臓がより強く血液を送り出そうとすることで、さらに血圧が上昇します。
これが「高血圧と動脈硬化が互いを悪化させる」負のスパイラルです。
一方で動脈硬化が進むことで高血圧も進む悪循環も
高血圧が動脈硬化を進行させる一方で、動脈硬化自体もまた高血圧を悪化させます。
血管が硬くなり、内腔が狭くなることで血液の流れが阻害され、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。その結果、血圧がさらに上昇し、血管への負担も増加します。
このようにして、高血圧と動脈硬化は互いを促進する関係にあり、「片方を放置すると、もう一方も悪化する」というサイクルが形成されます。この悪循環を断ち切るためには、早期に対処し、生活習慣の改善や医療的なサポートを受けることが必要です。
動脈硬化を予防または、進行させないためにできること

動脈硬化は一度進行すると元の状態に戻すことは難しいため、早い段階からの予防や進行抑制が非常に重要です。とくに高血圧のある人は、日々の生活習慣の見直しが動脈硬化予防の鍵になります。
まずは高血圧など基礎疾患のコントロールが重要
動脈硬化の最大のリスク要因である高血圧を放置することは、病気を進行させる原因になります。まずは血圧の数値を把握し、治療目標(一般的には135/85mmHg以下の家庭血圧)に近づけることが大切です。
血圧の変動を日常的に記録し、自分の状態を正確に把握することで、医師との連携もしやすくなります。定期的な血圧測定を習慣化し、生活習慣の見直しとあわせて管理していきましょう。
食事・運動・ストレス管理などの生活習慣の改善
食生活では、減塩(1日6g未満を目安)、脂質・糖質の過剰摂取を控えましょう。野菜や果物、魚などを中心にしたバランスの良い食事を心がけることが、動脈硬化の予防に役立ちます。運動はウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を、1日30分、週に5日以上を目安に継続するのが理想です。ストレスの管理も重要で、趣味の時間や睡眠をしっかりと確保することが、高血圧や動脈硬化のリスク軽減につながります。
【関連記事】高血圧を改善する食事法!注意すべき食材と栄養のポイント!
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記録を続けることで自分の健康状態に関心を持つようになり、改善意欲の維持にもつながります。日々の記録を「レコ活*」として楽しみながら、無理なく続けていくことが、予防の第一歩です。
*レコ活は、「記録することで健康を意識し、健康行動につなげる」活動のことです。
【関連記事】自分の体と向き合う第一歩!「レコ活」はじめてみませんか?
動脈硬化が気になるときの検査と治療法

動脈硬化は初期には自覚症状がほとんどなく、知らないうちに進行してしまう病気です。しかし、現在では血管の硬さや狭まり具合を評価する検査が医療機関で受けられ、リスクを早い段階で把握することが可能です。
病院で受けられる検査の種類と特徴
動脈硬化の進行度を調べるためには、以下のような検査が一般的に行われています。
- ABI検査(足関節上腕血圧比)
腕と足の血圧を比べることで、下肢の動脈が詰まっていないかを調べる検査です。血流障害の有無を簡便に確認できるため、スクリーニングに適しています。 - CAVI検査(心臓足首血管指数)
動脈の硬さを数値化し、血管の老化度を評価する検査です。血圧の影響を受けにくく、動脈硬化の進行度がより正確に把握できます。 - 頸動脈エコー
超音波を使って頸動脈の壁の厚さやプラークの有無を確認します。動脈硬化の兆候を視覚的にとらえることができ、脳梗塞などのリスク評価にも役立ちます。
これらの検査は、体への負担が少なく、短時間で受けられることが多いため、「ちょっと気になる」段階でも、体の状態を知るきっかけになります。
治療法は生活改善と薬物療法の組み合わせが基本
動脈硬化の治療においては、生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法の併用が基本となります。動脈硬化を直接「治す」薬は存在しないため、進行を遅らせ、血栓形成などのリスクを下げることが主な目的になります。
薬物治療では、以下のような薬が使われます。
- 降圧薬:高血圧のコントロールを目的とした薬剤(ARB、ACE阻害薬など)
- 脂質を下げる薬:LDLコレステロールを下げる目的とした薬剤(スタチン系薬など)
- 抗血小板薬:血栓を予防し、血流を維持するための薬(アスピリンなど)
また、糖尿病や慢性腎臓病などの基礎疾患がある場合は、それらの管理も重要になります。症状がない場合でも、自己判断で薬をやめるとリスクが高まるため、治療は継続することがとても重要です。
まとめ
高血圧と動脈硬化は、密接な関係にある生活習慣病であり、どちらか一方を放置すればもう一方も悪化するという「負のスパイラル」に陥る危険性があります。高血圧が血管を傷つけることで動脈硬化を進行させ、動脈硬化が血管を硬く狭くすることでさらに血圧が上がるという悪循環が生じるのです。
動脈硬化は初期には自覚症状がなく、気づかないうちに進行していることが多いため、日常的な予防が何よりも重要です。血圧を定期的に測定・記録し、食事・運動・ストレス管理といった生活習慣を見直すことが大切です。
また、「Welbyマイカルテ」のような健康管理アプリを活用して、血圧や体調の変化を“見える化”することで、自分の状態を把握しやすくなり、生活改善を続ける意欲にもつながります。
もし記録を通じて気になる変化があれば、早めに医療機関を受診してチェックすることが、将来の病気予防にもつながります。
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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。