
高血圧と診断されたあと、健康のために果物を積極的に取り入れようと考える人は少なくありません。ビタミンや食物繊維が豊富で体に良いイメージがある果物ですが、すべてが高血圧に適しているとは限りません。特定の果物は血圧コントロールの妨げになることもあるため注意が必要です。
本記事では、なぜ一部の果物に注意が必要なのか、その理由となる成分や体への影響を分かりやすく解説しながら、高血圧の人でも安心して楽しめる果物の選び方をご紹介します。

高血圧の人が果物に注意すべき理由とは?
果物は自然な甘みと栄養価の高さから健康的な食材とされることが多く、食卓にもよく登場します。しかし、高血圧の人にとっては、果糖やカリウムといった成分の摂り方に注意が必要です。
まず、果物に含まれる「果糖」は、体内で代謝されやすく血糖値を上げにくいとされる一方で、摂りすぎると中性脂肪が増えやすくなり、肥満につながることがあります。肥満は高血圧を悪化させる原因のひとつのため、果物(果糖)の摂りすぎには注意しましょう。
また、果物に豊富に含まれる「カリウム」も重要なポイントです。カリウムには余分なナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあり、一般的には血圧の上昇を抑える効果が期待されています。
しかし、腎機能が低下している人では、カリウムをうまく排出できず、血中濃度が高くなりやすくなります。体内にカリウムが過剰に蓄積されると、不整脈や心停止といった重大なリスクを引き起こすこともあるため、特に注意が必要です。
慢性腎臓病を併発している人は、かかりつけ医に相談しながら果物を摂るようにしましょう。
高血圧の方が果物を摂取する際には、果糖やカリウムの量に加えて、自分の腎機能の状態や持病、服用している薬とのバランスを考慮する必要があるでしょう。
高血圧の人が注意すべき果物一覧

高血圧の人にとって注意が必要なのは、以下の3つの特徴を持つ果物となります。
- 果糖が多いもの
- カリウムが多いもの
- 薬の作用に影響を与えるもの
【注意が必要な果物の例】
- グレープフルーツ
特定の成分が体内酵素に作用し、薬の効き目に影響を与える可能性がある。 - ぶどう・りんご・ライチ・西洋なし
果糖の量が高く、摂りすぎると肥満につながる可能性がある。 - バナナ・アボカド・メロン
カリウムが多く、腎機能が低下している人は摂りすぎに注意。
「高血圧 果物」の検索意図でも上位に挙がるグレープフルーツは、健康に良いというイメージがありますが一部の降圧薬と相互作用するため注意が必要です。また、りんごやぶどうなども健康食のイメージがありますが、果糖の量が多くなりがちです。
果物ジュースやスムージーは、食物繊維が少なく、糖分が吸収されやすいため、血糖値が急上昇しやすくなります。特に市販の果汁飲料や濃縮タイプのジュースは、想像以上に糖分が多く高カロリーなので、飲みすぎには気をつけ、果物を摂る際は生の状態で適量を守ることが大切です。
高血圧の人でも食べられる果物の選び方

果物のすべてを避ける必要はありません。
果糖やカリウムの量に気をつけつつ、適量を守れば健康に役立つ果物もありますが、おすすめは「温州みかん」です。グレープフルーツなどの柑橘類とは異なり、フラノクマリンを含まないため相互作用の心配がなく、カリウムやビタミンCもバランスよく含まれています。
他にも、果糖が少なめで水分や食物繊維が豊富な果物を選ぶのがポイントです。果物で高血圧を予防するためには、次のような特徴を持つものを選ぶのがおすすめです。
- 甘さが控えめで、果糖量が少ない
- 食物繊維が豊富
- カリウムは適量(腎機能に問題がなければOK)
- 水分量が多く、満足感が得られる
例えばキウイフルーツや柿(甘柿より渋柿)といった果物が挙げられます。
果物の食べ方・タイミングで気をつけたいポイント
果物は「どの種類を」「どれだけ」食べるかに加えて、「いつ食べるか」も重要です。朝食後や間食として適量摂る分には血糖コントロールもしやすく、過食にもつながりにくくなります。
避けたいタイミングとしては、以下です。
- 夜遅くに果物を食べる(エネルギーとして使われず、脂肪として蓄積されやすい)
- 食後すぐに大量に食べる(血糖値スパイクの原因に)
また、皮ごと食べられる果物は、食物繊維を多く摂ることができます。皮に近い部分に栄養が集まっているものも多く、腸内環境の改善や満腹感にもつながります。
果物以外にも食生活で気をつけたいポイント
高血圧の予防・改善には果物の選び方だけでなく、日々の食事全体を見直すことが大切です。
【関連記事】高血圧を改善する食事法!注意すべき食材と栄養のポイント!
減塩や食物繊維の摂取がカギ
塩分の摂りすぎは血圧上昇の主な原因です。外食や加工食品に含まれる見えない塩分に気をつけましょう。また、食物繊維には腸内環境を整え、糖質や脂質の吸収をゆるやかにする作用があり血圧管理に役立ちます。
食物繊維は以下のような食材に多く含まれています。
- 玄米や雑穀米
- ごぼう、にんじん、きのこ類
- 海藻類、納豆、豆類
これらを毎日の食事に取り入れることで、血圧の安定に役立つでしょう。
避けるべき加工食品や飲料とは?
以下のような食品・飲料は、塩分や糖分が多く含まれがちのため注意が必要です。
- スナック菓子、レトルト食品
- 清涼飲料水、果糖ジュース
- アルコールの摂りすぎ
アルコールの摂取量にも注意が必要です。飲みすぎは血圧上昇や肥満の原因になります。週に数日の休肝日を設けるなど、生活全体のリズムに配慮した飲食習慣を目指しましょう。
まとめ
果物はビタミンや食物繊維が豊富で体に良いイメージがありますが、果糖やカリウムのとりすぎは高血圧の管理に影響することがあります。
特に、グレープフルーツは薬との相互作用に注意が必要で、他にも体質や持病によっては注意が必要な果物があります。
一方で、温州みかんのように高血圧の人でも比較的安心して食べられる果物もあります。大切なのは、「果物を避ける」ことではなく、自分に合った種類や量、食べるタイミングでとりいれることです。
さらに、果物だけでなく、塩分や糖分を控え、食物繊維を多く含む食事を心がけることも血圧管理には欠かせません。
そこで、毎日の体調や食事を記録するには、Welbyマイカルテといった健康管理アプリの活用もおすすめです。血圧や食事内容を見える化することで、生活改善のヒントが得やすくなります。ぜひ、活用してみてください。
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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。