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納豆で血圧は下がる?高血圧改善の効果と正しい食べ方・薬との注意点を解説

執筆:看護師 図司真澄

納豆を食べると血圧が下がる」と耳にしたことはありますか?

本記事では、科学的な根拠に基づく効果や、おすすめの食べ方・1日の適量について解説します。

さらに降圧薬との相互作用や注意点まで整理しましたので、安心して取り入れるためのポイントをご紹介します。

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納豆と血圧の関係|本当に血圧を下げるのか?

納豆が血圧に与える影響について、栄養素や成分ごとの働きを解説します。

効果が期待できる理由と、誤解されやすい点の理解を深めましょう。

納豆に含まれるナットウキナーゼと血圧への影響

納豆特有の酵素である「ナットウキナーゼ」には、血栓を溶かしやすくし、血流を改善する作用があるという報告があります。

また、体の中には「血管を収縮して血圧を上昇させる仕組み」がある一方で、納豆にはこの働きを弱める成分も含まれていると言われています。

血管が収縮しにくくなれば、自然と血圧も安定しやすくなるのです。

これらの作用が相互に働くことで、血圧を下がる効果が期待されています。実際に、ナットウキナーゼを摂取すると血圧が下がったという研究報告もあり、注目されています。※1、2

ただし現時点では、「血圧を下げる可能性がある食品」として期待される段階であり、薬のような即効性や確実性があるわけではありません。

継続的に摂取することで、健康維持や血圧の安定に役立つ食品といえるでしょう。

大豆イソフラボン・カリウムと血圧への影響

納豆は大豆イソフラボンカリウムを豊富に含んでいます。大豆イソフラボンは血管をしなやかに保ち、カリウムは余分なナトリウムを体外へ排出しやすくします。

その結果、血圧の上昇を抑える効果が期待できるでしょう。

「納豆は高血圧に悪い?」の誤解

「納豆は高血圧に悪い」という情報を目にすることがありますが、納豆自体が悪いわけではなく、付属のタレやしょうゆに含まれる塩分が原因であるケースが多いのです。

1パックの納豆に付属するタレやしょうゆをすべて使うと、塩分摂取量が増える可能性があります。塩分のとり過ぎは血圧を上昇させる要因となるため注意が必要です。

したがって「納豆が高血圧に悪い」という情報は誤解であり、適切に調味料を調整すれば、納豆はむしろ高血圧対策に役立つことが期待できるでしょう。

納豆を食べるタイミングと適量|朝・夜どちらが良い?

納豆は朝に食べるのが良いのか、夜に食べる方が効果的なのか。

また、「1日にどのくらいの量を食べれば良いのか」という疑問は多くの方が気になるところです。ここでは時間帯ごとの特徴と、1日の適量について解説します。

朝と夜、どちらに食べるのが良い?時間帯別のメリット

納豆は朝に食べても夜に食べても、それぞれにメリットがあります。  

に食べると、腸の動きが活発な時間帯に合わせて発酵食品をとれるため、腸内環境を整えるサポートが期待できます。また、忙しい朝でも手軽にたんぱく質や栄養を補える点も魅力です。  

一方、に食べるとナットウキナーゼの作用が睡眠中に働き、血栓を溶かしやすくして血液の流れを整える効果が期待されます。  

特に、心筋梗塞や脳梗塞といった血栓による病気は早朝から午前中にかけて起こりやすいことが知られています。そのため、睡眠中に血流を整えておくことは、翌朝の血栓リスクを減らすサポートにつながるでしょう。

ただし、就寝直前の食事は胃に負担をかけるため、夕食時に摂取するのが適しています。  自分の生活リズムに合わせて、無理なく続けることが大切です。

1日の適量と食べ過ぎリスク

納豆の目安は1日1パック(40〜50g)です。1日1パック以上食べるとプリン体が増え、痛風のリスクにつながる可能性があります。

また、納豆には大豆イソフラボンも豊富に含まれており、過剰に摂取するとホルモンバランスに影響を及ぼす可能性も指摘されています。

適量を守ることが、納豆の健康効果を安全に得るためのポイントです。

納豆と薬の飲み合わせ|高血圧治療中の注意点

薬を服用している方にとって、食品との相互作用は重要な課題です。

納豆と薬の関係を整理し、安全に摂取する方法を解説します。

血圧の薬と納豆の相互作用

納豆は多くの降圧薬と直接の相互作用を持ちません。

しかし、血液をサラサラにする「ワルファリン(抗凝固薬)」を服用中の方は注意が必要です。

納豆にはビタミンKが多く含まれており、ビタミンKがワルファリンの効果を弱めてしまう可能性があり、ワルファリンを服用中の方は納豆を控えることが推奨されています。

以下のケースによって、適切に摂取量や食べ方を判断することが大切です。

  • 薬を服用していない方:1日1パックを目安に摂取して問題ありません。
  • 降圧薬を服用している方:基本的には納豆を食べても差し支えありません。ただし付属のタレやしょうゆは塩分が多いため、控えめにするとより安心です。  
  • ワルファリンを服用している方:納豆は避け、必要に応じて主治医に相談しましょう。

血圧対策に納豆を取り入れるコツと減塩アイデア

納豆を血圧対策として上手に活用するためには、調味料の使い方や食べ合わせを工夫することが大切です。ここでは、日常生活に取り入れやすい減塩の工夫を紹介します。

タレやしょうゆの塩分を減らす工夫

納豆についてくる付属のタレやしょうゆには、意外と多くの塩分が含まれています。ちょっとした工夫で塩分を抑えることができます。

例えば、次のような工夫があります。

  • 付属のタレを半分だけ使用する
  • レモン汁やお酢で風味を加える
  • 減塩しょうゆを使う

こうした工夫により、塩分を控えながらも美味しく納豆を食べられます。

食べ合わせと調理の工夫

納豆はご飯と一緒に食べるのが定番ですが、野菜や魚、汁物と組み合わせることで栄養バランスがさらに整いやすくなります。

特に野菜や海藻と一緒に食べると、カリウムや食物繊維の働きで余分な塩分を体の外に出しやすくなり、血圧の安定につながります。

また、納豆を温かい料理に加える際は、調理の最後に加えるのがポイントです。納豆に含まれるナットウキナーゼは熱に弱く、長時間の加熱で働きが失われてしまうためです。

火を止めてから汁物に加える、炒め物に仕上げで混ぜるなど、工夫すればおいしさを保ちながら栄養効果も高められます。

薬味の工夫や食べ方でおいしく減塩

納豆はよく混ぜることで、うま味成分栄養の吸収効率が高まるといわれています。混ぜる回数を増やすと、空気が多く含まれ、ナットウキナーゼの働きが活性化。

研究では、50回以上しっかり混ぜると粘りが増し、香り味もまろやかになると報告されています。 

また、食べる直前にタレやしょうゆを加えると、風味を損なわずにおいしく仕上がります。ねぎやのり、生姜、しそ、ごまなどを加えると、薬味を加えると風味や食感が増し、塩分を控えながら満足感のある味わいに。

混ぜ方と薬味の工夫を組み合わせれば、しょうゆやタレを控えてもおいしく食べられ、自然に減塩が続けやすくなります。毎日の食卓に飽きずに取り入れる工夫としておすすめです。

小粒・大粒・ひきわり納豆の違いと栄養の特徴

納豆には小粒・大粒・ひきわりなどの種類があり、それぞれに特徴があります。

  • 小粒納豆:粒が細かいため、表面積が広くナットウキナーゼが働きやすいとされ、消化吸収の面でも優れています
  • 大粒納豆:食べ応えがあり、たんぱく質や食物繊維をしっかり摂りたい人に向いています
  • ひきわり納豆:皮が除かれている分、カリウムや鉄分の吸収率が高く、血圧ケアや貧血予防にも役立ちます 

コンビニで選べる血圧ケア納豆食品

忙しいときに便利なコンビニ食品でも、選び方を工夫すれば血圧対策に役立ちます。次のような選び方を意識すると良いでしょう。

  • 「減塩タイプ」の納豆を選ぶ
  • 納豆巻きを買うときは、具材や調味料がシンプルなものを選ぶ

外食やコンビニを利用する機会が多い方でも、選び方を工夫することで血圧管理につながります。

まとめ|納豆で血圧を下げるには「根拠・適量・注意」を意識

納豆はナットウキナーゼや大豆イソフラボン、カリウムなどの成分によって血圧の安定に役立つ可能性が示されています。  

ただし、納豆は薬のように即効性があるわけではなく、継続的な摂取で少しずつ効果が期待できる食品です。調味料の使い方を工夫し、1日1パックを目安に適量を守ることが大切です。

無理のない範囲で納豆を日常の食生活に取り入れて、毎日の血圧ケアにつなげていきましょう。

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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。

◆参考文献:
※1:Jong Ho Lee, et al. : Effects of Nattokinase on Blood Pressure: A Randomized, Controlled Trial. Hypertension Research (2008) 31, 1583-1588.
※2:Jensen GS, Lenninger M, Ero MP, Benson KF. Consumption of nattokinase is associated with reduced blood pressure and von Willebrand factor, a cardiovascular risk marker: results from a randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter North American clinical trial. Integr Blood Press Control. (2016) Oct 13;9:95-104.