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高血圧でもサウナに入れる?血圧への影響を理解し、安全に楽しむための基礎知識

高血圧でもサウナに入れる?血圧への影響を理解し、安全に楽しむための基礎知識

執筆:看護師 図司真澄

サウナは、リラックスやストレス解消、いわゆる「ととのう(整う)」体験として人気があります。  

一方で、「高血圧だけどサウナに入って大丈夫?」「血圧に悪い影響はないの?」と不安に感じる人も少なくありません。  

本記事では、血圧が変化する仕組みや注意すべきリスク、安全に楽しむための工夫などをわかりやすく解説します。

※本記事はサウナを「推奨」するのではなく、高血圧の人がサウナを安全に利用するために必要な知識を正しく理解することを目的としています

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サウナが血圧に与える影響

サウナでは、温度変化自律神経の働きにより血管が収縮・拡張し、血圧が変動します。サウナ利用中に起こる具体的な血圧変化や、自律神経の働きを詳しく見ていきましょう。

交感神経と副交感神経の働き

血圧の変化には、自律神経のバランスが大きく関わっています。  

サウナでは、温度変化に応じて交感神経と副交感神経の働きが切り替わり、血圧が上下し、次第に安定していきます。

  1. サウナ入室時
    交感神経が優位になり、血圧と心拍数が上昇していく ※1
  2. サウナ室滞在中
    体温の上昇によって血管が拡張し、末梢血管の抵抗が下がることで血圧は低下していく ※2
  3. 外気浴や休憩時
    副交感神経が優位となり、血管が拡張して血圧が次第に安定していく

高血圧の人ではストレスや温度変化などの刺激に対して血圧の変動が大きくなる可能性があり、急激な温度差を与えることは体に負担をかけるリスクといえます。

例えば、サウナの後に「一気に立ち上がったときにふらつく感覚は、血圧の変動による典型的な反応といえます。

発汗と血管拡張による血圧の変化

汗をかくと体内の水分が減少し、血液量が一時的に減ることで血圧が下がることがあります。ただし、脱水状態が進むと血液が濃くなり、心臓への負担が大きくなる場合もあります。  

このような理由から、サウナ利用時には水分補給を意識することが大切で、適切な水分補給こそ、血圧変動を防ぐ鍵と言えるでしょう。 

高血圧の人がサウナを利用する際の主なリスク

サウナが血圧にどのような影響を与えるかを理解したうえで、高血圧の人が特に注意すべきリスクを見ていきましょう。

高血圧の人がサウナを利用する際に特に注意すべきなのは、「急激な温度変化」による血圧の乱高下です。心臓や脳の血管に大きな負担をかけ、思わぬ体調不良や事故につながる可能性があります。  

ヒートショックの危険性

高温のサウナ室へ入る、サウナ室から冷たい水風呂へ移動するなど、部屋の温度が急に変わると血管が急に収縮・拡張し、血圧が大きく上下します。急激な温度変化によって生じるリスクのひとつが「ヒートショック」と呼ばれる現象です。  

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が急上昇または急下降し、心臓や脳に負担がかかる状態を指します。  

特に高血圧の方や心血管系の持病がある方は、脳卒中心筋梗塞などを引き起こす危険が高まるとされています。 

脱水や長時間のサウナ利用によるリスク

サウナは長く入った方が効果がある」と考えるのは誤解です。サウナでは多量の汗をかくため、体内の水分が失われて血液が濃くなり、多くの健康リスクが生じる恐れがあります。

脱水が進むと、めまいふらつき脳への血流低下血栓症による脳梗塞・心筋梗塞などを招くこともあります。  

特に血圧が高い方は、血圧変動や脱水による影響を受けやすいため、長時間のサウナ利用は避けましょう

血圧の薬を服用している人が注意すべきポイント

降圧薬を服用している場合、薬の作用で血圧が下がりやすくなっていることがあります。  

降圧薬を服用して血圧が下がった状態でサウナに入ると、薬の作用により血圧がさらに低下し、立ちくらみ意識消失を起こす可能性があります。  

服薬中の方は、サウナを利用してよいかどうかを必ず主治医に確認し、指示に従いましょう。  

安全にサウナを利用するための条件と工夫

サウナを安全に楽しむためには、「温度」「時間」「水分補給」「休憩」の4つの条件を意識することが大切です。  

どれも特別なことではなく、少しの工夫や配慮で体への負担を減らす効果が期待できます。  

低温サウナや短時間利用という選択肢

高温のドライサウナ(90〜100℃)ではなく、低温のミストサウナを選ぶことで、体への負担を抑えながら温まることができます。  

また、入浴時間を短く区切る方法も効果的です。「まだ汗が出ない」と感じても、無理せず休憩をはさみましょう。  

水分補給と休憩タイミングの工夫

サウナの前後に水分をこまめにとることで、脱水血圧変動を防ぎ、安心して楽しむことができます。サウナ後に急に冷たい飲み物を取ると胃腸に負担がかかるため、常温の水白湯が理想的です。  

また、サウナとサウナの間(一度サウナ室に入って、次のサウナ室に入るまでの間)には、血圧や脈拍が落ち着くように椅子に座るなどして10分ほどの休憩をとってから次に入るようにしましょう。  

水風呂を避け、外気浴を取り入れる方法

高血圧の人は、水風呂による急激な血圧変動のリスクがあるため、利用は控えることが望ましいです。代わりに、サウナ室から出た後に涼しい場所でゆっくり休む「外気浴」を取り入れましょう。  

外気欲で深呼吸をしながら体を冷ますことにより、副交感神経が活発になり、自然なリラックス効果を得られます。

サウナ利用と医師相談の重要性

サウナは健康維持やリフレッシュのために多くの人に親しまれていますが、高血圧の人がサウナを安全に楽しむには「医師と相談すること」が欠かせません。  

医師への相談の重要性

体調や服薬内容によって、サウナに入れるかどうか、また入る場合の温度や時間の目安は異なります。一度かかりつけ医に相談し、「どの程度の温度や時間なら安全か」を確認しておくことが大切です。  

特に降圧薬を服用している場合は、薬の効果で血圧が下がりすぎるリスクがあるため、サウナに入るとふらつきや立ちくらみを起こす可能性があります。  

また、心臓病や腎臓病などの持病がある人では、サウナの温熱刺激そのものが体に強い負担となることも。 

事前に医師へ相談することで、自分の健康状態に合った安全な入り方や注意点を把握でき、安心してサウナを楽しむことにつながります。  

血圧測定と経過観察の習慣

サウナを利用する人は、普段から血圧を測定する習慣を持つと安心です。  

入浴後や翌日に血圧が極端に上がったり下がったりする場合は、サウナの利用頻度や時間を調整しましょう。「なんとなく体調が良くない」と感じたときは、無理に入らず休むことが大切です。  

【関連記事】血圧の正しい測定方法とは?注意点とアプリの活用について解説

医師に相談すべき症状(動悸・めまい・息切れなど)

サウナ中や後に動悸、めまい、息切れ、頭痛などの症状が現れた場合は、一時的な疲労ではなく血圧変動のサインかもしれません。  

動悸やめまいなどの症状が続く場合は、早めに医師へ相談し、自己判断での継続利用は控えましょう。

まとめ

サウナは心身をリフレッシュさせる魅力的な習慣ですが、高血圧の人には特有のリスクがあります。大切なのは、「リスクを理解したうえで安全に楽しむ」という姿勢です。  

温度や時間を調整し、体調に合わせて無理のない利用を心がけましょう。  

そして、少しでも不安を感じたときは、必ず医師に相談すること。  

自分の体を守るために正しく「知ること」こそが、安心してサウナを続ける第一歩です。

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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。

◆引用文献:
※1:Matsuoka M, Ikeda K, Hashimoto E, Kawasaki K. Effects of sauna bathing and cold water immersion on blood pressure and pulse rate in normotensive young and middle-aged women. Health Science. 1999;21:21-27. 
※2:Lee E, Laukkanen T, Kunutsor SK, Khan H, Willeit P, Zaccardi F, Laukkanen JA. Sauna exposure leads to improved arterial compliance: Findings from a non-randomised experimental study. Eur J Prev Cardiol. 2018 Jan;25(2):130-138.