
執筆:看護師 図司真澄
健康診断で血圧が高いと言われたり、基準値が気になったりしていませんか。
血圧は年齢や生活習慣によって変化し、血圧が高い状態を放置すると脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気リスクにもつながります。
そこで本記事では、2025年8月に改訂された「高血圧管理・治療ガイドライン2025」の血圧の正常値や高血圧の診断基準、年代別の特徴、そして日常でできる対策までをわかりやすく解説します。


そもそも血圧とは?
収縮期血圧・拡張期血圧を知ろう
血圧とは、血液が血管の中を流れるときにかかる圧力のことです。
「収縮期血圧(上の血圧)」は心臓がグッと縮んで血液を送り出すときの圧力、「拡張期血圧(下の血圧)」は心臓が拡張して血液をため込むタイミングの血管の圧力を指します。
血圧は1日の中でも、生活リズムや自律神経の働き、気温の変化などによって変動します。
そのため、1回だけ測って判断するのではなく、日々の傾向を見ることがとても大切です。
診察室と家庭で測る血圧の違い
病院で測る血圧(診察室血圧)は、緊張や不安の影響で普段より高めに出ることがよくあり「白衣高血圧」と呼ばれます。
一方で、自宅で測る家庭血圧は、リラックスした状態で測定できるため、日常生活に近い血圧を反映しやすいとされています。
また、「仮面高血圧」というタイプも知られていて、診察時には正常でも、自宅で測ると高い血圧が出るケースで、〇〇が見落とされやすい点が特徴です。
そして、高血圧をそのまま放置すると、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気リスクにもつながるため、注意が必要です。
日常的な家庭血圧と、定期的な診察室血圧の両方を確認しながら、総合的に血圧を評価することが大切になります。
血圧の正常値・高血圧の基準値
高血圧管理・治療ガイドライン2025での高血圧の診断基準
血圧は健康を守るうえで欠かせない重要な指標です。
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めるため、早期の発見と継続的な管理が大切になります。
そこで以下、2025年8月に発表された高血圧の基準を以下の表で確認してみましょう。
■診察室血圧の基準値(mmHg)
| 分類 | 収縮期血圧 (最高血圧) /mmHg | 拡張期血圧 (最低血圧) /mmHg | |
| 正常な血圧 | 120未満 | かつ | 80未満 |
| 正常高値 | 120〜129 | かつ | 80未満 |
| 高値血圧 | 130〜139 | かつ/または | 80〜89 |
| 高血圧 | 140以上 | かつ/または | 90以上 |
■家庭血圧の基準値(mmHg)
| 分類 | 収縮期血圧 (最高血圧) /mmHg | 拡張期血圧 (最低血圧) /mmHg | |
| 正常な血圧 | 115未満 | かつ | 75未満 |
| 正常高値 | 115〜124 | かつ | 75未満 |
| 高値血圧 | 125〜134 | かつ/または | 75〜84 |
| 高血圧 | 135以上 | かつ/または | 85以上 |
このように、高血圧の診断基準自体に大きな変更はありませんが、家庭で測った方が基準が少し厳しくなっています。
その理由として、家庭血圧のほうが日常の状態に近く、実際のリスクをより正確に反映すると考えられているためです。
高齢者の降圧目標が変更に
治療によって目指すべき血圧の値のことを、「降圧目標」といいます。
これまでのガイドラインでは、高齢者における高血圧患者の降圧目標はややゆるめに設定されていました。
しかし、2025年の改訂では年齢にかかわらず目標が統一され、新しい降圧目標は以下のとおりです:
- 診察室血圧:130/80 mmHg 未満
- 家庭血圧:125/75 mmHg 未満
研究の結果、年齢に関係なく血圧をしっかり下げた方が、脳卒中や心臓病のリスクが下がることが分かってきたためです。
とはいえ、高齢の方では急激に血圧を下げすぎることで、「ふらつき」や「立ちくらみ」、「失神」といった症状が出ることもあります。
急いで数値を下げることを目指すのではなく、医師と相談しながら段階的に管理していきましょう。
血圧は年齢でどう変わる?年代別の傾向と注意点
20代〜30代の血圧の傾向と注意点
20代〜30代は、血圧が正常な人が多く、自覚症状も少ないため、健康への意識が向きにくい世代です。
「まだ若いから大丈夫」と思いがちですが、この年代でも高血圧と診断される方は時折いらっしゃいます。
背景には、塩分の多い食生活、運動不足、睡眠不足、不規則な生活リズム、精神的なストレスなどの生活習慣が関係していることも。
また、社会に出てからの仕事のプレッシャーに加え、妊娠・出産・育児といったライフイベントによる生活リズムの変化なども、血圧に影響を及ぼす場合があります。
健診などで血圧を指摘されたら、将来の高血圧リスクを減らすためにも生活習慣の見直しが必要です。
40代〜50代で急増!高血圧予備軍に要注意
40代~50代は、働き盛りでありながら体の変化も本格的に表れ始める世代です。
基礎代謝が落ち、体重が増えやすくなるうえに、ホルモンバランスの変化も加わり、血圧が徐々に高くなる人が増えてきます。
生活面では、仕事によるストレス、外食や飲酒の機会の増加、運動不足などが重なりやすい時期に。
さらに、子育てや親の介護といった家庭面での負担も加わり、心身に大きな影響を及ぼすことがあります。
その他にも40代~50代では、健康診断で「高値血圧」や「高血圧」と診断される人が急増します。
また、高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病が同時に見つかるケースも多くあります。
そのため、40代~50代は高血圧を含む生活習慣病が原因で、将来の脳卒中や心臓病リスクが高まる重要な分岐点といえるのです。
60代以上で気をつけたい血圧の変化
60代以上は、加齢にともなって体の機能が少しずつ変化していき、血管は徐々に弾力を失い硬くなりやすくなるため、血圧が上がりやすくなります。
また、基礎代謝の低下や筋肉量の減少、運動量の減少といった身体的な変化に加えて、定年退職などによる生活リズムの変化が血圧に影響を与えることも。
さらに、睡眠の質が低下しやすい、トイレの回数が増える、寒暖差の影響を受けやすくなるといった変化も見られやすく、これらが血圧の変動を大きくする要因になることもあります。
60代以上の方は、これまでなかった体調の揺らぎや、ちょっとしたストレスにも血圧が反応しやすくなる傾向があります。
そのため、これまで血圧に問題がなかった人でも、60代を迎えてから初めて異常を指摘されるケースも少なくありません。
今日からできる!血圧を下げる具体的な対策
①まず見直すべきは食生活
血圧を下げるために欠かせないのが、食生活の改善です。
とくに重要なのは「減塩」。
日本人は世界的に見ても塩分を多くとりがちで、令和5年(2023年)の調査では、
- 男性:平均 10.7 g/日
- 女性:平均 9.1 g/日
と報告されています。
これは、高血圧の予防・治療のために推奨されている1日6g未満の目標を大きく上回っています。
実際の工夫としては、
- しょうゆやソースは「かける」より「つける」
- ラーメンや汁物はスープを全部飲まない
- 加工食品やインスタント食品を控える
- スパイスや出汁のうまみで味付けする
など、毎日のちょっとした工夫で自然に減塩が可能になります。
【関連記事】高血圧を改善する食事法!注意すべき食材と栄養のポイント!
②おすすめの運動習慣とストレスケア
有酸素運動と筋力トレーニングをバランスよく組み合わせることで、血圧を下げる効果がより高まり、心臓や血管の健康維持にもつながります。
有酸素運動は、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどを1日30分程度続けるのが目安で、1回で30分が難しい場合は、10分以上を数回に分けて合計30分にしても効果があります。
一方で筋力トレーニング(スクワットや腕立て伏せ、ダンベル運動など)は1日20分程度を週2〜3回取り入れるのが理想です。
また、ストレスも血圧を上げる要因のひとつで、趣味の時間をつくったり、深呼吸や瞑想を取り入れる、睡眠の質を整えるといった工夫が、日々の血圧管理に役立ちます。
【関連記事】運動で血圧を下げる~おすすめの有酸素運動と控えるべき運動~
③家庭での血圧測定の習慣
自分の血圧の傾向を把握するうえで、家庭血圧を毎日記録することはとても大切です。
病院での測定だけでは、そのときの緊張や状況に左右されやすいため、自宅で継続的に記録することが診断や治療に役立ちます。
特に治療中の方は、薬の効果を確認するためにも、1日2回の測定が推奨されており、朝は起床後1時間以内(排尿後・朝食前・服薬前)、夜は就寝前のリラックスした状態で測定しましょう。
測定した値は、アプリや血圧手帳、ノートに記録しておき、診察時に医師へ見せると診断や治療方針の判断に大いに役立ちます。
【関連記事】血圧を無料で記録・管理する方法まとめ|紙・アプリ・エクセルを比較
【関連記事】血圧の正しい測定方法とは?注意点とアプリの活用について解説
まとめ|血圧の正常値・基準値を正しく知って未来の健康を守ろう
血圧は自覚がなくても高くなっていることがあり、そこで正常値や高血圧の基準値を正しく知っておくことが、健康を守る第一歩になります。
2025年改訂のガイドラインでは、高血圧の診断基準はこれまでと同じですが、家庭で測る血圧の大切さや、全年齢で共通の目標値が示されたことがポイントです。
ただし、どのくらい血圧を下げるべきか、どんな治療や生活改善が合うかは人によって違うため、年齢や体調に合わせて取り組むことが大切です。
そこで食事や運動、ストレス対策、家庭での血圧測定といった日常の工夫で、血圧を良い状態に保つことが期待できます。
今回ご紹介した内容を、できることから少しずつ取り入れて、正常値を意識した血圧管理を続けていきましょう。
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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。
◆参考文献
日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」


