
執筆:看護師 図司真澄
健康診断で「血糖値が高めですね」と言われて、「このままだとインスリン注射になるのでは?」と不安になっていませんか。
また、すでに糖尿病と診断されている方でも、「どのくらいの数値になったら注射が必要になるのか分からない」と悩む方も多いかもしれません。
この記事では「血糖値がどこまで上がるとインスリン注射になるのか」を中心に、なぜ注射が必要になるのかという基本から、血糖コントロールのポイントまで、分かりやすく解説していきます。

インスリン注射が検討されるタイミングと判断基準
まずは糖尿病の仕組みやインスリンの働きを理解したうえで、どのような場合に注射が検討されるのかを見ていきましょう。
そもそも糖尿病とは?なぜインスリン注射が必要になるのか
糖尿病とは、血液の中の糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。
本来、食事で取り込んだ糖は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって、体の細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われます。この仕組みによって、血糖値は一定の範囲に保たれているのです。
しかし糖尿病になると、このバランスが崩れてしまいます。
糖尿病には大きく分けて「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があり、それぞれ原因が異なる病気です。
1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど作られなくなってしまうため、体の外からインスリンを補う必要があります。子どものころや若い時期に発症し、早い段階から治療が必要になる方も多いのが特徴です。
一方で、2型糖尿病では、インスリンの量が足りなかったり、うまく働かなかったりすることで血糖値が高くなります。生活習慣や体質が関係していることが多く、日本人の糖尿病の多くを占めるのが2型糖尿病です。
インスリンの分泌が不足したり、働きが十分ではない状態が続くと体の中のインスリンだけでは血糖値を十分にコントロールしきれなくなることがあります。そのため、体の外からインスリンを補う方法として、注射が検討されます。
また、血糖値が高い状態が続くと、目や腎臓、神経などに影響が出るおそれがあるため、早めにコントロールすることが大切です。
インスリン注射が検討される目安
では、実際にどのくらいの状態になるとインスリン注射が検討されるのでしょうか。
インスリン注射は「この数値を超えたら必ず行う」といったように、数字だけで決まるわけではありませんが、一般的には次のような場合に検討されることがあります。(※1)
・1型糖尿病
・血糖値が非常に高く、ぐったりする・意識がもうろうとするなどの症状がある場合
・感染症や手術の前後などで血糖値が乱れやすい
・糖尿病合併妊娠など、より厳密な管理が必要な場合
・血糖値がかなり高い状態が続いている
(目安:空腹時250mg/dL以上、随時350mg/dL以上)
・食事や運動、飲み薬だけでは十分に下がらない
・やせ型で栄養状態が低下している など
このように、血糖値や体の状態をあわせて判断しながら、インスリン治療が選択されます。
血糖値が気になる人のための管理ポイントと記録の重要性
ここまで見てきたように、インスリン注射が必要になるかどうかは、血糖値や体の状態によって判断されます。では、自分の血糖値がどのような状態にあるのか、どうすれば把握できるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
血糖値が気になる段階の方にとっては、日々の変化を知ることが大切になります。
血糖値の変動を知る方法と記録の重要性
血糖値というと健康診断の数値を思い浮かべがちですが、実際には1日の中でも大きく変動しています。
食事のあとに上がったり、運動で下がったりと、その変化は人によってさまざまです。例えば、食後に急激に上がる「血糖値スパイク」と呼ばれる状態もあり、これは健康診断では見逃されやすい変化のひとつです。
【関連記事】血糖値スパイクのサインとは?食後の眠気・動悸の原因と対策を徹底解説
こうした変動を知るために、指先で血液をとって血糖値を測る方法(SMBG)のほか、「FreeStyleリブレ」のように、センサーを腕に装着して皮膚の下の体液に含まれるグルコース値(血糖値に近い値)を自動で確認できる方法(CGM)もあります。
インスリン注射に対して「怖い」と感じる方も多いかもしれません。しかし、適切な時期にインスリン注射を始めることで、合併症の進行を抑えられる可能性もあります。
そのため、適切な治療や生活習慣の改善につなげるためにも、血糖値の変化を把握しておくことが大切です。
Welbyマイカルテで血糖値を一元管理するメリット
血糖値の変動や生活習慣を記録する際に便利なのが、健康管理アプリの活用です。
なかでも「Welbyマイカルテ」は、血糖値だけでなく、日々の生活データをまとめて管理できる点が特徴です。
機器で測定した血糖値やグルコース値を自動で取り込めるほか、食事・服薬・運動・血圧・体重なども一緒に記録できます。
血糖値のグラフでは、食事のタイミングが表示されるため、「どの食事で上がりやすかったか」といった傾向を把握しやすいのが特徴です。

また、すでに薬の治療を始めている場合は、服薬記録や服薬アラートも活用することで、飲み忘れを防ぎ、より安定した血糖コントロールにつなげることができます。
こうした記録を続けることで、生活と血糖値の関係が見えるようになり、無理のない改善につながります。
まとめ
インスリン注射は、「血糖値がいくつ以上なら必ず行う」というように、数字だけで決まるものではありません。飲み薬や生活習慣の改善だけではコントロールが難しい場合など、治療状況や状態に応じて、総合的に検討されます。
まずは、自分の血糖値の変動を知ることが大切です。日々の記録を通じて傾向を把握することで、無理のない改善につなげることができます。
血糖値が気になる場合は、早めに医療機関で相談し、自分に合った管理方法を見つけていきましょう。

※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。
◆引用文献:※1:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」


