
健康診断で「血圧が高め」と言われたとき、どう対応すればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。放置してよいのか、すぐに病院へ行くべきか、あるいはまず家庭で何かできることがあるのかなど気になるでしょう。
本記事では、血圧の正常値や年代別の基準、再検査の必要性、そして生活習慣の見直し方法について、わかりやすくお伝えします。

健康診断で「血圧が高め」と言われる理由とは?
健康診断で血圧が高いと指摘されても、それがすぐに「高血圧の確定診断」につながるわけではありません。まずは診断の背景と評価基準を正しく理解しておきたいところです。
診察室血圧と家庭血圧の違い
健康診断では「診察室血圧」と呼ばれる、医療機関で測定された血圧が用いられます。この数値は、環境や緊張状態の影響を受けやすく、普段より高めに出やすい傾向があります。一方で、「家庭血圧」は、リラックスした状態で測定するため、より実態に近い血圧を把握することができます。
健診では正常でも家庭での測定では高い。そんな「仮面高血圧」のケースや、逆に健診では高くても家庭では正常な「白衣高血圧」も存在します。これらを見極めるには、日々の血圧測定が欠かせません。
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健康診断での血圧評価の基準
日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室血圧を以下のように分類しています。
また、健康診断では、血圧の結果に応じて「B・C・D」などの判定がつくことがあります。これは、高血圧の程度に応じた受診の目安を示すものです。
- D判定(Ⅱ度高血圧以上:160/100mmHg以上)
→ すぐに医療機関への受診が必要なレベル。 - C判定(Ⅰ度高血圧:140~159/90~99mmHg)
→ 生活習慣改善と家庭血圧の観察を行い、それでも改善が見られなければ受診を。 - B判定(正常高値血圧:130~139/80~89mmHg)
→ 現時点では軽度の異常だが、将来的に高血圧へ進行する可能性が高いため注意。
この基準はあくまでスクリーニングの目安であり、本格的な判断は家庭血圧や生活背景を含めて行うのが望ましいです。
※健康診断の判定基準は、施設や自治体によって若干異なる場合があります。
血圧の正常値と引っかかる数値の目安を年代別に解説
血圧の「正常値」とされる範囲は、原則として年齢にかかわらず以下が基準となります。
- 診察室血圧:120/80mmHg未満
- 家庭血圧:135/85mmHg未満
しかし実際には、年齢を重ねるにつれて血管が硬くなり、血圧は上昇しやすくなります。以下に年代別の傾向と注意点を整理します。
40代:
この年代はまだ血管の柔軟性が保たれているものの、仕事や家庭でのストレスが増える時期でもあり、早期の高血圧が発見されることがあります。正常値をわずかに超えた場合でも、今後の進行を防ぐため生活習慣の見直しが有効です。
50代:
動脈硬化が進み始める年代であり、健康診断で「引っかかる」とされる人が増えてきます。B〜C判定が多く、放置すればすぐにD判定(要精密検査または要治療)に進行する可能性もあるため、家庭血圧の測定と習慣改善が重要になります。
60代以上:
血圧の平均が高くなる一方、脳卒中や心筋梗塞といった合併症のリスクも高まる年代です。たとえ症状がなくても、診察室血圧で140/90mmHgを超えるようであれば、家庭血圧を計測した上で、医療機関に相談してみましょう。
このように、年齢に応じてリスクが高まるため、「まだ大丈夫」とは考えず、年代に合った対策を講じておくことが大切です。
高血圧を放置するとどうなる?見えないリスクに注意

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれる通り、症状が出ないまま進行し、突然命に関わる疾患を引き起こすことがあります。
中でも代表的なものが脳卒中と心筋梗塞です。高い血圧が血管に持続的なダメージを与えることで、血管が破れたり詰まったりするリスクが飛躍的に高くなります。また、腎臓の機能も低下しやすく、放置すれば透析が必要なレベルに至ることもあります。
このような事態を避けるためには、数値に表れた異常を見逃さず、早期に生活を見直すことが何よりも効果的です。
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家庭でできる!血圧の測定と生活習慣の見直し
病院に行く前に、まずは自宅で自分の血圧を正しく把握することから始めてみましょう。健康診断はあくまで一時的な測定であり、日常生活の中での血圧傾向を知るには家庭血圧の測定が欠かせません。
また、血圧に影響する生活習慣を見直すことで、医療に頼らずとも予防や改善が可能になります。ここでは、家庭で実践できる測定方法や見直すべき習慣について解説します。
正しい家庭血圧測定の方法
家庭血圧の測定は、朝晩のリズムに合わせて毎日続けることがポイントです。朝は起床後1時間以内、トイレを済ませて朝食や薬の前に。夜は就寝前にリラックスした状態で測定しましょう。座って1~2分安静にしてから、腕を心臓の高さにして測るのが基本です。
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1週間の平均値で判断する理由
血圧は日々変動するため、1回だけの測定で判断するのは適切ではありません。1週間、朝晩の測定結果の平均値を見ることで、より信頼性の高い判断が可能になります。平均値が135/85mmHgを超えていれば、高血圧の可能性があります。
血圧計の選び方と活用法
正確な測定には、上腕式の自動血圧計を選ぶのがおすすめです。手首式は簡便ですが誤差が出やすいため注意しましょう。測定値をアプリや手帳に記録しておくと、医師に相談するときに役立ちます。最近ではPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)アプリと連携できる機種も増えています。
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血圧を下げる生活習慣改善とは?具体的な取り組み

血圧が高めと指摘されたからといって、すぐに薬を飲まなければいけないわけではありません。まずは生活習慣の改善によって、血圧を自然に安定させていく方法を取り入れてみませんか?
塩分の摂取量、運動の習慣、ストレス管理など、毎日の積み重ねが将来の健康を守ります。医学的にも効果が認められている、血圧を下げる具体的な生活習慣を紹介します。
減塩と栄養バランスの取れた食事
1日の塩分摂取量は6g未満が理想とされています。外食や加工食品に頼りすぎず、和食中心の食生活に切り替えるとよいでしょう。また、カリウムを多く含む食品(野菜・果物・海藻など)を積極的に摂取すると、血圧を下げる効果が期待できます。
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有酸素運動・体重管理
ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を週3〜5回、1回30分程度行うことが推奨されます。特に肥満気味の方は、体重を5〜10%減らすことで血圧が有意に下がるという研究結果もあります。
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禁煙・節酒・ストレス対策
喫煙は血管を収縮させ、血圧を一気に上昇させます。高血圧と診断されたら、まずは禁煙を目指しましょう。アルコールも1日1合未満を目安に。加えて、日常生活の中でストレスをうまくコントロールすることも忘れてはなりません。瞑想や趣味の時間を取り入れて、心身ともにリラックスできる環境を整えていきたいところです。
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まとめ
健康診断で血圧が高めと指摘されたとき、「自覚症状もないし大丈夫だろう」と思ってしまうのは非常に危険です。とくに40代以降は血圧の変化が起きやすく、放置すれば命に関わる病気のリスクが高まります。
年齢ごとのリスクを正しく把握し、日常的に家庭血圧を測定しながら、食生活・運動・ストレス管理といった生活習慣を見直していくことが何よりの対策となります。必要に応じて、医師のアドバイスを受けながら、無理なく継続できる方法を探していきましょう。
今すぐできることから始める。それが、未来の自分を守る第一歩です。
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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。