
執筆:看護師 図司真澄
最近「アマニ油が血圧に良い」と耳にした人も多いかもしれません。
本記事では、アマニ油の栄養成分が血圧にどのように関わるのか、効果的な摂り方や注意点をシンプルに解説します。普段の食事に無理なく取り入れ、続けられる方法を紹介します。


アマニ油と血圧の関係とは?その働きと効果をやさしく解説
アマニ油が健康づくりによいと言われる理由のひとつは、「オメガ3脂肪酸」をしっかり摂れることです。
ここでは、アマニ油に含まれる成分がどんな役割を持ち、血圧とどのように関係しているのかをわかりやすく紹介します。
アマニ油に多く含まれるオメガ3脂肪酸とは
アマニ油(亜麻仁油)は、亜麻(あま)という植物の種子からとれる植物油です。ヨーロッパでは古くから食用として使われ、日本でも健康意識の高まりとともに注目されるようになりました。
最大の特徴は、ほかの植物油と比べてもオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)がとても多く含まれていることですが、オメガ3脂肪酸は体内でほとんど作れないため、食事からとる必要がある大切な栄養素です。
オメガ3脂肪酸と聞くと「体にいい油」というイメージがありますが、実際にはいくつか種類があります。
その代表が魚によく含まれる EPA と DHA です。
- EPA(エイコサペンタエン酸)… 血流や血管の健康維持をサポート
- DHA(ドコサヘキサエン酸)… 脳や神経の働きをサポート
EPAとDHAは、幅広く体のバランスを整える役割があると言われています。一方、アマニ油に豊富なのは α-リノレン酸 という成分です。
α-リノレン酸は、私たちの体の中で少しずつEPAやDHAのような成分に変換されます。
変換の量は人によって違いますが、「魚の油(EPA・DHA)と同じ仲間の働きがある成分」とイメージするとわかりやすいかもしれません。
アマニ油が血圧をサポートするといわれる理由
血圧と深い関係があるのが「血管のしなやかさ」です。年齢や生活習慣の影響で血管が硬くなると、血圧は高くなりやすくなり、いわゆる動脈硬化です。
オメガ3脂肪酸は、血管の健康を守るために役立つ栄養素で、年齢とともに変化しやすい血圧のバランスを整える助けになると考えられています。
海外の研究では、アマニ(亜麻仁)の成分を含む食品を6か月間継続摂取したグループで、下記の結果が報告されています。
- 収縮期血圧(上の血圧)が約10mmHg低下
- 拡張期血圧(下の血圧)が約7mmHg低下
特に、もともと血圧が高めの人ではより大きな変化が見られたとされています。※1
ただし、この結果は特定の研究に基づくもので、食品による影響には個人差が大きく、すべての人に“確実に下がる”というものではないこと、薬ではないことには注意が必要です。
他の油(えごま油・オリーブオイル)との違い

油には原料や含まれる脂肪酸の種類によって、味わい・風味・健康面での特徴、そして調理に向く場面が大きく変わります。
アマニ油・えごま油・オリーブオイルは見た目は似ていますが、それぞれに適した使い方があります。
以下の表では、それぞれの油の特徴と、使用する際の注意点をまとめています。
| 油の種類 | 特徴 | 使用するときの注意点 | |
| アマニ油 | ・亜麻(アマ)という植物の種子から作られる油 ・オメガ3(α-リノレン酸)が豊富・酸化しやすい ・独特の苦味や香りがある | ・加熱調理はNG(炒め・揚げNG) ・開封後は1〜2か月以内に使い切る ・冷蔵保存が基本 ・光と空気に弱いため暗く涼しい場所で保管 | |
| えごま油 | ・えごま(シソ科)の種子から作られる油 ・オメガ3(α-リノレン酸)が豊富 ・酸化しやすい | ||
| オリーブオイル | ・オリーブの果実から作られる油 ・オメガ9(オレイン酸)が豊富 ・酸化に強い | ・加熱調理OK ・香りが強いため和食だと合わない料理もある |
アマニ油の摂り方と注意点|効果を引き出す3つのポイント

アマニ油の良さをしっかり取り入れるためには、摂取量や使い方に少し気をつける必要があります。
ここでは、毎日の食事に無理なく続けられる取り入れ方と、注意しておきたいポイントをわかりやすくまとめます。
一日にどれくらい摂るのが目安?
アマニ油の摂取量は、一般的には1日あたり小さじ1杯(約4g)程度が目安とされています。
これは、アマニ油に多く含まれる オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸) の量と、厚生労働省が示している基準「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 ※1 に基づいた目安量です。
厚生労働省の基準では、成人の場合に下記のオメガ3脂肪酸の摂取が目安とされており、アマニ油なら小さじ1杯ほど補える計算になります。
- 男性:2.2〜2.3g
- 女性:1.7〜2.0g
ただし、「多く摂れば良い」というものではありません。油であるため、カロリーやお腹がゆるくなる可能性を考えると、まずは小さじ1を毎日続けることがちょうど良い取り入れ方です。
アマニ油の使い方のコツ
- サラダにかける
- 納豆に混ぜる
- ヨーグルトと合わせる
- トマトジュースにひとまわし
- 味噌汁やスープは「少し冷ましてから」加える
- パンにつけて食べる
アマニ油は薬ではないため、「朝でなければいけない」「夜が良い」などの決まりはありません。続けやすいタイミングで取り入れれば十分です。
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摂りすぎや薬の影響に注意
アマニ油は食品として安全に摂取できる油ですが、いくつか気をつけたい点があります。
・摂りすぎに注意
たくさん摂っても効果が高まるわけではなく、お腹がゆるくなる、カロリー過多になるなどの可能性があります。
・薬を飲んでいる場合
アマニ油に含まれるオメガ3脂肪酸には、血の固まり方に関わる性質があるため、同じ働きを持つ薬と併用する際は念のため注意が必要です。 特に、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を使用している方は、念のため医師に相談すると安心です。
・体質に合わない場合
油が体質に合わない場合、胃の不快感、下痢気味になるなどの症状が出ることがあります。その場合は量を減らす、摂取するのをやめるなど、調整しましょう。
食品と組み合わせると続けやすい
アマニ油は単体で飲むよりも食品と合わせたほうが続けやすく、食べやすさもアップします。アマニ油との組み合わせを2つ紹介します。
アマニ油×トマトジュース
- まろやかになり飲みやすい
- 朝の習慣にしやすい
- トマトの成分と一緒に摂れる
アマニ油×ヨーグルト
- クセがほとんど消え風味がマイルドになる
- フルーツと合わせやすくデザート感覚になる
- お腹の調子を整える食品と相性がよい
無理なく続けるための工夫
アマニ油は「続けるほど良さが積み重なる油」です。以下のように、毎日の生活に自然と溶け込ませる工夫が役立ちます。
- 冷蔵庫の見える位置に置く
- いつもの料理に「仕上げのひとまわし」を習慣にする
- 納豆・ヨーグルト・トマトジュースなど、混ぜやすい食品を常備する
- 小さじ1を毎日続けるだけでOKと考える
無理なく取り入れることで、アマニ油を安心して長く続けやすくなります。
まとめ:アマニ油を上手に取り入れて健康的な食生活を
アマニ油は、体内でつくれないオメガ3脂肪酸を効率よく摂れる油で、血圧ケアに関心がある人の日々の食生活に取り入れやすい食品です。
効果を求めすぎる必要はなく、小さじ1杯を“無理なく続けること”がいちばんのポイントです。加熱を避けてサラダやヨーグルト、納豆などにかけるだけで手軽に取り入れられます。
自分の体調や生活に合わせて上手に活用し、健康的な習慣づくりに役立ててみてください。
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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。
出典:
※1:Rodriguez-Leyva D, et. ol. Potent antihypertensive action of dietary flaxseed in hypertensive patients. Hypertension. 2013 Dec;62(6):1081-9.
※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」


