
執筆:看護師 図司真澄
健康診断で血圧が高いと指摘されると、「食事で改善できることはないだろうか」と考える人も多いでしょう。なかでも、オリーブオイルは健康的な油として知られており、「血圧に良いのでは?」と気になっている人もいるかもしれません。
実際に、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸やポリフェノールなどの成分は、血圧や心血管の健康との関係について研究が進められています。
この記事では、オリーブオイルに含まれる成分や血圧との関係、そして日常の食事への取り入れ方について解説します。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、高血圧の改善や治療効果をもたらすことを示すものではありません。治療については医師など専門家にご相談ください。


オリーブオイルは血圧にいい?注目される理由
健康的な油として知られるオリーブオイルですが、「血圧に影響があるのだろうか」と気になる人も多いでしょう。
まずは、オリーブオイルに含まれる成分と効果、そして血圧との関係を見ていきます。
オリーブオイルに含まれる成分と健康効果
オリーブオイルの主な成分は「オレイン酸(オメガ9系脂肪酸)」と呼ばれる一価不飽和脂肪酸です。オレイン酸は植物油に多く含まれる脂肪酸の一つで、オリーブオイルの約7〜8割を占める主要成分といわれています。
オリーブオイルにはエキストラバージンオリーブオイルと普通のオリーブオイルがあります。
エキストラバージンオリーブオイル:オリーブの実を搾ったバージンオイル(一番搾り)のうち、酸度が0.8%以下で特に良質なものをいい、オリーブオイル特有の香りが強いものです。
オリーブオイル:精製したオリーブオイルとエキストラバージンオリーブオイルをブレンドし、マイルドな風味に仕上げたものです。(日清オイリオHPより抜粋)
上記エキストラバージンオリーブオイルに多く含まれているのが、ポリフェノールなどの抗酸化成分です。研究では、これらの成分がLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の酸化を抑える可能性があることが報告されています(※1)。
LDLコレステロールが酸化すると動脈硬化の進行に関係すると考えられているため、こうした働きが心臓や血管の病気とどのように関係するのかが研究されています。
さらに、オリーブオイルを多く使う食事スタイルとして知られているのが「地中海食」。
地中海食とは、野菜や果物、魚、豆類、ナッツなどを中心に、主な脂質としてオリーブオイルを使う食事パターンです。
ある研究では、オリーブオイルを多く使う地中海食を取り入れたグループは、通常の食事指導を受けたグループと比べて、心血管疾患の発症リスクが低かったことが報告されています(※2)。
また、エキストラバージンオリーブオイルには腸の働きに関する研究もあり、精製されたオリーブオイルに比べて便秘の改善がみられたという報告も(※3)。
こうした研究から、オリーブオイルに含まれる成分は、心臓や血管の健康、さらに腸の働きなど、さまざまな体の機能に影響する可能性があると考えられています。
オリーブオイルは単独で特別な効果を期待する食品というよりも、野菜や魚などを中心とした食事の中で使われる油の一つです。
こうした働きは血圧を含む心血管の健康とも関係すると考えられており、オリーブオイルと高血圧との関係についても研究が進められています。
なぜオリーブオイルが高血圧対策に役立つといわれるのか
オリーブオイルについては血圧との関係についても多くの研究が行われています。特に、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸が、血圧の低下に効果的であるという報告もあります(※4)。
高血圧の管理では、減塩だけでなく、食事全体のバランスも重要です。例えば「地中海食」や、野菜や果物、低脂肪乳製品などを組み合わせた「DASH食」といった食事パターンが血圧管理に役立つ理想的な食事と言われています(※5)。
DASH食は「高血圧を止めるための食事法」という意味で、塩分を控えつつ、カリウム、マグネシウム、カルシウムを多く含む食品を重視した食事方法です。上記の成分から血圧を下げる効果や脳心血管病のリスクが減少することが示されています。
オリーブオイルを主な脂質源として野菜や魚などを組み合わせた食事は、血圧を含む心血管リスクの改善につながる可能性が示されています。そのため、オリーブオイルは高血圧を意識した食事の中でも取り入れやすい油の一つと考えられています。
【関連記事】アマニ油は血圧を下げる?効果とリスク、 正しい使い方をわかりやすく解説
血圧が気になる人のためのオリーブオイル活用法

オリーブオイルは健康的な食事に取り入れやすい油の一つですが、「どのくらい使えばよいのか」「どんな食べ方がよいのか」と疑問に思う人も多いでしょう。
ここでは、血圧を意識した食事の中でオリーブオイルを取り入れる際の目安や活用のポイントを紹介します。
血圧対策としてのオリーブオイルの適量とタイミング
オリーブオイルは健康的な油として知られていますが、脂質であることに変わりはないため、摂りすぎには注意が必要です。一般的に、1日あたり大さじ1-2杯が適量とされており、食事の中で使う油は量を意識して取り入れることが大切です。
オリーブオイルを使う場合は、揚げ物の油として大量に使うよりも、サラダにかけたり、料理の仕上げに少量加えたりする方法が取り入れやすいでしょう。
また、パンにバターの代わりにオリーブオイルを使う、炒め物に少量使うなど、普段使っている油をオリーブオイルに置き換える方法もあります。こうした取り入れ方であれば、食事全体のバランスを保ちながらオリーブオイルを活用できます。
大切なのは、オリーブオイルを特別な食品として大量に摂ることではなく、普段の食事の中で無理なく取り入れることです。
トマトジュースと一緒に?オリーブオイルの選び方と活用のコツ
最近では、トマトジュースにオリーブオイルを加えて飲む方法が紹介されることもあります。
トマトに含まれるリコピンは強い抗酸化作用で知られている成分です。リコピンは脂溶性の成分であるため、油と一緒に摂ることで体内への吸収率が高まる可能性があるといわれています。
そのため、トマトを使った料理にオリーブオイルを加えるのは、栄養面でも理にかなった組み合わせといえるでしょう。
例えば、トマトサラダやトマトスープ、パスタなどにオリーブオイルを使うと、料理の風味も引き立ちます。
こうした組み合わせは、野菜を中心とした食事を取り入れやすくするため、血圧を意識した食事づくりにも役立つと考えられます。
また、オリーブオイルを選ぶ際は「エキストラバージンオリーブオイル」と表示されたものを選ぶとよいでしょう。エキストラバージンオリーブオイルは、精製されたオリーブオイルに比べてポリフェノールなどの成分を多く含むとされています。
ただし、どの油でも同じですが、保存状態や鮮度も大切です。開封後はできるだけ早めに使い切り、直射日光や高温を避けて保存することがポイントです。
食事改善と血圧の記録で始める高血圧対策
高血圧の管理では、食事だけでなく生活習慣全体を見直すことが重要です。
食事の内容を見直すと同時に、自分の血圧の変化を把握することも大切です。家庭で血圧を測定し、日々の記録をつけることで、生活習慣の変化と血圧の関係が分かりやすくなります。
最近では、血圧や体重、服薬状況などを記録できるアプリもあり、血圧の変化を継続的に把握するための方法の一つです。
例えば、Welbyマイカルテでは、血圧の記録だけでなく体重や食事もスマートフォンで管理できるため、生活習慣の改善と合わせて健康状態を把握することができます。
食事を見直すことと、血圧を継続的に記録すること。この2つを組み合わせることが、高血圧対策を続けるうえでの重要なポイントといえるでしょう。
まとめ|オリーブオイルを上手に取り入れて血圧対策を
オリーブオイルにはオレイン酸やポリフェノールなどの成分が含まれており、血圧を下げる作用や心血管疾患リスクの減少など、様々な健康効果があると言われています。
ただし、オリーブオイルを摂っていたら安心というわけではなく、野菜や魚を中心とした食事や減塩、運動などを組み合わせた生活習慣の改善の中で取り入れることが大切です。
普段の食事にオリーブオイルを上手に取り入れながら、血圧の記録や生活習慣の見直しを続けることが、高血圧対策を続けるための第一歩といえるでしょう。
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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。
◆引用文献:
※1:Tsujino S, Sadamitsu S, Nosaka N, Fushimi T, Kishimoto Y, Kondo K.Age-Related Effects of Olive Oil Polyphenol Ingestion on Oxidation of Low-Density Lipoprotein in Healthy Japanese Men: A Randomized Controlled Double-Blind Crossover Trial.Nutrients. 2024;16(19):3342.
※2 Estruch R, Ros E, Salas-Salvadó J, et al. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet. N Engl J Med. 2013;368(14):1279-1290.
※3: Joukar F, Mozaffari Chenijani SN, Maroufizadeh S, et al.Comparative efficacy of extra virgin olive oil versus refined olive oil in the treatment of individuals suffering from constipation: A double-blind randomized clinical trial study.Caspian J Intern Med. 2025;16(4):674-685.
※4: Terés S, Barceló-Coblijn G, Benet M, Alvarez R, Bressani R, Halver JE, Escribá PV.Oleic acid content is responsible for the reduction in blood pressure induced by olive oil.Proc Natl Acad Sci U S A. 2008;105(37):13811-13816.
※5:日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」


