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高血圧性脳症とは?激しい頭痛・嘔吐・意識障害が起こる原因と治療法をわかりやすく解説

高血圧性脳症とは?激しい頭痛・嘔吐・意識障害が起こる原因と治療法をわかりやすく解説

執筆:看護師 図司真澄

高血圧の合併症として思い浮かべるのは、脳出血や脳梗塞という人が多いかもしれません。

しかし、血圧が高い状態が続いたり、急激に上昇したりすると、脳の血流調整がうまくいかなくなり「高血圧性脳症」を発症することがあります。

高血圧性脳症は、激しい頭痛嘔吐意識の変化などが初期症状として現れることもあり、早く気づいて対応することが重要です。

本記事では、高血圧性脳症の特徴や原因、治療の考え方について、わかりやすく解説します。

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高血圧性脳症とはどんな病気か|症状からわかる特徴

高血圧は自覚症状が少ないため、体調の変化と結びつけにくい病気です。

高血圧性脳症では、「いつもと違う頭痛」や「突然の嘔吐」など、日常的な不調に見えるサインが重要な手がかりになるため、その特徴を確認していきましょう。

高血圧性脳症の定義と特徴

高血圧性脳症とは、血圧が急激に上がったり、非常に高い状態が続いたりすることで、脳の血流調整がうまくいかなくなり、脳に一時的な障害が起こる病気です(※1)。

血圧の上昇によって脳の血管に強い負担がかかり、脳がむくんだような状態になることが発症のしくみとされています。

適切な治療が行われない場合には、脳出血や昏睡を引き起こし、命に関わる状態に至ることもあるため、決して軽視できない病気とされています。

頭痛・嘔吐が起こる理由

高血圧性脳症では、強い頭痛や吐き気、嘔吐が初期症状として現れることが多くあります。

血圧が急に上がると、脳の血流を調整する仕組みがうまく働かなくなり、脳がむくんだような状態になることがあり、その結果、脳の中の圧が高まり、頭痛や吐き気といった症状が起こりやすくなります。

頭痛や悪心・嘔吐は高血圧性脳症の代表的な症状として挙げられており、「いつもと違う」「急に強くなった」と感じる場合は注意が必要です。特に、高血圧を指摘されている人がこれらの症状を訴える場合は、早めに医療機関を受診してください。

 意識障害やけいれんが現れるケース

血圧の上昇がさらに進むと、頭痛や嘔吐に加えて、意識がはっきりしなくなる、受け答えがおかしくなる、動きが鈍くなるといった意識障害が現れます。重い場合、けいれん発作を起こすこともあり、周囲から見ても明らかに異変が分かる状態になります。

高血圧性脳症では、このような意識障害やけいれんに加えて、視界がぼやける、見えにくくなるといった視力の異常も症状のひとつです。これらの症状が現れている場合は緊急性が高いため、自己判断せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。

高血圧性脳症の原因と発症のきっかけ

高血圧性脳症は、血圧が高い人であれば誰にでも起こるのか、それとも発症しやすくなるきっかけや条件があるのか。

この章では、高血圧性脳症が起こる仕組みと、日常生活の中に潜む発症のきっかけについて解説します。

 急激な血圧上昇が引き金になる仕組み

高血圧性脳症は、血圧が急激に、または著しく上昇することで発症しやすくなるとされています。

長期間高血圧がある人では、220/110mmHg以上、これまで高血圧を指摘されていなかった人でも160/100mmHg以上になると、発症のリスクが高まると示されています(※1)。

このような急激な血圧上昇の背景としては、降圧薬を自己判断で中断した場合や、ほかの薬剤の影響、強い精神的ストレスなどが関係することがあります

血圧が短時間で大きく上がると、脳の血流を一定に保つ仕組みが追いつかなくなり、脳の中に余分な水分がたまりやすくなります。その結果、頭痛や嘔吐、意識の変化といった症状が現れます。特に、普段の血圧がそれほど高くない人でも、急激な変動が起こった場合には注意が必要です。

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 ストレスや生活習慣との関係

高血圧性脳症の背景には、血圧そのものだけでなく、日々のストレスや生活習慣の影響が重なっていることがあります。強い精神的ストレスや睡眠不足、過労が続くと、自律神経のバランスが乱れ、血圧が急に上がりやすくなります。

看護師として現場で関わる中でも、「忙しさが続いて血圧を測れていなかった」「薬は飲んでいたが生活が乱れていた」という方が、急な体調変化をきっかけに受診されるケースを少なからず見てきました。また、塩分の多い食事や飲酒の習慣、降圧薬の飲み忘れなども、血圧を不安定にする要因になります。

高血圧性脳症は、こうした生活背景が積み重なった結果として発症することもあるため、「数値が高いかどうか」だけでなく、「最近の生活に無理がなかったか」を振り返ることが大切です。日頃から血圧を記録し、体調や生活の変化とあわせて把握しておくことが、発症リスクに早く気づくための助けになります。

【関連記事】ストレスで高血圧に? -意外な関係性と改善ポイントを解説-

高血圧性脳症の治療と回復までの流れ

高血圧性脳症の治療と回復までの流れ

突然の頭痛や意識の変化で受診し、そのまま入院となるケースも少なくありません。高血圧性脳症では、血圧を安全にコントロールする治療が重要になるため、治療の進め方や経過の見方を整理して解説します。

治療の基本は「安全に血圧を下げる」

高血圧性脳症の治療で最も大切なのは、症状を見逃さず、適切な治療をできるだけ早く、かつ安全に始めることです。

また、血圧が非常に高い状態を見ると、早く下げたほうがよいと感じるかもしれませんが、急激に下げすぎると、かえって脳への血流が不足し、症状が悪化するおそれがあります。

そのため、短時間で一気に下げるのではなく、状態を確認しながら段階的に血圧を下げることが基本とされています(※1)。

実際の治療では、血圧を下げる点滴を行いながら、意識のはっきりさ、頭痛の程度、吐き気の有無、血圧の変化などを細かく観察します。高血圧性脳症の治療は、安全性を最優先しながら進める治療であることが特徴です。

入院期間・後遺症・予後の考え方

高血圧性脳症と診断された場合、多くは入院して治療と経過観察が行われます。入院期間は、症状の重さや血圧が安定するまでにかかる時間によって異なり、血圧が落ち着き、頭痛や意識障害などの症状が改善してくると、点滴から内服薬による治療へと切り替えられます。

突然の入院や説明を受け、本人だけでなく家族の方も強い不安を感じることは皆さん同じです。

実際に患者さんや家族の方から「このまま元の生活に戻れるのか?」「後遺症は残らないのか?」といった質問を受けることがあります。高血圧性脳症では、治療が進むにつれて症状が落ち着いていくケースもありますが、経過には個人差があり、油断はできません

そのため、退院後も血圧管理を続けることが非常に重要になります。高血圧性脳症は、入院中の治療だけで完結する病気ではなく、その後の生活や血圧との向き合い方まで含めて考える必要がある病気です。

本人と家族が病気を正しく理解し、無理のない形で血圧管理を続けていくことが、再発や重症化を防ぐための大切なポイントになります。

日々の血圧管理が高血圧性脳症の予防につながる理由

日々の血圧管理が高血圧性脳症の予防につながる理由

入院中は毎日血圧を測っていたのに、退院後は次第に測らなくなってしまう人も多く、実際に血圧の変化に気づくのが遅れたことで、再び体調を崩して受診されるケースがあります。

この章では、日々の血圧管理がどのように役立つのかを具体的に見ていきましょう。

血圧の変化に早く気づくことが重症化を防ぐ第一歩

高血圧性脳症の予防を考えるうえで、血圧の数値を把握することはもちろん大切です。

そのうえで、普段と比べて急に高くなっていないか、数日間続けて上昇していないかといった、血圧の「変化」に目を向けることが重要です。数値とあわせて変化を確認することで、体調の異変に早く気づくことができます。

実際の現場でも、日頃から血圧を記録している方は、「いつ頃から数値が高くなったか」「どのくらい続いているか」を具体的に説明できることが多く、受診のタイミングが早くなる傾向があります。

また、「こんなことがあってストレスが溜まっていた」「飲み会が続いていた」など、なぜ血圧が変動したかを把握されている方も多い印象です。

その結果、症状が重くなる前に対応できるケースも少なくありません。高血圧性脳症を完全に防ぐことは難しくても、血圧の数値と変化の両方を意識することが、重症化を防ぐための大切な第一歩になります。

アプリを使った血圧記録の活用方法

血圧の記録は、紙の手帳でも問題ありませんが、無理なく続けることが何より大切です。

最近では、血圧計と連携できるアプリや、数値を簡単に入力できるアプリを活用する人も増えています。

アプリを使うことで、過去の血圧の推移を振り返りやすくなり、「少しずつ上がってきている」といった変化にも気づきやすくなるようです。

また、診察時に記録を見せることで、医師や看護師が状況を把握しやすくなるという利点もあります。実際に、患者さんから血圧の記録を見せてもらうことで、生活状況や服薬状況を具体的に確認しやすくなると感じる場面は多くあります。

大切なのは、自分の生活に合った方法で血圧管理を続けることであり、アプリはそのための活用しやすい方法の一つです。

まとめ

高血圧性脳症は、血圧の急激な上昇によって頭痛や嘔吐、意識障害などが現れる、注意が必要な病気です。発症を防ぐためにも、日頃から血圧の数値や変化を把握しておくことが欠かせません

あわせて、食事・運動・睡眠などの生活習慣を整え、血圧が大きく変動しにくい体調管理を心がけることも大切です。

無理のない方法で血圧管理と生活習慣の見直しを続けることが、重症化を防ぐための第一歩といえるでしょう。

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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。

◆引用文献:
※1:日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」