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夜中にトイレが近いのは高血圧のサイン?意外と深い“血圧と夜間頻尿”の関係

夜中にトイレが近いのは高血圧のサイン?意外と深い“血圧と夜間頻尿”の関係

執筆:看護師 図司真澄

夜中に何度もトイレに起きてしまうと、ぐっすり眠れず疲れが残ってしまいます。  

加齢だから仕方ない」と思って放置していませんか?

実は夜間頻尿は、血圧心臓腎臓の状態と深く関係していることがあります。  

この記事では、夜間頻尿の基本から高血圧との関係、年代や性別による特徴、生活習慣の改善法までわかりやすく解説します。

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夜間頻尿とは?眠りを妨げる“夜間の排尿”の正体

夜中にトイレで目が覚めることは多くの人に見られる現象ですが、回数が多いと睡眠の質が下がり、体の回復力にも影響します。

この章では、夜間頻尿がどんな状態を意味し、昼間の頻尿とどう異なるのかを整理します。睡眠と健康の関係を理解する第一歩です。

夜間頻尿の定義

夜間頻尿とは、夜の睡眠中に1回以上トイレに起きることを指します(※1)。加齢により増える症状で、多くの高齢者が夜間頻尿に悩まされています。

夜中の排尿が続くと深い眠りが妨げられ、翌日の集中力低下だるさの原因になることも多いです。

夜間頻尿と昼間の頻尿との違い

昼間の頻尿は、飲んだ水分量膀胱の容量が関係します。  

一方、夜間頻尿は飲んだ水分や膀胱の容量だけではなく、「夜間に尿が過剰に作られる」ことも理由の一つであり、腎臓や心臓の機能、血圧のコントロールといった全身の問題が背景にある場合が多いです。  

他にも、睡眠障害によって夜中に何度も目が覚めて、その度にトイレに行くという方もいます。

こうした夜間頻尿は、単に「水分を控えればよい」という問題ではなく、体全体の健康状態を見直すきっかけになることもあります。  

高血圧と夜間頻尿の意外な関係

夜間頻尿は単なる生活習慣や加齢だけでなく、高血圧が大きく影響しているケースもあります。  

ここでは、血圧の変動尿の量回数にどのように関係するのか、そして夜になっても血圧が下がらない「夜間高血圧」と薬の関係について具体的に見ていきましょう。

血圧が高いと尿量が増えるメカニズム

高血圧の状態が続くと、腎臓体内の余分な水分や塩分を外に出そうとする働き強まり、日中だけでなく夜間も尿が作られやすくなり、夜間の排尿回数が増える傾向があります。  

実際に、収縮期血圧(上の血圧)が高い人ほど夜間の尿量が増えるという研究結果もあります。  

つまり「血圧が高めの人」は、夜間の尿量が増えやすく、結果として夜間頻尿を引き起こしやすいといえるでしょう。  

高血圧治療薬(降圧剤)と夜間頻尿

高血圧の薬の中でも「利尿薬」は尿を増やす作用が強く、服用の時間によっては夜間頻尿を悪化させることがあります。  

特に短時間型の利尿薬では、飲んでから数時間は尿が増えるため、夕方以降に服用すると就寝中も効果が残ってしまうので、利尿薬は原則として午前中に服用することが推奨されています。  

夜間頻尿がつらい場合は、服薬時間の調整や薬の種類の変更を医師に相談してみましょう。  

また、血圧を適切にコントロールすること自体が夜間頻尿の改善につながる場合もあり、塩分を控え、薬を正しく使用することが、血圧と夜間頻尿の両方に効果的です。 

年代・性別による夜間頻尿の特徴

年代・性別による夜間頻尿の特徴。高齢者に多い夜間頻尿。女性に多い夜間頻尿。

夜間頻尿は誰にでも起こり得ますが、年齢や性別によって背景やリスクは異なります。  

ここでは高齢者と女性に多い理由や特徴を見ていきましょう。

高齢者に多い夜間頻尿

高齢になると「抗利尿ホルモン(尿を作りすぎないようにするホルモン)」の分泌量が減少し、夜でも尿が作られやすくなります。  

さらに、高齢者では心不全腎臓機能の低下前立腺肥大症などの併発により、夜間の排尿回数が増えることがあります。  

夜間頻尿を「加齢による現象」と考えず、転倒睡眠障害のリスクに注意が必要です。

女性に多い夜間頻尿

更年期を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し、血管の調整機能が弱まり高血圧や夜間頻尿が増えます。  

また、骨盤底筋の緩み過活動膀胱(尿意をコントロールする機能がうまく働かず、急に強い尿意を感じてしまう病気)があると、夜間の排尿回数が増える傾向があります。  

トイレの回数が増えた」と感じたら、泌尿器科や婦人科で相談し、原因に応じた対策をとることが大切です。

【関連記事】女性特有の高血圧になる原因〜更年期の血圧対策とあわせてポイント解説〜

夜間頻尿を悪化させる生活習慣とその改善法

夜間頻尿は日常のちょっとした習慣によって悪化することがありますが、生活習慣を見直すことで改善する場合もあります。  

ここでは具体的な注意点と改善ポイントを紹介します。

夕方以降の水分と塩分摂取に注意

寝る直前の水分摂取は尿を増やす大きな要因です。  

また塩分をとりすぎると体に水分が溜まり夜になって排出されるため夜間頻尿を悪化させます。  

夜間頻尿を悪化させないためにも「夕食では塩分を控えめにする」「寝る2~3時間前には水分を控える」など、小さな工夫が効果的といえます。

睡眠・ストレスと血圧の関係

ストレス不眠血圧を下げにくくし、夜間頻尿を招きます。  

寝る前スマートフォンの使用を控え読書軽いストレッチ深呼吸などで心を落ち着ける習慣をつけると良いでしょう。  

質の良い睡眠を確保することで、血圧のリズムが整い、夜間の排尿回数も減っていくといえます。

高血圧の人に多い「夜だけ頻尿」への対策

日中に足がむくむ人は、横になると体内の水分が血液に戻り夜間に尿として排出されやすくなります。  

この現象を防ぐには、日中のうちに水分を循環させることが重要です。着圧ソックスを使用したり、仕事や家事の合間に軽く足を動かす習慣も、夜間の排尿を減らせる場合があります。

病院を受診すべき夜間頻尿のサイン

病院を受診すべき夜間頻尿のサイン。受診のタイミング。

夜間頻尿を「年齢のせい」と決めつけて放置すると、重大な病気が隠れていることもあります。  

ここでは、受診が必要なサインや医療機関でおこなわれる診断方法について解説します。

隠れている可能性のある病気

夜間頻尿は「水分を飲みすぎたから」「年齢のせい」と思われがちですが、実は重大な病気のサインであることがあります。  

代表的なものは以下の通りです。  

  • 心不全:心臓の働きが弱まると、昼間にたまった余分な水分が夜に血液へ戻り、尿として排出されやすくなる
  • 糖尿病:血糖値が高いと尿量が増えるため、夜間に何度もトイレに行くことがある
  • 腎臓病:腎臓のろ過機能が低下すると、尿の作られ方や排泄のリズムが乱れ、夜間頻尿が現れることがある
  • 睡眠時無呼吸症候群:いびきや呼吸の停止があると、体に負担がかかり、夜間に尿を増やすホルモンが分泌されて頻尿の原因になる

心不全や糖尿病、腎臓病などの基礎疾患は放置すると、命に関わる合併症につながるおそれがあるため注意が必要で、早期に受診することが大切です。

受診のタイミング

夜間のトイレが急に増えたり、1晩に2回以上続くようになった場合は、年齢に関係なく医療機関に相談しましょう。  

特に血尿排尿時の痛みを伴うときは膀胱炎腎臓の病気の可能性があるため、早めの受診が勧められます。  

また、高血圧や糖尿病を持つ人は、夜間頻尿が心臓や腎臓に負担がかかっているサインである場合もあるため軽視できません。  

早期に原因を特定し、生活習慣を見直したり、薬の調整を行うことで、症状に合わせた適切な治療が可能になります。 

まとめ|夜間頻尿と血圧の関係を正しく理解しよう

夜間頻尿は加齢だけでなく、高血圧や心臓・腎臓の働きとも密接に関わっています。  

生活習慣を整えることで改善できる一方で、重大な病気が潜んでいることもあるため注意が必要です。  

「年齢のせい」と軽く考えず、夜間頻尿と血圧との関係を理解し、日常の生活習慣を見直すことが健康を守る第一歩になります。

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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。

◆参考文献
※1日本排尿機能学会 編. 夜間頻尿診療ガイドライン 第2版, 2019年.