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低血圧とは?数値の基準・原因・症状から、しんどい時の対処法と受診の目安まで解説

低血圧とは?数値の基準・原因・症状から、しんどい時の対処法と受診の目安まで解説

執筆:看護師 図司真澄

健康診断や家庭で血圧を測ったとき、「血圧が少し低いけれど大丈夫なのだろうか」と気になったことはありませんか。

低血圧は高血圧ほど注目されにくい一方で、しんどさや立ちくらみの原因になることもあります。

本記事では、低血圧とは何かを数値の目安や症状、原因の考え方からわかりやすく整理します。

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低血圧とは?血圧が低い状態の基準値と症状を正しく理解する

健康診断や家庭で血圧を測ったとき、「血圧が低いと言われたけれど、問題はないのだろうか」と不安になる人は少なくありません。

実は筆者自身も低血圧で、普段から上の血圧が80mmHg台のことも珍しくありません。朝から体がだるく重く感じたり、立ちくらみが起こりやすかったりと、血圧が低いことで日常生活に影響を感じることも多くあり、だからこそ、血圧が低い方の不安やつらさはよく分かります。

この章では、低血圧の基準値と症状を整理し、数値だけに振り回されず、どう考えればよいのかをわかりやすく解説します。

低血圧とは|基準値と正常血圧との違い

低血圧という言葉を聞くと、「どこからが低血圧なのか」「数値で決まっているのでは?」と感じる人も多いかもしれません。しかし実際には、低血圧には高血圧のようなはっきりとした診断基準はありません。

一般的な目安として、上の血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下の状態を低血圧といいます。ただし、この数値を下回ったからといって、必ずしも体に問題が起こるわけではありません。

血圧が低くても、普段の生活で特に困ることがなく、体調も安定していれば、治療が必要ないケースも実際には多いです。

一方で、正常血圧という言葉は、主に高血圧を防ぐための目安として使われており、そのため、血圧がその範囲に入っていないからといって、すぐに心配しすぎる必要はありません。

低血圧について考えるときは、「上の血圧の数字」だけを見るのではなく、しんどさや立ちくらみなどの症状があるかどうかをあわせて判断することが重要です。血圧の数値と体調をセットで捉えるようにしましょう。

【関連記事】【2025年最新版】血圧の正常値・基準値とは?年代別の傾向と高血圧対策も解説

低血圧の症状とは|血圧が低いとしんどい・立ちくらみが起こる理由

低血圧でみられる症状には、しんどさ、だるさ、疲れやすさ、立ちくらみ、めまい、ふらつきなどがあります。これらの症状は、血圧が低くなることで脳や全身に十分な血液が行き渡りにくくなることが関係しています。

ただし、血圧の数値が低いからといって、必ず症状が出るわけではありません。体がその血圧に慣れており、特に不調を感じない人も多くいます。このような場合は、低血圧であっても過度に心配する必要はないでしょう。

一方で、朝起きたときに強いだるさを感じたり、立ち上がった瞬間に目の前が暗くなるような立ちくらみが繰り返し起こったりする場合は注意が必要です。こうした症状は、日常生活の質を下げるだけでなく、転倒などのリスクにつながることもあります。

低血圧では、「どのくらい数値が低いか」以上に、「症状があるかどうか」が重要な判断ポイントになります。血圧が低いと感じたときは、数値とあわせて、しんどさや立ちくらみといった体調の変化にも目を向けることが大切です。

なぜ低血圧になるのか|体質・生活習慣・病気による原因を整理

「血圧が低い」と分かると、次に気になるのは「なぜ低くなるのか」という点ではないでしょうか。低血圧にはさまざまな原因があり、体質によるものから、生活習慣、病気や薬の影響まで幅広く考えられます。

この章では、低血圧の原因をタイプ別に整理し、自分の状態を考えるヒントをお伝えします。

本態性低血圧|体質や遺伝による血圧が低い状態

本態性低血圧とは、特定の病気が原因ではなく、体質や遺伝的な要因によって血圧が低い状態を指します。若い頃から血圧が低めで、健康診断でも「体質ですね」と言われた経験がある人は、このタイプに当てはまることが多いでしょう。

本態性低血圧の特徴は、血圧の数値が低くても、日常生活に大きな支障が出ないケースが多い点です。慢性的に血圧が低い状態に体が慣れていて、特別な症状を感じない人も多いです。この場合、医学的な治療が必要になることはほとんどなく、経過観察が基本となります。

症状の出方には個人差があり、朝に体が重くなかなか元気が出ない状態から、一転して午後になると少し体調がよくなる人もいます。このように、低血圧の症状は人によってさまざまで、外からは分かりにくいため、周囲に理解してもらいにくいと感じる場面も多々あります。

本態性低血圧では、「病気ではない」と言われても、本人にとってはつらさを感じることもあります。数値だけで判断せず、自分の体調の波や特徴を理解しておくことが大切です。

本態性低血圧|体質や遺伝による血圧が低い状態

起立性低血圧|立ちくらみ・めまいが起こる原因

起立性低血圧は、寝ている状態や座っている状態から立ち上がったときに、血圧が一時的に下がることで起こります。立ち上がった瞬間に目の前が暗くなったり、ふらっとしたりする経験がある場合は、このタイプを疑う必要があります。

本来、体を起こすと重力の影響で血液が下半身に集まりやすくなり、自律神経の働きによって血圧が調整され、脳への血流は保たれ、この調整がうまくいかないと、一時的に脳の血流が不足し、立ちくらみやめまいが生じるのです。

私が病院で看護師として勤務する中で、また家族の身近な場面で、起立性低血圧が起こる場面を何度も見てきました。場合によっては意識を失ってしまうこともあり、転倒のリスクが高まるため思わずヒヤッとした経験があります。

起立性低血圧は、体勢を変えたタイミングや立ちっぱなしの状態が続くと起こることが多いため、立ち上がるときや起き上がるときには、急がずゆっくり動くことを意識することが大切です。こうした小さな工夫が、転倒などの事故を防ぐことにつながります。

また、起立性低血圧は普段から低血圧の人だけに起こるものではありません。脱水、加齢、発熱、寝不足、長時間の安静、薬の影響などが重なると、これまで血圧に問題を感じたことがない人でも起こることがあります。「自分は低血圧ではないから大丈夫」と思わず、体調が悪いときほど注意する必要があります。

症候性低血圧|病気や血圧の薬が関係する場合

症候性低血圧は、何らかの病気や体の状態が原因となって血圧が低下しているケースです。心臓の病気、内分泌の異常、強い脱水、出血などが背景にあることもあり、原因の見極めが重要になります。また、高血圧の治療で使われる薬の影響によって、血圧が下がりすぎてしまうこともあります。特に治療を始めた直後や、体調が変化したタイミングでは、「血圧が低くてしんどい」と感じることがあるかもしれません。

このタイプの低血圧では、血圧の数値そのものよりも、背景にある原因への対応が優先されます。自己判断で薬を中断したりせず、気になる症状がある場合は医師に相談することが大切です。

注意が必要な低血圧|血圧が低すぎるときの受診目安

低血圧は、数値が低くても必ずしも治療が必要とは限りません。しかし、中には放置せずに医療機関の受診が必要なケースもあります。「どのくらい低いと危険なのか」「受診したほうがよいのはどんなときか」を知っておくことは、安心して日常生活を送るために大切です。

この章では、注意が必要な低血圧の目安を整理します。

血圧がどこまで低いと危険か|数値と症状の目安

低血圧を考えるうえで重要なのは、「血圧の数字そのもの」よりも、「体にどのような症状が出ているか」です。上の血圧が100mmHgを下回っていても、特に不調がなく、普段どおり生活できている場合は、緊急性が高いとは限りません。

一方で、血圧が低い状態に加えて、強いしんどさ、めまい、立ちくらみ、冷や汗、動悸、意識が遠のく感じなどの症状がある場合は注意が必要です。これらの症状は、脳や全身に十分な血液が行き渡っていないサインである可能性があります。

特に、これまで低血圧を指摘されたことがなかった人に急に症状が現れた場合や、立ちくらみやめまい、しんどさといった症状を繰り返す場合には、注意が必要です。

このようなケースでは、心臓の病気、内分泌の異常、強い脱水、出血など、何らかの病気が隠れている可能性や、服用している薬の影響で血圧が下がっている可能性も考えられます。

また、「いつもの低血圧だから」と自己判断してしまうと、体の異変に気づくのが遅れてしまうこともあります。血圧の数値だけで安心せず、症状の出方や変化にも目を向けることが大切です。

高血圧治療中に血圧が低い・しんどいと感じた場合

高血圧の治療を受けている人の中には、「薬を飲み始めてから血圧が低くなり、しんどさを感じるようになった」というケースもあります。降圧薬は血圧を下げる効果があるため、体調や体質によっては、血圧が下がりすぎてしまうことがあります。

このような場合、「薬が合っていないのでは」と不安になるかもしれませんが、自己判断で服薬を中止するのは危険です。血圧の薬は、種類や量を調整することで、症状が改善することも多くあります。

その際に役立つのが、血圧の記録です。降圧薬を飲み始めた時期や、薬の変更前後で血圧がどのように変化したのかを振り返るためにも、ノートやスマートフォンで血圧を継続的に記録しておくことはとても大切です。血圧の推移が分かることで、診察時に状況をより具体的に伝えやすくなります。

最近では、血圧をスマートフォンで管理できるサービスもあり、こうしたツールを活用することで、日々の血圧管理や受診時の情報共有がしやすくなります。無理なく続けられる方法で血圧を記録し、自分の血圧の変化を把握しておくことが、高血圧治療中の低血圧への対応にもつながります。

【関連記事】自分の体と向き合う第一歩!「レコ活」はじめてみませんか?

低血圧と上手に向き合うために|食事・生活習慣・血圧管理

低血圧と上手に向き合うために|食事・生活習慣・血圧管理

低血圧は、数値だけを見ると「どうすれば治るのだろう」と不安になりがちですが、必ずしも治療が必要な状態とは限りません。大切なのは、自分の血圧や体調の特徴を理解し、日常生活の中で無理なく付き合っていくことです。この章では、低血圧と向き合うための考え方と、日々意識したいポイントを整理します。

低血圧と向き合う生活の工夫|食べ物・水分・生活習慣

「低血圧の治し方ってあるのかな?」と気になる人も多いかもしれません。ただ、低血圧は原因や体調の背景が人によって異なるため、決まった対応があるわけではなく、日常生活の中でどのように付き合っていくかが大切になります。

低血圧と向き合ううえでまず意識したいのが、水分と食事を含めた日常の基本的な生活習慣です。特に、脱水や栄養不足などが血圧低下に関係することが知られており、生活のリズムが乱れることで症状が出やすくなる場合があります(※1)。

食事については、特定の食べ物で血圧を上げるという考え方ではなく、体調を整えるために必要な栄養を偏りなくとることが基本になります。主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけることで、体を支える栄養を無理なく取り入れやすくなります。食事量が少ない人や、朝食を抜きがちな人は、まずは毎日の食事のリズムを整えることから意識するとよいでしょう。

また、水分が不足すると循環する血液量が減り、血圧が下がりやすくなります。のどの渇きを感じてからではなく、こまめに水分をとる習慣を持つことが、低血圧と向き合ううえでの基本的な工夫のひとつです。

生活習慣の面では、睡眠不足や生活リズムの乱れが自律神経の働きに影響し、立ちくらみやだるさを感じやすくなることがあります。起床時や立ち上がるときは急に動かず、ゆっくり体を起こすなど、日常の動作を少し意識するだけでも、体への負担を減らすことにつながります。

低血圧と向き合うためには、「何か特別な対策をする」というよりも、食事・水分・生活リズムといった基本を整えることを積み重ねることが重要です。自分の体調の特徴を理解し、無理のない範囲で生活習慣を見直していきましょう。

血圧を記録して体調を把握する|データ管理の重要性

低血圧と上手に付き合っていくためには、血圧の変化を把握しておくことも役立ちます。血圧は日によって、また時間帯や体調によっても変動するため、単発の数値だけで判断するのは難しいものです。

家庭で血圧を測る習慣がある場合は、など、測るタイミングをある程度決めて記録しておくと、血圧の傾向が見えやすくなります。特に、高血圧治療中の人や、薬の調整を行っている人にとっては、血圧の推移を確認できることが重要です。

また、ノートやアプリに記録した血圧のデータを、家族にも共有しておくことは、自分の体調を理解してもらううえで役立ちます。普段の血圧の傾向や変化を家族が把握していれば、体調が悪いときに早めに気づいてもらえたり、受診の判断を相談しやすくなったりする場面もあります。

最近では、血圧をスマートフォンで管理できるツールもあり、紙のノートが続かない人でも記録を習慣化しやすくなっています。こうした仕組みを活用しながら、血圧の記録を通して自分の体調の変化を把握し、安心して日常生活を送れる環境を整えていきましょう。

まとめ|低血圧は血圧の数値だけで判断しないことが大切

低血圧は、上の血圧が低いからといって、必ずしも治療が必要な状態とは限りません。

大切なのは、血圧の数値だけで判断するのではなく、しんどさや立ちくらみなどの症状や、その背景にある原因をあわせて考えることです。体質による低血圧もあれば、病気や薬が関係する場合もあるため、気になる症状が続くときは医療機関への相談も検討しましょう。

日常生活では、食事・水分・生活リズムを整え、血圧を記録しながら、自分の体調と向き合っていくことが安心につながります。

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※本記事の内容は、医療に関する一般的な情報を提供することを目的としており、個別の症例に対する診断や治療方法を示すものではありません。健康状態に関する具体的な相談やアドバイスが必要な場合は、必ずかかりつけの医師とご相談のうえ、適切な対応を検討してください。各自の健康状態やライフスタイルに合ったアドバイスを受けることが重要です。

◆引用文献:
※1:Chen, Richard J., Sandeep Sharma, and Priyanka T. Bhattacharya. “Hypotension.” In StatPearls. StatPearls Publishing, 2025.