
執筆:看護師 図司真澄
紫蘇(しそ)ジュースはさっぱりと飲みやすく、夏バテ予防や日常の健康管理として取り入れられています。一方で「血圧に良さそう」という声も多く聞かれますが、体調管理の一環として関心を持つ人が増えています。
しかし、しそジュースがどのように体に働くのかは、意外と詳しく知られていません。
本記事では、しそに含まれる成分と健康との関わりを、分かりやすく解説します。


紫蘇(しそ)ジュースと血圧の関係とは?
赤紫蘇(赤しそ)と青紫蘇(青しそ・大葉)が体でどんな働きをするのかを知ることで、しそジュースが「血圧に良い」といわれる背景が見えてきます。
赤しそ・青しその違いと血圧への影響
しそには 赤しそと 青しそがあり、それぞれ含まれる成分が異なるため、体内での働きも違います。
赤しそ:アントシアニンが豊富
赤しそには「アントシアニン」という赤色の植物色素が多く含まれます。
アントシアニンは 抗酸化作用(こうさんかさよう) をもつ成分で、活性酸素という細胞を傷つける物質から血管内皮(血管の内側)の細胞を守る働きがあると報告されています(※1)。
活性酸素は、ストレス・運動不足・食生活の乱れ・加齢などで増え、血管を硬くしたり、しなやかさを失わせたりする原因の一つ。
血管の状態が良い=柔軟性が保たれていることは、血圧が安定しやすい状態に関わるとされています。アントシアニンはこの「血管のしなやかさ」に関わるとされ、血圧との関連性が注目されているといえるでしょう。
青しそ:βカロテンが豊富
青しそは、赤しそとは違って緑色の葉を持つタイプで、和食の薬味や付け合わせとして日常的に使われています。最大の特徴は、βカロテンが非常に豊富であることです。
βカロテンは体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜、目の健康維持に欠かせない栄養素です。
特に青しそは野菜の中でもトップクラスの含有量とされており、「香りの良い薬味」であるだけでなく栄養価の高い緑黄色野菜としても認識されています。
しそジュースに含まれる血圧関連成分(カリウム・アントシアニン)
しそジュースには、血圧管理に関わる重要な成分がいくつか含まれています。
カリウム
カリウムは ナトリウム(塩分)を体外へ排出しやすくする働き を持つミネラルです。塩分のとりすぎは高血圧の主要因の一つであり、カリウムはその負担を和らげる役割を担います。
しそにはもともとカリウムが豊富ですが、しそジュースでは抽出方法によって量が変わるため、「補助的な役割」として考えるのがよいでしょう。
アントシアニン
アントシアニンは赤しその主要成分で、血管内皮の保護(血管の機能を維持する働き)に関与するとされています。血管内皮の働きが良いほど、血圧は安定しやすくなります。血管の負担を減らす働きに関わるとされる成分です。
ロスマリン酸
ロスマリン酸は 抗炎症作用・抗酸化作用・糖代謝を整える作用 を持つポリフェノールで、次のような働きが示されています(※2)。
- 食後の血糖値の上昇をゆるやかにする
- 体内の炎症反応を落ち着かせる
食後血糖値の急上昇を抑える働きは血管への負担を軽減するため、血圧管理との間接的な関連性が指摘されています。
しそジュースが血圧に直接「効く」と断定できない理由
しそ葉粉末を継続摂取した研究では、朝と夜の血圧がゆるやかに低下した例も報告されています(※3)。
ただし、しそジュースそのものを使った研究ではないため、しそジュース=血圧が下がる、とは断定できません。
また、加熱や抽出などジュースの製法で成分が大きく変わることや、飲みやすくするために砂糖が多くなり、血糖値や体重に影響しやすいということも注意が必要です。
とはいえ「しその成分が血管や代謝に良い影響を与える可能性」は示されているため、健康管理の一部として注目されています。
そのため、しそジュースは「血圧を下げる飲み物」ではなく、「血管の健康維持に役立つ成分を含む飲み物」と理解することが重要です。
赤しその栄養と“血圧以外の”健康メリット

赤しそは、色や香りだけでなく、体の調子を整えるさまざまな栄養成分を含む食材です。
赤しそは血圧を直接改善するものではありませんが、体調の基盤を整えることで高血圧対策を支える役割として期待されています。
この章では、赤しそに含まれる“血圧以外”の健康メリットを整理していきます。
ビタミン類が支える健康効果(ビタミンA・B群・Cなど)
赤しそには、複数のビタミンがバランスよく含まれています。なかでも注目されるのは次の3つです。
ビタミンA(βカロテン由来)
赤しそにもβカロテンが含まれており、体内でビタミンAに変換されます。これは皮膚や粘膜の保護や免疫を支える働きにつながり、季節の変わり目の体調管理にも役立ちます。
ビタミンB群
B群はエネルギー代謝に欠かせない成分で、疲れがとれにくい、ストレスがたまりやすいといった状態に関係する栄養素。赤しそを取り入れることで、日常の代謝リズムを支える助けになります。
ビタミンC
抗酸化作用をもつビタミンCは、紫外線ダメージへの抵抗力、コラーゲン生成のサポート、免疫維持といった働きに関わる成分です。
赤しそのビタミン類は、体の基盤づくりに関わるため、“日々の調子を整える食材”として価値があります。
ミネラル(カルシウム・鉄・マグネシウム)が体づくりを支える
赤しそには、ミネラル類が豊富に含まれています。3つのミネラルをご紹介します。
カルシウム
骨や歯の形成に欠かせない栄養素。不足しやすいミネラルの一つであり、食事で摂れることがメリットです。
鉄
赤しそには植物性の鉄が含まれており、貧血予防、疲労感の軽減など、特に女性の健康維持に関係します。
マグネシウム
体内の300以上の酵素反応に関わる重要なミネラルです。筋肉の収縮やエネルギー代謝、睡眠リズムの調整など、多方面で働きます。
赤しそは見た目の印象以上に“栄養がぎゅっと詰まった葉もの”であることがわかります。
しそジュースと血糖・脂質の関連
しそジュースを飲む人の中には、血圧だけでなく「血糖値」や「体重管理」を気にする方も多くいます。しその成分はこれらにも間接的に関わります(※2)。
- しそのポリフェノールは 食後血糖の上昇をゆるやかにする働きを持つとされる
- 抗酸化作用は 脂質の酸化を抑える方向に働くとされる
- 代謝に関わるビタミン・ミネラルが補給できる
ただし、しそジュースはレシピによって砂糖量が大きく異なります。砂糖が多い場合、血糖値や体重増加を通じて、結果的に血圧管理の妨げになる可能性があります。
そのため、しそジュースを健康目的で取り入れる場合は “しそそのもののメリット”と“砂糖のデメリット”のバランス を考えることが重要です。
しそジュースの適切な飲み方と注意点:高血圧対策として安全に取り入れるポイント

しそジュースは香りがよく、飲みやすい飲料ですが、健康目的で取り入れる場合は「成分のメリット」と「砂糖によるデメリット」の両方を理解しておくことが大切です。
また、しそジュースだけに頼るのではなく、普段の食事や生活習慣全体を整えることこそが、高血圧対策の中心になります。
適量と取り入れ方:ジュース以外の形でも活用できる
しそジュースは風味がよく飲みやすい反面、手作り・市販ともに砂糖量が多くなる傾向があります。そのため量を控えめにし、あくまで「楽しむ程度」に取り入れるのが安心です。
また、赤しその成分は ジュースにしなくても摂取できます。むしろ日常の料理に取り入れることで、砂糖を避けながらしその香りや栄養を効率よく活かせます。
赤しそ
ふりかけ・浅漬け・ゆかり・梅干しづけの材料として使える
→ ジュースより糖分が少なく、香り成分やミネラルが摂りやすい
しそジュースを飲む場合のポイント
・1日コップ1杯(100〜150ml)が目安
・砂糖控えめレシピ
「しそを取りたい=しそジュースを飲まなければいけない」というわけではありません。負担なく続けられる形で取り入れることが最も大切です。
糖分に注意したい高血圧対策:砂糖量・カロリーを控える工夫
しそジュースが健康飲料として語られる一方、糖分の多さは見落とされがちです。
しそそのものは低カロリーですが、抽出したしそ液は酸味と苦味が強いため、手作りでも市販でも砂糖を多く加えることが一般的です。
糖分が多いと…
- 血糖値が急上昇しやすい
- 体重増加の原因になる
- 砂糖の摂りすぎは糖尿病や高血圧リスクを高める可能性がある
そのため、高血圧対策としては以下の工夫が重要です。
- 砂糖控えめレシピを選ぶ
- ジュースより「料理でしそを使う」頻度を上げる
- 市販品はカロリー・炭水化物量を必ず確認する
特に市販のしそ飲料は、想像以上に糖質が高い商品も多いため、健康目的で飲む場合は「甘さ控えめ」または「無糖タイプ」を選ぶことが大切です。
持病・服薬中の場合の注意点
高血圧の治療中、あるいは糖尿病・腎臓病などの持病がある方は、しそジュースを飲む前に次の点に留意してください。
- 糖分の多さが症状を悪化させる場合がある
- 腎臓病の方はカリウム摂取量の調整が必要な場合がある
特に「血圧を下げたい」という理由だけでしそジュースを大量に飲むことは推奨されません。
自己判断で食品を増やすのではなく、必ず普段の治療・指導の範囲で取り入れることが大切です。
最も大切なのは「しそジュース以外の生活習慣」
しそジュースは健康づくりのサポートにはなる可能性もありますが、血圧管理の主役は、塩分を控えた食事、運動、睡眠などの生活習慣です。
高血圧対策に本当に大きく影響するのは、しそジュースそのものではなく、次のような日々の生活習慣です。
- 塩分を控えた食事バランス
- 適度な運動習慣
- 十分な睡眠
- 体重管理
- ストレスや緊張のコントロール
これらが整うことで血圧は安定しやすくなり、しそのような食品はその土台を支える“補助的な役割”として活きてきます。
しその成分を取り入れる場合も、「しそジュースをたくさん飲む」のではなく、料理に青しそや赤しそを日常的に取り入れるという方法のほうが、糖分の心配もなく、安全に続けやすい選択です。
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まとめ
しそジュースはしその成分を手軽に摂れる飲み物ですが、血圧を直接下げる効果が確認されているわけではありません。
しその成分は血管や代謝のサポートに役立つ一方で、砂糖が多くなるため、料理などジュース以外の形で取り入れる方法も有効です。
高血圧対策に最も重要なのは、塩分を控えた食事・運動・睡眠などの基本的な生活習慣を整えることで、しそはその補助として無理なく取り入れるのが安心です。
しその香りや栄養を、日々の食卓で無理なく楽しみながら、健康づくりの一助として活用してみてください。
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◆引用文献:
※1:Aledia M.R.G.G., Tsai P.-W., De Castro-Cruz K.A., et al. Unveiling electron-mediating properties of red perilla (shiso) leaves for bioenergy-steered antiviral capabilities. Biochemical Engineering Journal. 2023;197:108986.
※2:Adam G., Robu S., Flutur M.M., et al. Applications of Perilla frutescens Extracts in Clinical Practice. Antioxidants (Basel). 2023;12(3):727.
※3:Hashimoto M., Takahashi K., Shimizu S., et al.Intake of Alpha-Linolenic Acid-Rich Perilla frutescens Leaf Powder Decreases Home Blood Pressure and Serum Oxidized Low-Density Lipoprotein in Japanese Adults. Molecules. 2020;25(9):2099.


