【研究】1日あたり座っている時間が1時間増えるごとに糖尿病のリスクが○%上昇する

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こんにちは!Welbyメディア 編集の南です。

Maastricht大学(オランダ)のJulianne D. van der Berg氏らの研究者グループが、「座っている時間」が増えることにより2型糖尿病やメタボリックシンドロームの発症リスクが上昇することが明らかになったと、学術誌であるDiabetologiaへ報告しました(論文原本:http://link.springer.com/article/10.1007/s00125-015-3861-8)。このニュースは、日本では医学専門新聞であるMedical Tribuneでも報じられるなど、一部で話題となっています。

坐位1時間ごとに糖尿病リスクが22%上昇
オランダ・Maastricht UniversityのJulianne D. van der Berg氏らは,オランダの約2,500人を対象とした前向き住民観察研究の結果,1日当たりの座っている時間が1時間増えるごとに,2型糖尿病発症リスクが22%,メタボリックシンドロームのリスクが39%上昇することが明らかになったとDiabetologia(2016年2月2日オンライン版)で報告した。
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https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0208038369/

Medical Tribune(2016年2月25日付)

 

座っているだけで糖尿病やメタボにかかりやすくなる?! という、なんとも興味深いヘッドラインですね。でも、論文は英語で書かれたもので、また医学専門紙の記載は、一般の患者さんには難しい・・・。そこでWelbyMediaでは、この論文の要点を簡単にご説明します。

 

1.今までは難しかった「座っている時間が健康や病気に与える影響」の研究

実は従来から、座っている時間の長さが代謝関連疾患に影響を与えることが、以前から複数の研究者によって示唆されていました。しかしそれを裏付けるための大規模で、信頼に足りる調査は実施されてきませんでした。

そもそも「座る」という行為は、どのように定義されるのでしょか。2012年にカナダの研究チームは「坐(ざ)位行為」、つまり座っているという状態をこう定義しています。

「坐位行為をパソコン使用やテレビ視聴など覚醒時に坐位で行う行為で、
カロリー消費が1.5代謝当量(METs)以下のもの」

Sedentary Behaviour Research Network

 

そして今回の論文でも、上記のこの定義が利用されています。

しかし、坐位行為の定義ができたからといって、簡単に調査ができるわけではありません。被験者が「坐位行為」をする時間を正確に、また長期間にわたって計測する必要があります。自己申告による測定も、確かなデータとはなりません。そのような経緯があり、これまで確かな研究成果が生み出されることはありませんでした。

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2.軽量装置を8日間装着して記録

今回の研究が実現に至った要因は、測定機器の進歩です。
技術の発展により、太もも部分に固定できる小型軽量の活動量計が開発され、より簡便に、かつ客観的に研究を行うことができるようになりました。非常に軽量な加速度計が開発され、今回の研究では、8日間にわたって被験者に24時間着用させることを実現。坐位時間と糖尿病リスクについて関係性を調査したデータがとりまとまったわけです。

今回の研究では、1日の間で座っている時間、座って休憩した回数、長時間(30分以上)座った回数、座っていた時間の平均、糖代謝状態およびメタボリックシンドロームとの関連性を調査したとのことです。
被験者は2497人(平均年齢60.0±8.1歳)の太もも部分に活動量計を1日24時間、8日連続で装着してもらい、経口糖負荷試験という糖尿病か否かを判断する際に用いる試験を通じて研究を行っています。

3.調査の結果

調査の結果、全体の55.9%が糖代謝正常で、15.5%が糖代謝異常、28.6%が二型糖尿病でした。
この結果を受けて研究者グループは、座っている時間が1時間増えるごとに糖尿病のリスクが22%上昇し、メタボリックシンドロームのリスクは39%上昇する、という報告にまとめ上げています。

さて、皆さんご自身の生活を振り返って、1日のなかで座っている時間はどれくらいでしょうか。研究の結果をふかえれば、例えば、往復1時間の通勤電車で必ず座っていた方が、行きも帰りも立つようになるだけで、糖尿病になるリスクが平均で22%も抑えられるのです。

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4.まとめ

今回の研究の結果を受けて、Van der Berg氏らは糖尿病の予防プログラムに、座っている時間を減らすなどの対策を講じるべきだと述べています。糖尿病に診断されてしまった方は定期的に適度な運動をするように勧められる方が大半だと思いますが、こうした身近な運動によって体重や血糖値などの数値の改善ができる可能性もあります。
小さな努力の積み重ねが大きな結果を生み出す、ということは誰しも頭の中ではわかっていることかもしれませんが、今回のように具体的に数値として表せることで治療や健康維持のモチベーションアップに繋がるかもしれませんね。


著者紹介

南 洋佑

WelbyMedia専属ライター

学生時代に参加した医療系アプリ開発コンテストで、禁煙アプリを作り入賞したことで、医療に強い関心を持つ。体や食事、栄養の知識をより役立て、患者様に届けたいとの想いからWelby Mediaの編集を担当すべく、株式会社ウェルビー(Welby)へ入社。
元高校球児で体を動かすことが得意。大学の卒業旅行として、千葉県から福井県まで”ママチャリ”で旅をしたことも。「わかりやすく、面白く、親しみやすく」をモットーに、Welby Mediaの記事の執筆に従事する。


本記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証したり、標ぼうするものではなく、また医師・医療従事者等による情報の提供は、個別具体的な患者に対する診断・治療行為ではありません。本メディア上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。


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