災害に備えて、自分の体調に合った非常食糧を蓄えておこう

ねんど 男性と青空

阪神淡路大震災が起きたのは、1995年の1月17日。そして東日本大震災が起きたのは2011年3月11日。災害に対する意識が高まるこの時期、地域の防災訓練などに参加し、炊き出しの食品などを食べ「悪くない」と思った人も少なくないだろう。もう一歩踏み込んで、自分が属する自治体が「どこに、どんな食糧を」備蓄しているか確認した人はいるだろうか?
実は、日本の自治体のほとんどで備蓄されているのは、お湯か水さえあればご飯の状態にできる「アルファ米」、それに乾パンなど長期保存のできるものが主流。つまり、糖質以外のものは「ほとんどない」というのが実情だ。

■被災直後の支援食糧は「なんでも食べる」が基本

備蓄食糧が無傷で残っていればまだいい。阪神淡路のときは明け方だったため、倒壊した家から寝間着で逃げ、蓄えていた食糧や非常用持ち出しを火災で失った人が多かった。また、東日本大震災のときは、個人の非常用食糧はもちろん、自治体の備蓄食糧が丸ごと津波にのまれてしまったところも多かった。陸路が断たれて孤立した宮城県の女川町では、最初の米軍ヘリが毛布などの救援物資を投下したのが被災3日目、最優先される乳児用ミルクでさえ、届いたのは4日目だった。

こういう非常事態では、食べることが生きることに直結する。糖質の摂取量に気をつけたいのはやまやまだが、NPO法人 西東京臨床糖尿病研究会では「糖尿病サバイバルマニュアル」の中で「とにかく食事をとりましょう。エネルギーの確保が第一です。災害発生直後は食事回数も食事量も十分に得られません。生きるために、まずしっかり食べましょう。配給されたものは何でも食べて良いと考えます」と、指針を示している。

《糖尿病患者用:「糖尿病災害時サバイバルマニュアル~自分のことは自分で守れますか~」》
・患者用A4版(第2版).pdf
・患者用ポケット版(第2版).pdf

逆に心配なのは、何も食べられない時間が長かったり、量が少なかったときに陥りやすい低血糖状態だ。冷や汗や震えなどの前兆が出たら、すぐに砂糖やジュースなどで糖質を補おう。飴は血糖値を上げるのに時間がかかるが、携帯・保存性に優れているので、ロングライフタイプのドロップスなどを非常用セットなどに入れておくといい。
万が一、意識を失ったときのために、避難場所の責任者や周囲にいる人に「糖尿病で助けが必要だ」と、話しておくことも重要。お薬手帳などのコピーや糖尿病のコントロール状況がわかるHbA1c値など、また1日の指示エネルギーがどのくらいのカロリーかなどをまとめて、意識がない状態でも他人に見てもらえるようにしておこう。

■避難生活が長引いたら支援食糧のカロリーや糖質量に注意を

避難先で3食食べられるようになる頃には、また新たな問題が持ち上がる。避難所生活は普段の生活に比べてかなり活動量が少ないが、初期の援助食糧は菓子パンなど糖質が多く高カロリーなものが多い。弁当が配られるようになっても、あまり状況は楽観できない。全員に公平に配ることを最優先に考えると、弁当の内容はご飯に揚げ物2種、漬物といった「1人分の量や質が均一にしやすいもの」が重宝される。その結果、栄養的にはバランスの悪い組み合わせになってしまいがちなのが現実だ。

そうなったら「食べ方」で工夫するしかない。考えられるのは、被災前の日常生活と比べてみて、ご飯やパンなどが多ければ他の人に食べてもらうか残す。食べる順番はできるだけ野菜やおかずから食べ始め、ご飯は最後にする。できるだけ時間をかけてゆっくりと食べる。災害時の食べ物は保存性を高くするため、塩や醤油、砂糖などで濃い味つけになっていることが多い。煮物の煮汁やソースは残すなど減塩・減糖を心がける。野菜などの生鮮食品が不足しているときは、野菜ジュースなどが支給されることもある。市販のものには果汁の割合が高く、糖分が多いものもあるので、注意しながら少しずつ飲む。

■被災後は一人で食べる。でもしっかり3食食べて元気を取り戻す

自宅へ戻ったり、仮設住宅に入居できるようになると、主食・主菜・副菜のバランスが回復できるようになってくる。だが、気をつけたいのは、1人暮らしになる人だ。
今までは集団の中で規則正しく3食をとっていたのに、個室で1人になったとたん、食事の準備や買い物が億劫になり、食事を抜いたり簡単に済ませてしまう人が増える。また、周囲にいる人が病状の変化に気がつきにくくなるので、できるだけ通院のチャンスを逃さず、早く被災前の健康状態に戻すように心がけよう。
(取材・文/竹島由起)

<参考>
◆糖尿病患者さんのための防災対策(備蓄食品の例)静岡赤十字病院
https://shizuoka-med.jrc.or.jp/dat/files/sect/file/nourishiment/manualtounyou.pdf

◆透析患者さんのための防災マニュアル 静岡赤十字病院
https://shizuoka-med.jrc.or.jp/dat/files/sect/file/nourishiment/manualtouseki.pdf


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