自分のカルテを見たいと思いますか?


医師のカルテは、健康状態の宝庫です。
みなさんは自分のカルテは読みたいと思いますか?
ある調査によれば、7割の患者は「自分のカルテは見たい」と答えているそうです。
現在では、本人の請求があった場合、原則として開示することが義務付けられています。開示内容等については厚生労働省や日本医師会がガイドラインを提示しているほか、各病院ごとにガイドラインを作成し提示しているケースも増えています。

カルテの電子化が進むにつれ、情報を共有することはよりしやすくなっています。
仮に100%開示した場合、どうなるのでしょうか?

カルテを完全に開示する実験

医師がカルテを100%開示する実験を進めているのがOpenNotesというプロジェクトです。
たとえばある診療所の医師は、記述内容を口で話しながら書くようにし、カルテのコピーを帰り際に渡しているそうです。
カルテを開示することによって、医療者にとって様々な不便がおこり、業務遂行がしにくくなることが懸念されています。特にWEBには正しくない情報もたくさんある中で、患者が情報過多になることが心配されています。また、本人に対する精神的な影響を配慮する必要性も指摘されるケースが多いです。

実際に開示するようにして起きたこととして、Peter Elias医師は次のようにまとめています。

  1. 診察準備に時間がかかる。1人当たり60-90分かかっている。
  2. 診察行為が協同作業になる。
  3. 難しい診断や告知に対しても、より正直に一貫性をもって行うようになっている。そしてそれが患者に受け入れられていることに驚いている。
  4. 自分の不正行為を防ぐ手段となっている。
  5. 患者が間違いを指摘してくれる。特にアレルギー情報や家族歴の指摘は診察に有効であった。
  6. 患者がカルテを持ち帰り、家族と共有することでより充実したサポート体制を構築できる。
  7. 次の診療の時の「出発点」と使えるようになり、診察が円滑に進むようになる。
  8. 患者が情報提供を求めるようになり、治療に効果をだしている。一方でクレームはまれである。
  9. 患者に記述内容の変更を求められたことはない。
  10. 患者に開示したくないことを理由に、記述を控えたことは今のところない。
  11. 精神的、社会的影響を心配することは今まで発生していない。ただ、その分わかりやすく説明をする必要性は生じている。

参考: KevinMD.com

開示・共有しやすい環境をどのように活かすか

ライフログがより取れやすくなり、医療において患者の生活情報を活用するケースが増えています。それに対して、診察結果をITの力を活用してよりわかりやすく、患者に共有することが今後進むことも想定されます。
電子カルテ化は大規模病院では60%程度、診療所では24%程度使用されているとされています。WEBですぐに共有できる状態を創出するためにはインフラ整備がまだ追いついていないのが現状かもしれません。
参考: 電子カルテ/PACSの市場予測

みなさんは自分のカルテを読みたいと思いますか?また、得た情報をどのように活かそうと思いますか?
医師と患者がより有益な形で情報を活用するためにはどうすればいいのか、今後一層の議論が必要となりそうです。

執筆者紹介

satoshi2

ヘルスケア・コンサルタント
谷口 諭
URL: http://www.mystar-japan.biz/

糖尿病患者団体マイスター・ジャパンの事務局、YOKOHAMA-VOXのスタッフを務める。炭水化物量検索アプリ「Carbodata」の運営をする他、教育的観点からのヘルスケア分野の著作、セミナーの開発を行う。


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