こんにちは!Welbyメディア編集の岸です。
Welbyメディアでは「糖尿病」や「高血圧」、「脂質異常症」、「動脈硬化」をはじめとした生活習慣病の患者さんに、疾患の情報や治療方法の情報を日々提供しています。
健康な状態を目指し、日々糖質制限や減塩などの食事療法に取り組んだり、ダイエットのためにウォーキングやランニングなどの運動療法に取り組んだりしている方もいるかと思いますが、実行に加えて、「糖尿病」などの疾患に対する理解が重要です。
そこで、今回のエントリーではNHKスペシャル「“血糖値スパイク”が危ない~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~(2016年10月8日(土)午後7時30分~午後8時42分放送)」でも取り上げられるなど、近年にわかに注目される「血糖値スパイク」についてご紹介します。
目次
1.血糖値スパイクとは?
血糖の変動が乱高下
別名:”グルコーススパイク”もしくは”食後高血糖”とも呼ばれる「血糖値スパイク」は食後に血糖値が著しく上昇し、1日の中で血糖の変動が乱高下することを指します。
「糖尿病」は血糖値が常に高い状態を指しますが、「血糖値スパイク」は一時的に血糖値が高まるだけであるため、健康診断で検査しても気づきにくいといわれています。
血糖値スパイクと糖尿病との違い
「糖尿病」の状態を放置して悪化していくと、網膜の血管が障害され、視力低下や目のかすみがあらわれる「糖尿病網膜症」や腎臓の働きが悪くなり、血圧が上昇したり、尿中にたん白が出たり、体がむくんだりする症状があらわれる「糖尿病腎症」、神経が障害にあらわれ、手足のしびれや痛み、ほてりなどがみられる「糖尿病神経障害」などの合併症につながるといわれています。また、「動脈硬化」により、脳梗塞と脳出血を発生したり、心筋梗塞、末梢動脈性疾患などを引き起こすリスクが高まるといわれています。
<糖尿病についての基礎知識はこちら>
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糖尿病ってなに? 国民の5人に1人が発症する、糖尿病の知っておくべき基礎知識 |
では、一時的にだけ血糖値が高まる「血糖値スパイク」は「糖尿病」に比べて安心かというと、そうではありません。海外の研究によると、常に高血糖の状態の方より「血糖値スパイク」の方が「動脈硬化」のリスクが高いという報告があります。また、血糖値が急激に高くなったり低くなったりすると、毒性の「活性酵素」が作られ、血管を傷つけます。その傷を修復しようと免疫細胞が集まり、それにより血管がふさがってしまうといわれています。
(引用:キッセイ薬品工業株式会社)
一般的には血糖値は1日24時間一定の値に保たれるようになっていますが、「血糖値スパイク」が起きるとあらゆるリスクが高まるため、「糖尿病」とともに「血糖値スパイク」は予防すべき状態といえます。
2.突然死のリスクも・・・血糖値スパイクが起きるとどんな危険があるの?
動脈硬化
「動脈硬化」とは、文字通り動脈が硬くなり、血管の内部で詰まりが起こって、血流が悪くなる状態を指します。血糖値スパイクが続くと、細胞から活性酸素が発生し、細胞を傷つけられます。その結果、心臓から勢いよく押し出される血液が流れる血管である動脈が固くなり、「心不全」や「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」「脳出血(くも膜下など)」「閉塞性動脈硬化症」を引き起こす可能性が高くなります。
<動脈硬化についての基礎知識はこちら>
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動脈硬化ってなに?命に関わる疾患の原因になる動脈硬化の知っておくべき基礎知識 |
脳梗塞
「動脈硬化」や血管が狭くなったり詰まったりする状態になると、脳に酸素やエネルギーが供給されにくくなります。脳にエネルギーが届かなくなることにより、障害が起きることを「脳梗塞」といいます。あらゆる理由により「脳梗塞」は発症しますが、「脳梗塞」は年間6万6,058人の死亡者数が出ている、死につながる疾患といわれています。
心筋梗塞
「脳梗塞」と近しい原因で心臓に酸素やエネルギーが届かなくなり、心臓の細胞にダメージをうけることを「心筋梗塞」といいます。発作が起きると激痛で胸が痛くなり、1分1秒を争う、危険な状態になります。「心筋梗塞」は年間19万6,926人の志望者が出ているといわれています。
3.血糖値スパイクを起こす原因=食習慣の乱れ
血糖値が過剰に乱高下することを「血糖値スパイク」といいますが、通常、食事によって摂取された糖分はインスリンと呼ばれるホルモンによって細胞に取り込まれるため、血液中に残る糖分はある程度一定に保たれます。
しかし、インスリンの働きを上回るような過剰な糖の摂取があると、一時的に血糖値が上昇します。「糖尿病」と異なり「血糖値スパイク」の状態の方はインスリンがある程度働いているため、上昇した血糖値はその後下がります。ただし、「血糖値スパイク」が続くと、インスリンを作る膵臓(すいぞう)が疲弊し、インスリンの分泌量が減ることにより、「糖尿病」になる可能性が高くなるので、注意が必要です。
4.血糖値スパイクを防ぐ方法=自己管理
自分の食習慣を把握する
「血糖値スパイク」を予防のために食生活を見直すためには、まずは自身の食習慣を把握することが必要です。具体的になにを食べたのか、改めて振り返ることで気づきがあります。
糖質など詳細に記録しても続かない
現在はコンビニなどでも糖質やカロリーの表示をされている食品が普及していますが、食べたものをすべて管理することは大変手間で、続かない方が多いようです。
その解決方法として最近はスマートフォンアプリを利用する方が増えています。
食事の際に写真を撮り、一覧で管理することができます。
スマートフォンアプリ「Welbyマイカルテ」では、併せて体重や運動などを記録できます。血糖値や血圧などの家庭で測定する検査値や病院での検査値、行動習慣の目標管理もできます。
記録した食習慣を医療者につたえる
「Welbyマイカルテ」で記録した食事などのデータは許可した医療者にクラウドを介して伝えることができます。医師や栄養管理士などとデータを連携できるので、アドバイスをもらうこともでき、より積極的に医師とコミュニケーションを図っていくことができます。
食後血糖値を測定してみる
「糖尿病」の患者さんのうち、低血糖の恐れのある「1型糖尿病」と重度の「2型糖尿病」の方は家庭用の血糖測定器で自宅など病院、クリニック外でも血糖値を測定するようにと医師に指導されることがあります。測定した血糖測定器から自動で「Welbyマイカルテ」に血糖値のデータを送れるので、かんたんにグラフや表で振り返りができます。
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糖新たな血糖測定器が登場!血糖測定器(アークレイ|グルコカード Gブラック(GT-1830))と「Welbyマイカルテ」の連携で、毎日の血糖測定がより手軽に |
75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
「血糖値スパイク」は通常の健康診断では気づきにくいですが、「血糖スパイク」が起きているかどうかを把握することができる検査があります。「糖尿病」などの糖代謝異常を持ったり、それが疑われる患者さんが受ける、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT:Oral glucose tolerance test)という検査があります。
75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、食後の血糖値が下がる能力(耐糖能)を見るために、ブドウ糖を溶かしたものを飲み、ブドウ糖負荷後、30分後(必要に応じて)、1時間後、2時間後にそれぞれ採血を行い、血糖値を測定する検査です。
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75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは①~どんな検査? |
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75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは②~どんなことがわかる? |
低GI値の食品を食べる
血糖値が「上昇するスピード」を計ったものを「GI値(グリセミック・インデックス値)」と言います。GI値は糖を摂取したときの上昇率を100として、相対的に表されます。
食品にはGI値が把握できるものがあり、GI値が高い食品は、食べると血糖値が急激に上昇します。対して、GI値が低い食品は、食べると血糖値が徐々に上昇します。
そのため、「血糖値スパイク」が気になる方は、低GI値の食品を食べてはどうでしょうか。
類似した食品でも、GI値が高いものと低いものがあります。例えば、玄米の方が白米よりGI値は低く、食パンやフランスパンよりライ麦パンの方が、GI値が低いといわれています。
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糖尿病や低血糖症の患者さんに!「低GI値食品」を使った簡単健康レシピ 〜「秋の味覚の王様“松茸”でつくるほかほか炊き込みご飯」を作ってみた〜 |
まとめ
健康診断で「問題なし」と判断されても、命の危険があるともいわれる「血糖値スパイク」について本エントリーでは紹介しました。血糖値が乱高下することを防ぐためには、食生活を管理していくことが重要といわれています。食事を中心とした自己管理を徹底することにより、自分を知り、加えて低GI値の食品を選ぶなど対策の知識を身に着けることが重要です。
専門の医療者とコミュニケーションを円滑に行い、医療者と患者さん両方にとって良い関係を築くためのサポートをウェルビーでは行っています。
ウェルビーでは「糖尿病」患者さんの自己管理ツールとなるスマートフォンアプリ「Welbyマイカルテ」の使用をおすすめしています。
このアプリは、血圧、血糖値、体重のほか、運動や食事、薬の内容などをかんたんに記録できるだけではなく、自動でグラフ化し、見た目にも分かりやすいことから、やる気が起き、続けられることが特徴です。
また、医師や栄養管理士などとデータを連携できるので、アドバイスをもらうこともでき、より積極的に医師とコミュニケーションを図っていくことができます。
医師から直接勧められることも多いアプリなので、ぜひご活用ください。以下から無料でダウンロードが可能です。
著者紹介
岸 倫太郎
Welbyメディア専属ライター
両親をはじめ医業に就く親族が多く、幼少期より医療に触れ、日本の医療の可能性と課題感を持つ。
ITを活用するなど、民間企業だからこそできる医療貢献の形があることを知り、2013年に、株式会社ウェルビーへ入社。
ウェルビーでは、経済産業省と共同で健康サポートに関する研究を推進するほか、
全国の病院・クリニックと連携し、PHR(Personal Health Record)の導入支援を担当。
現在は、生活習慣病患者さん向けの啓発活動などを担い、「Welbyメディア」に記事を執筆中。
患者さんへ「正しい情報」を「正しいタイミング」で「わかりやすく」伝えることをモットーに記事執筆の日々。
本記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証したり、標ぼうするものではなく、また医師・医療従事者等による情報の提供は、個別具体的な患者に対する診断・治療行為ではありません。本メディア上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。