意外と知られていない「糖尿病」と「歯周病」の関連性

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こんにちは!Welbyメディア編集の川田です。

我々Welbyは糖尿病・高血圧症・肥満症患者さんの自己管理を支援するサイトとして、「Welbyメディア」を運営しています。これら「生活習慣病」と呼ばれる病気は、合併症が怖い病気であることが有名で、特に糖尿病は「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性細小血管障害」「糖尿病性神経障害」など、失明につながったり、足の指など体の末端が壊疽(えそ)するなど、数々の重篤な障害につながる恐れがあります。

今回ご紹介する病気は、一見すると関連性の薄そうな「歯周病」です。症状が全く異なり、因果関係がないようにも見えます。しかし、意外にも「糖尿病」と「歯周病」は密接な関係があることをご存知でしょうか。 実は歯周病も糖尿病合併症の一つであり、治療や重症化予防において関わりがあります。本エントリーでは、「歯周病」と「糖尿病」の関連性について紹介します。

■歯周病(歯槽膿漏)ってどんな病気?
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し(歯垢の蓄積)歯肉の辺縁が「炎症」を帯びて赤くなったり、腫れたりします(痛みはほとんどの場合ありません)。
そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
一般的には「虫歯」と呼ばれる病気のことを指します。


引用:日本臨床歯周病学会「歯周病とは?」

 

1.糖尿病患者は歯周病の罹患率が高い

「糖尿病」になり、血糖値が高いと下記のことが起こるといわれています(参考:糖尿病とお口の健康)。

1)口の中が乾燥
血糖値が高いと尿がたくさんでます。身体の中の水分が少なくなり、唾液の分泌量が減ります。その結果、口の中が乾燥します。唾液は食べ物を消化する働きに加え、口の中を浄化したり、身体の組織を修復する機能を持っているので、口の中が乾燥すると「歯周病」の原因になる菌が繁殖しやすくなります。

2)細菌への抵抗力が低下
血糖値が高いと、身体の感染防御の力が弱くなり、感染症になりやすくなります。

3)唾液の糖分濃度が上昇
唾液はもともと血液などから作られるため、血糖値が高いと唾液の糖の濃度が上昇します。唾液の糖濃度が高いと、増殖に糖を必要とする菌が増殖します。

4)回復力が低下
血糖値が高いと身体の組織を修復する力が弱くなるといわれています。そのため、「歯周病」が進むと考えられています。

これにより、身体を守る力が低下し、感染症にかかりやすくなるといわれています。また、血糖値が高い状態であることにより、増殖に糖を必要とする細菌が増えて、「歯周病」になる確率が高まります。
実際に糖尿病患者と健常者を比較した日本の研究で、1型糖尿病、2型糖尿病ともに歯周病になる確率が高いことが報告されています※1。

※1:Khader YS, Dauod AS, El-Qaderi SS et al:Periodontal status of diabetics compared with non-diabetics:a meta-analysis. J Diabetes Complications 20:59-68, 2006)

 

2.糖尿病患者は歯周病が重症化しやすい

血糖値が高い状態が続くと、「歯周病」が進むといわれています。
「糖尿病」は糖の代謝に異常がある疾患ですが、たんぱく質の代謝も健常者と異なります。その結果、歯の周りの組織のコラーゲンが失われ、弾力性が失われます。
血糖値が高いと過剰なブドウ糖がたんぱく質と結びついたAGEという物質が作られ、歯肉に蓄積します。

■体内に溜まるほど老化が進むAGE
AGEとは終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)、すなわち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」のこと。強い毒性を持ち、老化を進める原因物質とされています。
AGEは美容のみならず、全身の健康に影響を及ぼしていると言えます。体のあちらこちらで深刻な疾病を引き起こすリスクとなるAGEを体内に溜めない生活・減らす生活を送ることが大切です。

引用:AGE測定推進協会

 

歯肉に溜まったAGEは歯肉に炎症をおこしたり、細胞組織を傷つけ、歯周病の発症・進行につながると言われています。

 

3.逆も真なりーー。歯周病の人は糖尿病予備軍が多い

「歯周病」になることによって、歯茎の中で炎症性物質が作り出され、血液に溶け込みます。炎症性物質は血糖をコントールするホルモンであるインスリンの働きを妨げます。それにより、血糖値が上昇し、「糖尿病」になりやすくなるといわれています。

実際に米国国民健康栄養調査(NHANES)では、歯周病患者の糖尿病である確率は歯周病患者ではない人の約2倍であるという結果が出ました※2。また、重い「歯周病」で糖尿病患者ではない方は、「歯周病」でも「糖尿病」でもない方と比べて、調査開始5年後のHbA1cが悪化傾向にあったという報告もあります※3。

※2:Soskolne WA, Klinger A:The relationship between periodontal diseases and diabetes:an overview. Ann Periodontol 6:91-98, 2001

※3:Demmer RT, Desvarieux M, Holtfreter B et al:Periodontal status and A1C change:longitu-dinal results from the study of health in Pomerania(SHIP). Diabetes Care 33: 1037-1043, 2010

 

4.まとめ

「歯周病」は、「糖尿病」や「高血圧症」と同様に、厚生労働省が、生活習慣病であると位置づけています※4。「糖尿病」であるために「歯周病」を発症したり、「歯周病」であるために「糖尿病」を発症することがあり、この2つの疾患は強い関連性があると言われています。
「糖尿病」ではないからと安心されていても、「歯周病」の方やその疑いがある方は、今のうちに日々の習慣を振り返り、改善点を見つけ、適切な生活習慣を送ることで、将来の「糖尿病」になるリスクを抑えられると考えられています。

※4 厚生労働省「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」等


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