本来の自分を 取り戻すのに1年かかった 【1型糖尿病患者 大学生Aさん】インタビュー

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1年半前に1型糖尿病だと診断された大学生のAさん。今は自身がベストと思う方法で上手に血糖コントロールをしているといいます。
前回(「圧倒的当事者意識で、治療の主導権を取る」http://media.welby.jp/patient/6354/)は、発症後、Aさんが治療についてどう考え、どんなふうに治療方法を選んできたのかをうかがいました。

積極的に治療に取り組んでいるように見えるAさんですが、様々な葛藤もあるようです。今回は、精神的な部分でどう1型糖尿病に向き合ってきたのかについてお聴きします。(インタビュー、構成=荻島央江)

■キラキラした未来が崩れた

――1型糖尿病だと診断されたときはどんなふうに思いましたか。
 
判明直後はどん底でした。思い描いていたキラキラした未来が崩れて、真っ白になりました。病名を宣告されて最初にインターネットで検索した言葉は「1型糖尿病 寿命」。今でもはっきり覚えています。ただ、インスリン療法が始まってまだ100年にも満たないので、明確なデータはありませんでした。

発症当時はポンプをしていなかったので、友達の前でインスリン注射をしなければならない。それがどうしても嫌だったので、自然と学校からも飲み会からも足が遠のき、どんどん落ち込んでいきました。

そんな毎日が3カ月続きました。もともと行動的なタイプだったので、本当に苦痛でした。時間だけ過ぎてもったいない。どうすればいいか……。そこで、「インスリンのおかげでこうして生きている。自分のやりたいことをやって、それから考えればいい」と、無理矢理そう思うことにしました。

■行動力に磨きがかかった

――それからどんな変化がありましたか。

いろいろなことにチャレンジしました。(僕が大学時代にどうしてもやりたかったのは47都道府県に友達をつくること。これをかなえるべくバッグパックの半分にインスリンを詰めて、日本のあちこちをヒッチハイクなどで旅しました。「1型糖尿病患者ランナー」と書いた布を背中に付けて沿道の声援を浴びながらマラソンを走ったこともあります。)

国内外問わずバックパッカーとして旅したり、新興国でインターンシップを体験したり。かつてのアクティブさに磨きがかかった気がします。いずれも、病気になっていなかったら、願望で終わっていたかもしれません。

一方で、小学生の頃から続けてきた団体スポーツはきっぱりやめました。1型糖尿病だからといってスポーツができないわけではありません。ただ友人は僕の病気のことを知らない。打ち明けるのは時期尚早だと思っています。そんな状況である以上、何かあって友人たちに迷惑をかけるわけにはいきません。

僕の病気が分かったとき、母親は「自分のせいだ」と思ったようでした。そうではないことをきちんと調べて説明しましたが、なかなか分かってもらえません。だから今は僕が楽しく生きていることを伝えることが一番の親孝行だと思っています。

■病気を常に意識する人生のあり方でいいのか

――大学卒業後の進路についてはどう考えていますか。

以前は大学院に行って研究するものだと思っていましたが、今は早く自立したい。現在の僕は、親が医療費を支払ってくれるおかげで生かされていますから。社会に出てお金を稼いで医療費は自分でカバーしていきたいし、家族ができたら貯蓄もしたい。

糖尿病を患っている人たちの役にも立ちたいと思っています。例えば、1 型糖尿病だとほとんどの生命保険に入れない。そこで何とか血糖コントロールのいい患者が入れる保険をつくれないのかといった、1型糖尿病を含めた慢性疾患患者の経済的不安への問題意識を持っています。

僕自身が1 型糖尿病患者だからこそ、そうした今現在満たされていない部分がよく分かる。そこを改善することに力を尽くしたい。それこそが自分のミッションではないかと思っています。今は情報収集段階。どうすればミッションを達成できるのかを考えています。

一方で、糖尿病と全く関係ない世界でも何かを成し遂げたいとも思っています。病気に振り回されているだけの人生ではつまりません。自分の能力を最大限に活かせる場は、ほかにもあるのかもしれない。自分の将来ですから、今後じっくり広い視野で考えていきたいと思います。

――もし1型糖尿病だと診断されたばかりの人がいるとしたら、どんな言葉をかけますか。

中途半端に言葉で励ましても、あまり意味がないかなと思います。その人に寄り添い、話を聴いてあげて、僕自身のことも打ち明けます。その上で、全力で手助けをしたいと思う。僕自身、1型糖尿病だと分かってから浮上するきっかけをつかむまでに3カ月、実際には1年以上かかりました。

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◆圧倒的当事者意識で、治療の主導権を取る
http://media.welby.jp/patient/6354/

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