患者は全国に1300万人!腎臓病と生活習慣病を知ろう 【医師 菅沼 信也氏】

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京王線千歳烏山駅北口から徒歩5分。2008年10月に開業し同年12月に診療を開始した「腎内科クリニック世田谷」は、常時130数名の血液透析患者が通院する腎臓病、糖尿病、透析医療の専門施設です。開業後5年にして、通院透析患者の平均年齢は全国平均と比較して4歳ほど高いのにもかかわらず、体重、筋肉量ともに平均を上回る栄養状態が良好な方が多く、その最新治療技術には透析医療関係者の注目が集まっているといいます。

「腎臓病は新たな国民病です。全国の推定患者数は1300万人、維持透析中の方は31万人と、実に400~500人に1人が透析治療を受けているのです。腎臓病は身近な病気と認識してほしいですね」と、同クリニック院長・菅沼信也医師は語ります。腎臓内科、透析医療のスペシャリストである菅沼医師に、最新の腎臓病治療と食事療法、薬物療法について、お話を伺いました。

「腎機能低下を見極めるために早期発見を!」
専門医が語る「腎臓病」のこと

ーー「腎臓病」とは、どのような状態をさすのでしょうか?

腎臓は、血液を濾過して老廃物や塩分を尿として体外へ排出する役割を持っています。塩分と水分の排出量をコントロールして血圧を調整したり、血圧を維持するためのホルモン「レニン」の分泌なども行っています。

腎臓と血圧は密接に関わっていて、高血圧で腎臓に負担がかかるとその機能が低下する原因にもなります。また、腎臓から出るホルモン「エリスロポエチン」は骨髄で赤血球を作る細胞に指令を与える役目を果たしているのですが、腎機能が低下するとホルモン量が低下して赤血球が十分に作られず、貧血につながるのです。そのほか、体内の電解質のバランスを整えたり、体に必要なミネラルを取り込んだりと大変重要な働きをしています。

その腎臓が正常に機能しているかどうかを判断できるのは、「尿たんぱく」と「クレアチニン値」。糸球体濾過量(GFR)は「クレアチニン値」と年齢、性別から推定することが出来、求められた数値が推算糸球体濾過量(eGFR)で腎機能の良い指標とされています。尿異常(特に一定量以上の尿たんぱくの存在が重要です)、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らかか、eGFRが60 mL/分/1.73 m2未満のいずれか、または両方が3カ月以上持続するのが、慢性腎臓病(CKD)です。

腎機能低下が進行するまでは、なかなか症状が出にくいのが腎臓病ですから、早期発見のためにも職場や学校での検診は必ず受けて頂きたいですね。また、当クリニックでは、年4回、血圧測定、尿検査、血液検査(血糖、血清クレアチニン値、尿酸、ヘモグロビン値、脂質など)、GFR(腎機能)推定を無料で行う「IKEAJ(http://www.ikeaj.or.jp/)」というプロジェクトに参加しています。最近健診を受けていないという方は、このような機会を利用するのも良いかもしれません。

【参考】
■GFRの目安

糸球体濾過量(GFR)
健康な腎臓 90以上
低下がみられるが正常範囲 60~89
腎機能が中程度に低下 30~59
腎機能が高度に低下 15~29
腎不全 15未満

◆参考: http://www.kidneydirections.ne.jp/kidney_disease/what_chara.html
◆GFRが推定できるウェブサイト:http://www.kyowa-kirin.co.jp/ckd/check/check.html

ーー 腎臓病にはどのような種類があるのでしょうか?

現在、維持透析に至る原因の第一位は糖尿病性腎症です。慢性糸球体腎炎(IgA腎症等)、腎硬化症がこれに続きます。そのうち、慢性糸球体腎炎は小児や若い方にも多い病気で、最も頻度が高いIgA腎症は、腎臓の糸球体メサンギウム領域に本来は生体を守るべき免疫グロブリンの一つである「IgA」 (Immunogloburin A/免疫グロブリンA)の優位な沈着を認め血尿及び尿たんぱくの双方をきたす疾患です。

糖尿病性腎症は高血糖が長期間続き、血管障害や糸球体に変化が起きてきて濾過機構が破綻してしまう疾患、腎硬化症は高血圧が原因で腎臓の血管が動脈硬化を起こし、腎臓の障害をもたらす疾患です。血管炎、SLE(全身性エリテマトーデス)やRA(慢性関節リウマチ)などの膠原病の方も腎臓病を来しやすく注意が必要です。

いずれにせよ、腎硬化症、遺伝性腎疾患である多発性嚢胞腎や慢性腎盂腎炎などにおいては尿たんぱくが少なくても、透析に移行することがあるので、クレアチニン値も併せて検査することをお勧めします。

ーー引き続き、治療についてお伺いしていきます。
(次回予告)透析治療は「しっかり食べて、しっかり動いて、しっかり透析」

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話し手ご紹介

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腎内科クリニック世田谷
院長・菅沼信也
URL: http://www.jinnaika.com/

1997年国立旭川医科大学卒業。
同時に東京女子医科大学腎臓病総合医療センター腎臓内科に入局し、腎臓病及び透析医療に一貫して携わる。 東京女子医科大学附属病院での研修後、新宿石川病院内科、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター、東日本循環器病院(現海老名総合病院)腎膠原病センター勤務を経て、2008年10月「腎内科クリニック世田谷」を開設。世田谷区烏山地域としては初の保存期慢性腎不全に対する加療・維持透析施設となった。臨床腎臓病学を専門とし、特に慢性腎不全(Chronic Renal Failure : CRF)の治療を得意分野とする。


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