できるだけ時間は短く、回数も少なく効率よく筋肉を刺激し、脂肪燃焼につなげるのがテーマ 【医師 泰江慎太郎氏】【パーソナルトレーナー 浦野 遥氏】

浦野さん_アイキャッチ

生活習慣病を抱える患者向けに医師、管理栄養士、パーソナルトレーナーが三位一体となったオーダーメードの治療プログラムを提供している銀座泰江内科クリニック(東京都中央区)。

前回(「何を食べたかを撮り続けられれば食事療法はほぼ成功」)の食事療法に続き、運動療法のポイントについて泰江慎太郎院長とパーソナルトレーナーの浦野遥氏に話を聞きました。

クリニックでは内臓脂肪を減らすことを目的に、できるだけ効率的に筋肉を鍛えることをテーマに掲げています。それは患者がモチベーションを失くさないための工夫でもあるのです。(インタビュー、構成=荻島央江)

■まずは筋トレ、まずはビッグ3から

――内臓脂肪を効率的に減らす運動方法を教えているとか。

浦野:はい、クリニックでは体重というより、いわば諸悪の根源である内臓脂肪を落とすことに重点を置いています。

 内臓脂肪を減らすには、ホルモン分泌の観点から見て筋力トレーニング→有酸素運動の順に取り組むことが大切です。脂肪燃焼を助けるのは有酸素運動ですが、その際により効果的に脂肪を燃やす、具体的に言うと脂肪燃焼をうながすホルモンをたくさん出すためには、その土台となる筋肉が必要だからです。

 筋トレもただがむしゃらにやればいいのではありません。効率よく筋肉を鍛えるためには、大きな筋肉から始めます。脂肪燃焼の点からみると、小さな筋肉を鍛えるよりも効果的だからです。

 当院でビッグ3と呼んでいる筋肉の部位があります。大胸筋、大腿四頭筋、腹筋(群)がそれです。いずれも筋肉量が大きく、体の前面にあることが特徴で、この3つを鍛えることが脂肪燃焼の一番の土台となります。

――筋トレはとかく単調で面白くないというイメージがあります。

浦野:ひとりでやると挫折しやすいのですが、当院ではトレーナーとマンツーマンでやることによるオーダーメイドプログラムでモチベーションをあげるよう工夫しています。ビッグ3を鍛える筋トレがメーンではあるものの、合間にチューブトレーニングなど楽にできる種目を入れて「厳しすぎない」というイメージを持ってもらいながら、厳しくやっています。

 また、同じメニューのトレーニングばかりしていても筋肉に刺激が入らなくなり体も飽きてくるので、トレーニング期間をA、B、C、Dと4つくらいに分けて取り組む種目を変えています。Aの期間はこれ。大体できてきたら、それにアレンジを加えたトレーニングをB、Cの期間でやり、最終Dの期間にはここまで負荷をかけてもできるようにしようといった具合です。そして、各期間のおわりに達成度テストを行い、からだの変化チェックしています。

泰江:クリニックではできるだけ効率的に筋肉に刺激を与えることをテーマに、最小限の努力で最大限の成果を生む方法で取り組んでいます。トレーニングは3カ月程度集中的に取り組み、時間にして週1回、20~30分程度。可能な限り、時間は短く、回数も少なくするようにしています。また、高いモチベーションを維持できる工夫として、脈拍や血圧そして乳酸値等の血中データを、運動前後で比較し医学的、科学的に成果を可視化できるようにしています。

■腹筋の鍛え方を間違っていないか

 一方で、当然ながらクリニックでのトレーニングがすべてではありません。運動のやり方をここで覚えてもらい、普段の生活でも体を動かしていただくよう指導しています。

 そのためにも正しいフォーム、正しい動き方をしっかり自分で覚える必要があります。例えば、腹筋1つとっても正しくできている人は少ない。ほとんどの人は体を起き上がらせるときに集中していると思いますが、実はゆっくり上体を戻すときのほうが成長ホルモンの分泌が多く、筋肉への刺激は大きいのです。筋肉を戻す運動、これをエキセントリック(Ex)トレーニングと呼んでいます。腹筋をするなら、起き上がる運動20回より、ゆっくり戻す運動を正しいフォームでしっかり時間をかけて10回やる。そのほうがよほど効果的です。

――筋力トレーニング後に、有酸素運動をやればいいのですね。

浦野:筋トレをすると、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンには脂肪燃焼を促す作用があるので、筋トレ後の有酸素運動がお勧めなのです。筋トレ後に20分から30分有酸素運動をするといいですね。

■1分間心拍数140程度が目安

――効果的に有酸素運動をするためにはどんな点に気を付ければいいのですか。

泰江:心拍数を意識して運動するといいでしょう。脂肪が燃焼しやすい心拍数としては、{(220-年齢)-安静時心拍数}× 0.6~0.7+安静時心拍数、40歳の場合なら安静時心拍数を60として、{(220-40)-60}×0.7+60=144。これより高すぎると心臓に負担をかけるだけになり、低すぎるとせっかく運動しているのに効果が薄くなります。感覚としては、話しながらできるくらいでしょうか。

浦野:頭でっかちにならず、素直に取り組んでくださる患者さんは効果が出るのが早いですね。ここでお伝えしたノウハウをしっかり覚えて実践してもらえれば、比較的すぐに結果は出ると思います。

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話し手ご紹介

泰江慎太郎_話し手紹介

銀座泰江内科クリニック
院長・医学博士 泰江慎太郎氏
URL: http://ginza-ys-clinic.com/index.html

三重大学医学部医学科卒業、京都大学大学院医学研究科修了。京都大学医学部附属病院内科、社会保険小倉記念病院循環器科、京都大学内分泌代謝内科、国立循環器病研究センター病院糖尿病・代謝内科を経て、2012年5月に銀座泰江内科クリニックを開業、現在に至る

浦野さん

パーソナルトレーナー 浦野 遥氏
NESTA(全米エクササイズ・スポーツトレーナー協会)認定PFT(パーソナルフィットネストレーナー)


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