自覚症状がないからこそ いかに自覚するかが重要 【医師 岩岡秀明氏】

手帳とペン

予備軍を含めると糖尿病患者は全国に約2050万人いると言われています。にもかかわらず、ほとんど治療を受けたことがない人が約4割もいたり、治療に関して誤解したりしている人が少なくありません。これまで2回にわたり、糖尿病治療を専門とする船橋市立医療センター(千葉県船橋市)代謝内科部長の岩岡秀明医師に説明していただきました。
◆「2型糖尿病と診断されたら放置しないこと。適正な治療を続ければ合併症は怖くない」
http://media.welby.jp/medicalworker/5997/
◆「インスリンに関わる4つの誤解」
http://media.welby.jp/medicalworker/6153/

今回のテーマは、「血糖自己測定」。自覚症状がほとんどないからこそ、自身の状態を把握することが重要なのです。(インタビュー、構成=荻島央江)

■血糖自己測定

――2型糖尿病(以下、糖尿病)の場合、自覚症状がほとんどないことが特徴です。

そのため病気に気付かなかったり、治療を途中でやめてしまったりする患者さんが少なくありません。いかに患者さん本人が病気や自分の状態を自覚して治療に取り組むかが大切なのです。

そのためには自分の血糖値を知ることが重要です。血糖値を測定して、正常値なのかそこから外れているのか確認しないと、果たして治療の効果が出ているのかが分からない。空腹時血糖の正常値は70~110mg/dl、食後2時間血糖は140mg/dl未満ですが、糖尿病の方では300〜400mg/dl以上にならないと血糖値が高いための自覚症状(口の渇き、だるさ、頻尿、多尿など)が無い場合が多いのです。

こうした場合に効果的なのが「血糖自己測定」です。文字通り、患者さん自身が血糖値を測ることです。1 型、2型にかかわらず、インスリン療法をしている患者さんの場合、血糖値によってインスリンや食事を調整する必要があるので、血糖自己測定が欠かせません。

これはインスリン療法中の人だけでなく、すべての糖尿病患者さんにとって有効な方法です。とりわけ飲み薬を服用しているものの血糖コントロールが悪いという人は1日1回でも測定するといいでしょう。実際、血糖自己測定を続けると血糖値が良くなるというエビデンスがあります。

■治療の成果を数値で実感できる

――血糖自己測定にはどんなメリットがあるのですか。

血糖値は食事や運動、ストレスなどで大きく変動します。血糖自己測定を続けていくと、日常生活の中でどんなときに血糖値が上がるのか、どうすると改善されるのかが一目瞭然で把握できます。日々の治療の成果を数値で実感でき、治療意欲がわくことが血糖自己測定の一番のメリットではないでしょうか。それが長い目で見れば、合併症を回避したり、その進行を予防することに間違いなくつながっていくと思います。

最近は小型で軽量、かつ子供やご年配の患者さんでも簡単に操作できる血糖自己測定器がたくさん出ています。測定器本体は1万円から1万5000円程度。これに加え、穿刺針や測定センサーなどが必要で、1回の測定につき約 150円かかる計算です。

血糖自己測定のデータは自身の状態の変化を知るうえで役立つので、毎回記録しましょう。主治医にそれを見せて、今後の治療について相談するのもいいですね。血糖測定器からスマートフォンに血糖値を自動転送して、グラフ表示やログブック表示が出来るアプリもあります。また、血糖値のほかインスリンや補食を合わせて記録し、グラフ化できる便利なスマートフォンアプリもありますのでうまく活用するといいでしょう。

■保険適用という大きな壁

――それだけメリットが多いにもかかわらず、血糖自己測定がさほど普及しないのはなぜですか。

糖尿病専門医としては、血糖自己測定の普及は大きな目標です。ただそこには保険適用という大きな壁があります。現時点では、血糖自己測定が健康保険適用の対象になるのはインスリン療法中の患者さんと糖尿病で妊娠中の患者さんに限られています。しかも1ヶ月の測定回数が厳しく制限されているうえ、インスリン治療を止めてしまうと保険対象外になってしまうのです。重症化予防の観点からも、多くの人がもっと血糖自己測定をできる環境をつくっていかなければならないと考えています。

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【話し手ご紹介】

岩岡先生

船橋市立医療センター
代謝内科部長 岩岡秀明氏

1981年千葉大学医学部卒業。千葉大学医学部附属病院及び国立柏病院で内科臨床研修終了後、糖尿病研究室に所属。成田赤十字病院内科などを経て、2002年4月船橋市立医療センターに着任。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本内分泌学会認定専門医


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