透析治療は「しっかり食べて、しっかり動いて、しっかり透析」 【医師 菅沼 信也氏】

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腎臓内科、透析医療のスペシャリストである菅沼医師に、前回 「腎臓病と生活習慣病」 についてお話をお伺い致しました。
今回は、引き続き透析治療についてお話をお伺い致します。

ーー 腎臓病に至る原因は様ざまあるのですね。 では、治療に関してはいかがでしょうか?

食事療法と薬物療法が基本となるのですが、食事療法では血圧が高い方はもちろん、血圧が高くない方でも「塩分制限」が基本です。これは何に由来した腎機能障害であっても共通です。
初診時は、体重はもちろんのこと身長をクリニック内で測定し、食事療法における指示量決定に必要な標準体重を算出します。ヒアリングでは生活習慣や喫煙の有無などを聞きます。喫煙者には禁煙をお勧めします。中等度以上の腎機能の低下を認めた方にはタンパク質の制限、高コレステロール血症の方にはコレステロール制限、高カリウム血症の方にはカリウム制限、高尿酸血症の方にはプリン体の制限を指示します。食事の内容などは、管理栄養士の指導日時を予約して頂き、ご自分に合ったメニューを相談することができます。

また、薬物療法では、血圧や糖尿病の方は血糖値のコントロールが重要で、各種薬剤の中でも腎機能の保持に有効なものを選び、処方しています。例えば、高血圧であれば特定のACE阻害薬、そして脂質異常症の方には特定のスタチン製剤を選択することが多いですね。実は腎臓病に脂質異常症を併発している方の場合、LDLコレステロールの目標数値が120mg/dl未満と、そうでない方と比較して低く設定されていますので注意が必要です。 腎臓病の原因として慢性糸球体腎炎などが原因の方はステロイドなどの治療が有効な場合があり、その適応の有無の決定の為には確定診断のため腎臓の病理検査が可能となる腎生検が必要となります。
腎不全に至った方は動脈血を検査する血液ガス分析も実施し、腎機能の保護にも有効とされる重曹(炭酸水素ナトリウム:NaHCO3)の投薬も適宜行っています。

ーー 透析治療にはどのような特徴がありますか?

透析治療には血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の双方があり、その両者を行うPD+HD併用療法にも対応しています。当クリニックにはHD用ベットが51床、最先端の治療技術を導入しています。例えば、清浄化された血液透析液には血圧低下などを招きにくい無酢酸透析液カーボスターを使用した間歇補充型HDF(I-HDF)や前希釈大量液置換オンラインHDFも実施しています。このほか、血液ガス分析による血液検査により腎不全患者さんに見られやすい食欲低下や高カリウム血症の原因となる代謝性アシドーシス(※2)の透析での改善効果も定期的に測定しています。又、糖尿病の方におかれましては日本透析医学会の糖尿病診療ガイドにも従い開業時よりHbA1cではなくグリコアルブミン(GA)値にてより正確な血糖評価を行っております。人口11万人を擁(よう)する世田谷区烏山地域では、初の腎臓病・透析専門医療機関であり、糖尿病から腎臓病に移行する方が多いことから、腎臓病、糖尿病、透析医療に特化した専門医療を行っています。
(※2)代謝性アシドーシス
尿毒症などが原因で、酸の産生の過剰、塩基の喪失、または酸の排出の低下が起こり、血液の重炭酸イオンが低下し、pHが低下すること。進行すると、意識障害、不整脈、血圧の低下などが起こる。

透析に移行すると厳しい食事制限を行う施設もありますが、私は栄養状態の良い方、筋肉量の多い方、透析量の多い方が長生きされている事から「しっかり食べて、しっかり動いて、しっかり透析」をモットーにしています。
しっかりと栄養を取ることで体力がつき、しっかり動くことで筋肉量が増えます。また、6時間以上の長時間透析を可能としたことで、カラダに負担をかけすぎずに水分を除去することや食事制限の緩和が可能になりました。自己穿刺等の訓練が必要ですが当院でも推進している在宅血液透析(HHD)を実施頂けますと、二日空きを完全になくした頻回透析や、透析の体感時間が短くなる深夜長時間透析(オーバーナイト透析)も実施しやすくなり良好な社会復帰にもつながります。

来年2015年11月22日(日)永田町の都市センターホテルにて東京で初の開催となる「第11回長時間透析研究会」が「元気で長生き!その秘訣は長時間透析にあり」をテーマに行われます。医療従事者の方はもちろん、患者の皆様もご参加頂ける会ですので、是非多くの皆様にご参加頂ければ幸いです。全国平均と比べると、当クリニックの患者さんは30%以上透析量が多いんですよ。また、体重、筋肉量(%クレアチニン産生速度:%CGR)ともに平均を上回る栄養状態の良い方がとても多く、透析歴42年目の方や当院への通院を開始してから10㎏太ったという方もいるくらいです。

透析治療に移行しても「元気」に「長生き」して頂くこと。それが私の使命だと思っています。

ーー貴重なお話ありがとうございました。

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話し手ご紹介

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腎内科クリニック世田谷

院長・菅沼信也
URL: http://www.jinnaika.com/

1997年国立旭川医科大学卒業。
同時に東京女子医科大学腎臓病総合医療センター腎臓内科に入局し、腎臓病及び透析医療に一貫して携わる。 東京女子医科大学附属病院での研修後、新宿石川病院内科、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター、東日本循環器病院(現海老名総合病院)腎膠原病センター勤務を経て、2008年10月「腎内科クリニック世田谷」を開設。世田谷区烏山地域としては初の保存期慢性腎不全に対する加療・維持透析施設となった。臨床腎臓病学を専門とし、特に慢性腎不全(Chronic Renal Failure : CRF)の治療を得意分野とする。


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