増える「新型栄養失調」【管理栄養士 森田千雅子氏】

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訪問診療や介護施設で活躍する管理栄養士の森田千雅子さんに、インタビューをさせていただきました。
今回は高齢の糖尿病患者の食事事情を中心に、どのように治療に取り組めばいいかお聞きします。

増える「新型栄養失調」

ーー森田さんは高齢や在宅治療中の患者への食事指導に力を入れていらっしゃいますよね。例えばどのような問題を見ることが多いですか?

最近は、NHKの情報番組などで取り上げられ来た問題で「新型栄養失調」になっている方を目にします。
これは、ヘルシー志向の高齢者が「肉類や卵は体に悪い食べ物だ!」と思い込み、肉類や卵の食べる量を極端に減らすことによっておきる栄養失調をさします。健康になりたいと、日々努力しているつもりが、不健康になってしまうと言う悲しい結末です。
動物性の脂質や動物性のたんぱく質を極端に抑えたこの状態は体に大きな負担を与えています。
栄養は「これを食べればいい。あれを食べればいい」というものではなく、バランスが大事です。でも、バランスってファジーで案外難しいですよね。ですから、訪問栄養士がその方の生活に沿ったバランスを一緒に考えて提案してゆくのです。

新型でなく、一般的な栄養失調の相談もケアマネさんや在宅医さんから良く伺います
高齢者が食事量が減る要因として、その方の生活環境の変化にも心を配らないといけません。
栄養失調になる方は、高齢者の場合、次のようなプロセスを経ていることが多いです。
まず活動量が減ります。これは配偶者が亡くなったり、怪我をしたり、退職をしたりすることが発端になっていることがほとんどです。
活動量が減ると、食事量が減ります。消費カロリーが少ないために食欲がわきにくくなるのです。
食事量が減れば、栄養も水分量も減ってゆきます。プラス活動量が減れば、ぐっすりと眠れなくなります。そうすると体はだるくなり、外出する気力もなくなります。
そうこうしている内に、どんどん筋肉が衰えてゆき、さらに活動量が減る・・・この悪循環に陥って、結果的に短期間(3か月~半年)でも栄養失調になってしまうのです。
「食事量が減るから体力が減る」のか「体力が減るから食事量が減る」のか「卵が先か鶏が先か論」になりますが、栄養失調は、元気で動き回っていた高齢者があっという間に「転倒事故」「貧血」「脳出血」「肺炎」などで寝たきりになってしまう恐ろしい状態です。誰でもが陥りやすく、そして見過ごされやすい状態なのです。

みんなが楽しく食事できるようにする

ーーでは、どうすればこの状態を見過ごさないように出来るのでしょうか?

栄養失調は、あなたの身内やあなた自身にも十分起こりうる状態です。

1. あなたの身内や大切な高齢者に耳を傾ける
あなたの身内や大切な高齢者に「ご飯ちゃんと食べてる?何食べてる?」と聞いて上げてください。
その方の毎日のお食事が、どことなく偏っていたら、お近くの栄養士さんを呼んであげて下さい。

2. 月に2回は体重を測りましょう。
栄養失調になると体重が減る方が多いです。定期的に体重を測ってチェックしてみてください。
理由もなく体重が減ってきたら、お近くの栄養士さんに相談してみてください。

ーー森田さんが今取り組んでいらっしゃることは何ですか?

今個人的に取り組んでいるのは嚥下困難者のための食事です。
食事を楽しむことはQOLを維持する上でとても大事です。しかし、噛む力が衰えると、急に選択肢がなくなってしまい、食事を楽しみにくくなってしまいます。食事を楽しみにできなければ、元気がでなくなり、楽しめるものもますます楽しめなくなってしまいます。

そこで健常者が食べてもおいしくいただける、嚥下困難者のための食事の開発に取り組んでいます。家族全員が同じ食事を楽しめるようにするのが目標です。みんなで食事をすれば、きっと元気がでると思うんですよね。

ーーそれはすばらしい取り組みですね!最後に糖尿病患者やそのサポーターに対してアドバイスをいただけますか?

本人の意志を尊重すること、そして食事を楽しめるようにすること。この2つが本人にとっても、サポートする側にとっても大事だと思います。食べる気力は生きる気力です。
そしてこれを実現するために栄養指導など様々なサービスやツールはあります。これらを遠慮せずに使ったらよいと私は思います。
遠慮せずにサポートを受けることで、最期まで元気で、楽しく過ごせる人が少しでも増えることを私は願っています。

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話し手ご紹介

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管理栄養士
森田 千雅子

医療法人社団悠翔会で訪問栄養士として東京都在住の在宅患者への栄養指導を行っている。
所持資格:管理栄養士、介護支援専門員、ホームヘルパー2級、NST(栄養サポートチーム)専門療法士、調理師


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