医者と患者のコミュニケーション「ITを活かした診察の現場」【医師 木村那智氏】

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名古屋市中心部で1型糖尿病や生活習慣病を専門に診療されている木村医師。
前回は、SNSを利用した患者様とのコミュニケーション(医師と患者のコミュニケーションを創る「ネット活用術」とは?)についてお伺いしました。
今回は、「ITを活かした診察の現場」についてお伺い致します。

「まずはスマホを買いましょう」
高齢者はITが苦手というのは大きな誤解

ーー木村先生は自己管理にどのような方法を推奨していますか?

スマートフォン(以下、スマホ)の積極的な活用を勧めています。中高齢の方にはスマホをお持ちではない方もいらっしゃいますが、「まずはスマホを持ちましょう」とお話しします。アプリの多彩な機能をご紹介すると大いに興味を持たれ、クリニックを出るとその足でスマホを買いに行く方もいらっしゃいます。
スマホは、いつも持ち歩く一番身近な道具です。これで記録すれば、ノートやペンなどの荷物が減り、つけ忘れも減ります。クラウドにデータを転送すれば、ノートのような紛失の心配もなくなります。アプリでデータ解析すれば、ただ数字の羅列でなくいろいろな視点からコントロール状況を可視化して、治療に役立てることができます。
確かに紙媒体も便利です。血糖測定器のメモリーを転記する時に、治療状況をまとめて振り返る習慣のある方もいます。見ていて楽しくなるほど、かわいいイラストを描きいれたりしてきれいに記録される方もいます。様々なツールを要領よく使い分けることが大切ですね。

ーー年齢が高めの方には、抵抗があるのではないでしょうか?

実は、ご高齢な方ほどスマホなどのIT機器を喜んで使ってくださる傾向があるのです。食事の写真をこまめに撮って提出していただけるのも、注射量や血圧や1日の歩数まできっちり記録されるのも、若い方よりむしろ中高齢の方です。使い始めはいろいろ戸惑うことも多いでしょうが、慣れてしまえばそれほど複雑なものではなく、とにかく便利です。「日常生活で最新のIT機器を使いこなす」ということ自体を喜びとし、楽しんでくださる方も、中高齢の方に数多くいらっしゃいます。自己管理アプリはもちろん、SNSに参加するうえでもスマホがあるととても便利です。

「毎日の治療は楽しく、肩の力を抜いて」
もっと人生を楽しんでほしいから

ーー実際に治療にはどのように役立てているのですか?

患者さんの多くは、血糖値やインスリン量などの記録をクラウドで保存しています。診察室のPCでそのデータを共有していますので、診察時は一緒にデータを見ながら問題点を考え、改善へ向けての方針を話し合っています。また診察時以外にも、「クラウド回診」と称して患者さんのデータを定期的に確認するようにしていますので、問題があったらSNSやメールですぐに連絡を取ります。新しい治療を始めた患者さんの血糖値は集中的にチェックして、診察日を待たずにどんどん調整します。
最近の自己管理アプリは解析機能がとても充実しています。診察の際には、解析データの見方やそれらの治療への役立て方も話し合います。ご自身のデータをご自身で分析できるようになれば、日々の治療にすぐに活かすことができます。
これらのデータやSNSを通じていただいた相談内容などは、全て電子カルテに張り付けて記録しています。おかげで診察中のカルテ入力の負担はかえって減ったと思います。SNSで日ごろの様子が既にわかっていて、質問なども回答を済ませてあるおかげで、診察の際はモチベーションの維持と、次の1か月で何を頑張るべきかについて、集中して話すことができます。

ーー「楽しく、ワクワクするような治療」が患者さんにどのような効果をもたらしたのでしょうか?

そうですね。色々なケースはあるのですが…。
最近、長年HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)が10%台だった方が、あっという間に7%台に下がったという事例が立て続けにありました。当院に変わったばかりで、まだ指導らしい指導もしていない段階での話です。ただ、転院が決まってから1型糖尿病と向き合うストレスが劇的に減り、前向きに楽な気持ちで治療に取り組めるようになったとのことでした。心のあり方しだいで、コントロールが劇的に改善することもあるのです。
「楽しく、ワクワクするような治療」を、患者さんと一緒に実現したいと思っています。糖尿病の治療は、HbA1cなどの数字を下げる競争ではありません。末永く人生を楽しむための手段の一つなのです。患者さんには、肩の力を抜いて「ぼちぼちのコントロール」をしながら、楽しく毎日を過ごしていただきたいと思います。

ーーありがとうございました。

<おすすめアプリ/サービス>
Welby血糖値ノート
Welbyレポート

話し手ご紹介

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ソレイユ千種クリニック
木村 那智
URL : http://www.med-junseikai.or.jp/soleil/

大阪府富田林市生まれ。名古屋大学医学部卒。2010年ソレイユ千種クリニック開業。小児期~壮年期の1型糖尿病治療に注力し、常に1型糖尿病の最新治療を追及する。「診察が楽しみでワクワクするクリニック」を目指し、インターネットを通じたコミュニケーションや患者会活動などに精力的に参加。ネット上に多くの1型糖尿病患者の「ファン」を持つ。


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