【経済産業省事例】アプリの活用で体重は減るのか?

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こんにちは!Welbyメディア 編集の岸です。

近年スマートフォンの普及により、体重を管理したり、スマートフォンに内蔵されているセンサーを使い活動量を測定したり、食事のカロリーを自動計算したりと、健康管理に関連するスマートフォンアプリ(以下アプリ)が増えてきました。この記事をご覧になられている方で、このようなアプリをご利用の方もいらっしゃるかと思います。

数多くのアプリが世の中に普及していますが、そもそもアプリの利用に、健康効果は実証されているのでしょうか? 実は医療的な観点から根拠になりうる報告は、2016年現在、少ないながら、存在します。

今回は、「Welbyマイカルテ」をはじめとした生活習慣病患者さん向けアプリを提供する株式会社ウェルビーが、2014年に経済産業省に採択されて実施した「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた事業性及び糖尿病予防効果の検証」の一部をご紹介します。医師監修のもと、アプリ利用者の体重や「糖尿病」に関わる検査値(HbA1c血糖値)などにアプリの利用がどのように寄与したのかを調査する研究です。

1.高まる国の医療費負担。糖尿病の対策へ

糖尿病」を放置すると「糖尿病性腎症」になるリスクが高まります。「糖尿病性腎症」の治療には、患者さん一人当たり400~600万円/年の治療費がかかるといわれています。自己負担は3割程度、高齢者の場合は1割ですが、残りの負担は健保組合などの保険料、国民健康保険や後期高齢者医療給付などの公費から賄われています。今後医療費の増加が予想される中で、国の財政を圧迫しないために、医療費の不要な上昇をさけることを目的として各省庁が様々な取り組みをしています。

その中のひとつである、経済産業省が実施した「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた事業性及び糖尿病予防効果の検証」では、一定の「糖尿病」リスクを持った方に宿泊型の保健指導を受けてもらい、宿泊後最長6か月間に渡り、アプリを使って体重や食事の記録、日々の行動目標の管理をしました。

 

2.アプリを使うと体重が下がった

糖尿病予備軍である参加者は、2泊3日または1泊2日で宿泊施設にて「糖尿病」の疾患を学び、食事や運動について知識を身につけ、実際に栄養バランスのとれた食事をして、適度なエクササイズ(ウォーキングやハイキングなど)の体験をしました。

<参加者の概要>

基準 基準範囲
年齢 20~70歳
性別 男女
糖尿病重症度 ①糖尿病ハイリスク者

②2型糖尿病軽症患者

HbA1c: 5.6%NGSP値以上、8.0%未満

空腹時血糖:100mg/dl以上、180mg/dl未満

その後、最長6か月間、管理栄養士や保健師のサポートのもと、アプリを利用する群とアプリを利用しない群に分かれて、その後の体重の変化について調査を行いました。

 

<アプリケーションを保健指導に活用>

本研究では生活習慣(行動目標、食事の写真、運動量、体重、血糖値など)を記録できるアプリケーションを活用しました。従来の指導以上に参加者とのコミュニケーション量を増やし、参加者の多発的な意欲向上を狙い、参加者記録したデータに基づき、管理栄養士、保健師による指導をインターネット上で行いました。(参照:平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業 スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた 事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

また、アプリを利用する方はチームを組んで、記録をチーム内で共有しあうことで、チーム内で競争や仲間意識が生み、生活習慣の改善を狙いました。

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(参照:平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業 スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた 事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

 

最終的に、115名の参加者の検査データをもとに解析が行われました。その結果、アプリを利用した人の体重は宿泊保健指導開始時に平均74.29kgでしたが、約6か月後71.14kgと3.15kgの減少効果がありました。アプリを利用していない人の体重は72.76kgから70.76kgと2.00kgの減少に留まり、アプリを利用した人の方が、体重減少したという結果がでました。

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(参照:平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業 スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた 事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

また、体重の減少率で表すとアプリを利用した人は4.2%減、アプリを利用していない人は2.7%の減でした。

アプリの利用による自身の生活習慣の把握による気づき及び行動変容と、管理栄養士や保健師とのコミュニケーション量の増加が参加者の体重減少に影響があったとされています。(参照:平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業 スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた 事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

 

3.おわりに

糖尿病」をはじめとした生活習慣病は、食べ過ぎや運動不足など適切ではない生活習慣に起因している疾患と言われています。日々携えるスマートフォンを使って、アプリで自身の生活習慣を管理することは、簡単に始められる生活習慣病予防の一つです。本エントリーのように徐々に自己管理アプリの効果が報告されつつある昨今、身近なアプリを使って自己管理をして「糖尿病」の重症化や発症を防ぐことが、健康な毎日を送る上で重要です。

 

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<参考文献>

平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

 

Welbyマイカルテ

著者紹介

岸 倫太郎

Welbyメディア専属ライター

両親をはじめ医業に就く親族が多く、幼少期より医療に触れ、日本の医療の可能性と課題感を持つ。
ITを活用するなど、民間企業だからこそできる医療貢献の形があることを知り、2013年に、株式会社ウェルビーへ入社。
ウェルビーでは、経済産業省と共同で健康サポートに関する研究を推進するほか、
全国の病院・クリニックと連携し、PHR(Personal Health Record)の導入支援を担当。
現在は、生活習慣病患者さん向けの啓発活動などを担い、「Welbyメディア」に記事を執筆中。
患者さんへ「正しい情報」を「正しいタイミング」で「わかりやすく」伝えることをモットーに記事執筆の日々。


本記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証したり、標ぼうするものではなく、また医師・医療従事者等による情報の提供は、個別具体的な患者に対する診断・治療行為ではありません。本メディア上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。


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