「生活習慣病の重症化予防・治療」なぜ生活習慣の記録が必要なのか?~人の生活習慣が変わるメカニズム~

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こんにちは!Welbyメディア 編集の岸です。

糖尿病」や「高血圧」、「脂質異常症」などの生活習慣病の患者さんは、診察の際に医師や管理栄養士さんから「日々の習慣を記録しなさいと」指導されたことがあるのではないでしょうか?「糖尿病」や「高血圧」の患者さん向けには、学会や製薬会社などが推奨している紙の手帳があります。家庭で測定できる血糖値などの検査値や体重などをその手帳に記載している方もいると思います。また、食事指導で昨日何を食べたのか?と聞かれたり、どれぐらい運動したか?と質問されたりする方もいると思います。

医療者に言われたから・・・と紙の手帳に日々記録をしていても続かなかったり、そもそも生活習慣を記録することにどんな意味があるのかわからない方もいると思います。本エントリーではそんな方向けに、なぜ生活習慣の記録が必要なのか、その重要性をお伝えします。

1.生活習慣というけれど、なにを記録すればいいの?

■血糖値や血圧の記録
学会や製薬メーカー、医療機器メーカーは患者さんのための自己管理手帳を発行しており、その多くは医療機関で配布されています。配布されている紙の手帳の中から、「糖尿病」や「高血圧」に関連するものを各5種ずつ選び、どのような項目を記録できるように推奨しているのか調べてみました。

<糖尿病・高血圧に関連する紙の手帳で記録できる項目>

血糖値を管理する手帳に記載されている項目の例 血圧を管理する手帳に記載されている項目の例
血圧(収縮期/拡張期)

脈拍

服薬

インスリン

体重

血糖値(→解説

HbA1c(→解説

その他医療機関で測定する検査値(→解説

<補足>

すべて(5種)の手帳で記載欄を確認できた項目

一部(1~4種)の手帳で記載欄を確認できた項目

すべて(5種)の手帳で記載欄を確認できなかった項目

それぞれの手帳により多少の違いはありますが、基本的には「糖尿病」は関連する血糖値HbA1c、「高血圧」は血圧や脈拍を記入して管理するよう推奨しています。また、「糖尿病」や「高血圧」に関連性の高い疾患の検査項目であるLDLコレステロールHDLコレステロール中性脂肪も記載する欄がある手帳もありました。

■食事の記録
糖尿病」や「高血圧」、「脂質異常症」は食生活に影響を受けやすい疾患と言われています。
そのため、高血糖になる要因の一つとされている糖質(参考:メタボ・糖尿病対策“低糖質”の簡単でおいしい食生活を ~「鮭とキャベツの味噌マヨ焼き」を作ってみた~)や高血圧になる要因の一つとされている塩分(参考:高血圧の“敵”、食塩を使わずに、簡単でおいしい食生活を 〜「ターメリックとローズマリーの減塩焼きサバ」を作ってみた〜)、そして「肥満」や「動脈硬化」、「脂質異常症」の要因と考えられている脂質の摂取量の管理が必要と言われています。そのため、医師や管理栄養士は患者さんが食事で何を食べているのか、どれくらい食べているのかを把握したいのです。

■運動の記録
食事とあわせて管理が必要と言われているものの一つが運動の記録です。「脂質異常症」や「動脈硬化」の患者さんはLDLコレステロールHDLコレステロール中性脂肪の管理が必要ですが、これらの検査値に影響があるのが運動です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどをはじめとする有酸素運動が最適とされています。しかし、肥満タイプの方や低血糖の恐れがある患者さんは過度な運動が逆に健康に悪い影響を与えることもあります。そのため、医療者は患者さんが生活習慣の一つとしてどのような運動をどれほどの量行っているのかを把握したいのです。

 

2.記録して自分の生活習慣を把握する

食事や運動を日々記録していくと自分の生活習慣が可視化できます。

近年は生活習慣病の患者さん向けのスマートフォンアプリやインターネットサービスが普及しており、記録すること及び記録の閲覧が簡単にできるサービスが増えてきました。

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(参考:スマートフォンアプリWelbyマイカルテ

スマートフォンアプリやインターネットサービスの利点の一つは検査値や生活習慣を入力するだけで、グラフや表で自身の生活習慣や検査値を一目で把握できることです。

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(参考:スマートフォンアプリWelbyマイカルテ 医療者食事画面)

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(参考:スマートフォンアプリWelbyマイカルテ 患者用運動画面)

これにより、自身の生活習慣が把握できます。

■食習慣がわかる
食事であれば、晩御飯はお米が多いので糖質を摂りすぎていることがわかったり、平日は何度も間食をしていることなど、生活習慣病の重症化予防や改善のために見直す必要があるポイントがわかります。

■運動習慣がわかる
運動であれば、毎週土曜日は車移動なので歩行距離が短くなっていることがわかったり、逆に平日は職場と自宅の往復だけなので中強度の運動をしていないことなどが把握できます。

 

3.生活習慣を把握することで心の動き、気づきを得る

食習慣や運動習慣を把握すると日々の行いが血圧や血糖値、体重などの値にどのような影響を与えているのか、気づくことがあります。

例えば血圧であれば、毎週金曜日に外食して塩分を多めに摂取しているため、土日の血圧が高めになることが把握できたりします。そして、いつものウォーキングをしないと翌日体重の減少があまりなかったり、むしろ増えてしまっていたりすることもあるでしょう。このようにして、生活習慣を把握することにより、生活習慣病の重症化予防に対して与えている自分の行動と測定値の関係性を理解することができます。

何が原因で自分の血圧や血糖値が悪くなっているのか把握できれば、改善のためのアクションを決めることはそれほど難しいことではないでしょう。間食をやめる、食事の量や内容を見直す、一駅分歩くなど、様々な行動が考えられます。かかりつけ医の指示に従って生活習慣の改善を目指してください。

 

4.人の生活習慣が変わるメカニズム

「糖尿病予防のための行動変容(健康体力づくり事業財団/津下一代(著))」によると、人の生活習慣が変わるメカニズムは下記の流れだと言われています。

(1)知識を得る

アプリや紙の手帳に自分の食事や運動などの生活習慣の実態を把握することは重要な知識の一つと言えるでしょう。
また、医師や管理栄養士からの指導や「糖尿病・高血圧症・肥満症患者さんの自己管理を支援する「Welbyメディア」」のような患者さん向けの情報サイト、書籍などを介して、「糖尿病」や「高血圧」、「脂質異常症」などの生活習慣病の疾患に関する情報や、その治療法に関する情報、そして改善したという体験も重要な知識です。

(2)心の動き、気づき

知識を身につけると、生活習慣病の重症化予防において必要な状態と自分の生活習慣の実態との違いに気づきます。気づいたことにより、今まで好きなものを食べていたけど、食生活を見直そうと決意したり、運動をはじめようと決意したり、心が動きます。

(3)行動変容の第一歩

心が動き、気づきがあることが行動変容の第一歩です。まずは必要な生活習慣の改善をやってみることが重要です。

(4)行動変容・習慣形成

ただし、食事や運動に関して一度だけの取り組みでは生活習慣を改善したとは言えません。何度も繰り返して、習慣化することが重要です。医師や管理栄養士と共に改善に取り組み、家族に励ましてもらったり、評価されたりすることが継続のポイントです。

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(参考:糖尿病予防のための行動変容(健康体力づくり事業財団/津下一代(著)))

(参照:平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

 

5.まとめ

生活習慣病の重症化予防の第一歩は自分を知ること、です。疾患の知識や治療方法を知ることに合わせて、自分の生活習慣病を知ることが重要だと言われています。

昨今のIT技術の進化は目覚ましいものがあり、皆さんが既にお持ちのスマートフォンで簡単に日々の生活習慣を簡単に記録することができます。従来の紙の手帳に加えて、スマホアプリでの自己管理に挑戦してみてはいかがでしょうか?

スマホアプリを活用して自分の生活習慣を把握し、気づきを得ることができれば、生活習慣病の重症化予防につながると期待されています。

 

<関連記事>

糖尿病ってなに? 国民の5人に1人が発症する、糖尿病の知っておくべき基礎知識

高血圧ってなに? 国民の10人に1人が発症する高血圧の知っておくべき基礎知識

 

<参考文献>

平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業スマートライフステイ(宿泊型保健指導)を通じた事業性及び糖尿病予防効果の検証 調査報告書

 

Welbyマイカルテ

著者紹介

岸 倫太郎

Welbyメディア専属ライター

両親をはじめ医業に就く親族が多く、幼少期より医療に触れ、日本の医療の可能性と課題感を持つ。
ITを活用するなど、民間企業だからこそできる医療貢献の形があることを知り、2013年に、株式会社ウェルビーへ入社。
ウェルビーでは、経済産業省と共同で健康サポートに関する研究を推進するほか、
全国の病院・クリニックと連携し、PHR(Personal Health Record)の導入支援を担当。
現在は、生活習慣病患者さん向けの啓発活動などを担い、「Welbyメディア」に記事を執筆中。
患者さんへ「正しい情報」を「正しいタイミング」で「わかりやすく」伝えることをモットーに記事執筆の日々。


本記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証したり、標ぼうするものではなく、また医師・医療従事者等による情報の提供は、個別具体的な患者に対する診断・治療行為ではありません。本メディア上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。


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