総コレステロール(TC)の解説文を考えよう!LOVEプロジェクト
LOVE(Laboratory Opinion team for Very easy Explanation)プロジェクトでは、患者さんが馴染みのない検査値をより患者さんにとってわかりやすくすることにより、病気に対する取り組みを応援していきます。
1.総コレステロール(TC)とはどんな検査値なの?
今回の検査値は、患者さんと「脂質異常症」「動脈硬化」の患者さんがよく測定する「総コレステロール(そうこれすてろーる)」についてです。
TCとも表記される総コレステロールは血液中の脂肪酸と結合した型とそうでない遊離型のコレステロールの総称です。総コレステロールには善玉であるHDLコレステロールや悪玉であるLDLコレステロールを含みます。
なお、それぞれのコレステロールの計算式は下記のようにして求めます。
総コレストロール=LDLコレステロール+HDLコレステロール+(中性脂肪数値/5)
コレステロールはホルモンや細胞膜を作ったりと人体にはなくてはならないものです。しかし、血液中の脂質の値が高いと、いわゆる血がドロドロの状態になり、血管に脂肪が溜まっていきます。
そのため、総コレステロールは動脈硬化の危険度の指針として検診や人間ドックで重要な検査値です。また、心臓病を中心とした循環器の生涯の診断や経過判定に重要です。
今回のLOVEプロジェクトでメンバー内で話し合った結果、総コレステロールを簡単に言うと
血液中に含まれる悪玉、善玉のコレステロールの総量である。
です。
2.どうすると総コレステロールは高くなる?低くなる?
総コレステロールの値は食事や運動、そして薬で管理することが重要です。
前述のとおり、総コレステロールはLDLコレステロールやHDLコレステロール、中性脂肪の合計値であるため、それぞれの検査値の変化に影響されます。
ファストフードなど脂質が高く、味の濃い食べ物により、総コレステロールは高くなります。
また、総コレステロールの値を下げるには、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどをはじめとする有酸素運動が最適です。
ただし、過度に運動をするのは危険ですので、かかりつけ医に確認の上、運動をしてください。
3.どんなときに検査するの?
では、どんなときに総コレステロールを検査するのでしょうか?
動脈硬化を疑われた場合に検査する。
また、一回だけではなく複数回の測定を行なった方が良いとされています。総コレステロールの値は食後30分ぐらいから上昇し始め、4~6時間後に最も高くなります。測る時間により値の変化が大きいため、検査は早朝空腹時に行ないます。
4.総コレステロールはいくつだと安心?
日本人間ドック学会によれば総コレステロールの基準値は140mg/dl~199mg/dl※と言われています。血液中の総コレステロールの値が200mg/dlを上回れば要注意、260mg/dlを上回った場合、異常とされます。
※将来、脳・心血管疾患発症しうる可能性を考慮した基準範囲
総コレステロールには善玉であるHDLコレステロールも含まれるため、総コレステロールが高いだけでは脂質異常症と診断することが難しく、悪玉であるLDLコレステロールが高い場合、善玉であるHDLコレステロールが低い場合、中性脂肪が多い場合の3つのパターンに分け、脂質異常症を診断します。
※詳細はかかりつけ医にご相談ください。
医師紹介

自治医科大学 地域医療学
教授
小谷 和彦
~専門分野~
地域医療学、臨床検査医学
~先生から一言~
キャッチフレーズは
「health promotion through clinical laboratory medicine」
ぜひ、一緒に考えて行きましょう。
著者紹介
岸 倫太郎
Welbyメディア専属ライター
両親をはじめ医業に就く親族が多く、幼少期より医療に触れ、日本の医療の可能性と課題感を持つ。
ITを活用するなど、民間企業だからこそできる医療貢献の形があることを知り、2013年に、株式会社ウェルビーへ入社。
ウェルビーでは、経済産業省と共同で健康サポートに関する研究を推進するほか、
全国の病院・クリニックと連携し、PHR(Personal Health Record)の導入支援を担当。
現在は、生活習慣病患者さん向けの啓発活動などを担い、「Welbyメディア」に記事を執筆中。
患者さんへ「正しい情報」を「正しいタイミング」で「わかりやすく」伝えることをモットーに記事執筆の日々。
本記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証したり、標ぼうするものではなく、また医師・医療従事者等による情報の提供は、個別具体的な患者に対する診断・治療行為ではありません。本メディア上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。