【イベントレポート】2016年10月8日、糖尿病治療研究会主催「糖をはかる日 特別記念講演会」

【イベントレポート】2016年10月8日、糖尿病治療研究会主催「糖をはかる日 特別記念講演会」

【イベントレポート】2016年10月8日、糖尿病治療研究会主催「糖をはかる日 特別記念講演会」

こんにちは!Welbyメディアの南です。

10月8日「糖をはかる日」の制定を記念して、糖尿病治療研究会は制定記念特別公演を開催しました。

<関連記事>

10月8日は糖をはかる日 10月8日は『糖をはかる日』 ~血糖をはかり、健康的な生活づくりに役立てよう~)。

 

血糖の働きを理解し、コントロールし、健康的な生活づくりに役立てるということが講演のテーマです。
本エントリーでは、講演の内容や講演に関連する情報、会場の様子をお伝えします。

糖をはかる日 特別記念講演会

糖をはかる日 特別記念講演会


会場には多くの方が来場し、盛況でした。

 

糖をはかる日 特別記念講演会 ブース

糖をはかる日 特別記念講演会 ブース

会場内には、自己血糖測定(SMBG:Seif-Monitoring of Blood Glucose)を体験できるブースが設けられました。

 

1.「糖をはかる意義とは」

糖尿病治療研究会代表幹事 池田 義雄

糖尿病治療研究会代表幹事 池田 義雄

糖尿病治療研究会代表幹事 池田 義雄

1-1.血液中のブドウ糖が多くなり高血糖状態が続く「糖尿病」

糖尿病」という疾患を大きく分けると、膵臓(すいぞう)のβ細胞が破壊されてインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病と、食生活の乱れや運動不足など、生活習慣が原因で発症する2型糖尿病の2種類があります。

どちらもインスリンの働きが弱まることにより、血液中の血糖値が高い(高血糖)状態が続き、やがて「糖尿病網膜症」などの合併症を引き起こしたり、生命の危機に陥るような状況を招きます。

 

1-2.治療・予防において重要な血糖コントロール。しかし、その手段は限られていた。

そのような状況に陥らないように必要なことが、血糖コントロールです。自身の血糖値を知り、コントロール(改善)することによって、「糖尿病」(やその合併症)の進行を予防することができます。

そして、内科学を専門とする医学者、池田氏は、血糖値を知るための手段がこの40年間で大きな変化を遂げたことを説きました。

 

1-3.保険適用されることで、SMBGが普及

また、自宅での治療においては、1981年にインスリン自己注射、1986年には血糖の自己測定が保険適用されています。

医療機関でしかできなかったことが、自宅で患者さん自身が医療機関に近い形で血糖を測定できるようになることで、患者さんがより治療に取り組みやすい環境ができたといえるでしょう。

<参考 自己血糖測定の歴史>

年代 歴史
1955年~

1975年

糖尿病」(1型・2型とも)のインスリン治療に際して、家庭での自己測定は尿糖検査(血液中のブドウ糖が尿に混ざっていないかを検査)によって行われていた。
1976年~ 簡易血糖測定器の登場により、血糖自己測定が可能となり、HbA1cを指標とし、

糖尿病合併症」の進展阻止を目的とした自己測定が意図されるようになる。

1986年 自己血糖測定の保険適用

 

尿に含まれるブドウ糖をはかるだけでなく、血液中の糖をはかれるようになることで、より身体の状態を詳細に知ることができるようになりました。

 

1-4.血糖値アップ・ダウン100文字投稿コンテスト

「一般の部」「糖尿病患者さんの部」「医療・保険指導関係者の部」の3部に分かれ、それぞれ設定されたテーマに沿って、100文字以下の短文を募集しました。
様々な方が実践する工夫の数々が一堂に会し、糖尿病治療研究会による厳正な審査により、より優れた作品が選ばれます。
今回は各部より選出された最優秀作品のうち、一部をご紹介いたします。

糖尿病患者さんの部「実践している、血糖コントロールのコツ」
捉え方の視点から。血糖測定を億劫な“結果発表”から自分にとっての“答え合わせ”にするために、根拠ある注射をすること。そして、答えがハズレたら必ずフィードバックして、新しい答えを見つけること。

(みほさん さん/29歳/女性)

 

本コンテストにおいては、入選した方に賞金・商品が贈与されました。
患者さん自身を含め治療に関わる方の知恵や工夫が共有されたことで、今後の啓発活動の更なる広がりが期待されます。

 

2.「糖のことを知り、上手にコントロールしよう」

河盛 隆造(順天堂大学名誉教授・特任教授)

河盛 隆造(順天堂大学名誉教授・特任教授)

河盛 隆造(順天堂大学名誉教授・特任教授)

2-1.「糖は“悪党”」としてしまう風潮は危険

昨今の世の中は糖質制限などをはじめとした、「糖を摂取しないこと」によるダイエットや健康法などを多く目にするようになりました。
確かに、糖分の過剰摂取によって、肥満を引き起こす、健康を損ねる可能性があります。
しかし、河盛教授はそんな「糖は完全に悪いものだ」と誤認してしまうような風潮に警鐘を鳴らしました。

「女性アスリートの半数近くが、月経異常や骨粗しょう症を引き起こしている。もちろん専属の管理栄養士などはついているが、パフォーマンスを上げることを主眼に置いた食生活だけをしていると、長期的な目線では健康に良いと言い切れないこともあります。」
スポーツに限らず、情報が手に入りやすい現代のインターネット社会において、栄養に関する知識が偏ってしまう傾向にあると、河盛教授は話します。

 

2-2.糖は生きる上で必要なエネルギー源

河盛教授は、糖について下記の2点を知ることの重要性を説きました。

・炭水化物を摂取することが、必ずしも「血糖値を急激に上げること」ではない
・生きているだけでもエネルギーは使うということ

「生きているだけで、常に身体はブドウ糖を使います。寝ている時も脳の整理で使いますし、生活スタイルによっても変わりますが、ご自身がどれだけ栄養を摂取すべきか知ることが大切です。」と河盛教授は述べます。
糖質を制限することにより、痩せるなどメリットもありますが、健康を損なうというデメリットが発生する可能性があることを認識することが大切です。

 

2-3.糖尿病はもうお年寄りの病気ではない

河盛教授は2型糖尿病の発症が30代、40代の間で増加傾向にあることにも言及しました。
その原因のひとつとして考えられるのは食文化の多様化です。昨今、多種多様な食品がコンビニエンスストアなどで手軽に手に入るようになっています。

必要以上に栄養を摂取することで、インスリンの働きを弱めてしまいやすい環境が、お年寄りだけでなく若者の間での「糖尿病」の発症・進行を助長してしまっています。

糖尿病」の初期症状としては、

・喉が渇く
・体重が急激に落ちる
・疲れやすくなる

といったものがあります。

いずれも日常生活の中で起きうる症状であるため、「糖尿病」なのでは?と疑わない方も少なくないでしょう。
栄養について知り、ご自身の体でどんなことが起こっているのかを知ることが、健康な生活を送るうえで大切であると言えるでしょう。

 

3.「血糖値の変動とその管理」

森 豊(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

森 豊(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

森 豊(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

3-1. 急激な血糖の変動が把握できるようになった

自己血糖測定(SMBG)に加え、持続血糖モニター(CGM)の展開により、血糖値の日内変動が把握できるようになりました。

インスリン注射の調整や低血糖対策に限らず、自己血糖測定(SMBG)ではできなかった血糖値を捉えることができるようになりました。

 

3-2. 血糖値は「平均値」も大切。血糖値の急激な変化が突然死を招く可能性も

低血糖や急激な血糖低下により、交感神経が通常の状態よりも高まるため、血管の収縮、血圧の上昇や血小板の凝集などの誘因となります。血糖値を高くしないことだけに注意するのではなく、平均値に注意することが重要です。

 

<関連記事>

血糖値スパイクとは?血糖値が乱高下!? 糖尿病・心筋梗塞・動脈硬化を予防 血糖値スパイクとは?血糖値が乱高下!? 糖尿病・心筋梗塞・動脈硬化対策を

 

3-3. 夕食後の血糖ピーク時から夜間深夜に続く時間帯の低血糖は「交感神経」の緊張を引き起こす

通常、夜間は交感神経に対して副交感神経が優位になります。副交感神経は入浴時や睡眠時など休息時に優位になり、体を休ませる働きを持ちます。逆に交感神経は、体温や血圧を上昇させ、活動しやすい状態にするなどの働きがあります。

そして、これらの自律神経における変化は、血糖値の変動とも関係してくることが最近の研究によって明らかになりました。特に夕食の後の血糖値のピーク時から夜間深夜までの低血糖は、交感神経の緊張を引き起こします。

交感神経が緊張すると、不整脈など身体にとって有害な反応が起こるリスクが高まります。

そのため、森教授は「食後血糖を抑えるだけではなく、夕食後の血糖の急上昇を抑え、夜間深夜帯の血糖の変化を平坦化させる治療も必要である」と述べています。


著者紹介



本記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証したり、標ぼうするものではなく、また医師・医療従事者等による情報の提供は、個別具体的な患者に対する診断・治療行為ではありません。本メディア上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。本コンテンツに関するデータ、掲載内容、出演/監修者等の所属先や肩書、提供先の企業/団体名やリンクなどは掲載当時のものです。


糖尿病や生活習慣病の患者さんのための

つながる自己管理ノート

アプリのダウンロードはこちらから

糖尿病をはじめとする生活習慣病にとりくむために、
自ら情報を得て、自ら行動し、自ら判断出来るクラウドサービス